神様自学

8月20日 夜のメッセージ

大道具を作り始めると、あっという間に5時を回った。ほとんど休憩もなしで5時間。お昼前から集まっていたため、作業時間は大体そのくらい。流石に疲れてきたし、帰ることになってから3時間後。現在時刻は8時。お風呂から上がって携帯を確認すると、画面上にメッセージを受信したことを知らせる通知が表示された。差出人は、一斉送信で亜美。メッセージの内容は、こんなものだった。
[今日は手伝ってくれてありがとう。大道具が揃うと、わくわくしてくるね！あみだくじの集計、終わりましたので発表します！]
と、一言区切ってから、名前の隣に役名が書かれた長い文章が送られてきていた。
[騎士  稲森夕音]
自分の名前を見つけて、役を確認して、貰った台本を確認する。そういえば、淑乃が物語を書いている時に、騎士の動きをさせられたな、と思い出しながら台本を読む。騎士は、姫が王子に会いに来た時に、敵と間違えて姫を攻撃する。しかし姫の説得により、姫に協力をすることになる。
「…そういえば、姫って誰なんだろう」
そう考えて、画面を上にスクロールしていく。出席番号順ではなかったので、順に確認していこうと思った。すると、1番上に「姫」という文字を見つけた。
[姫  蝶野  利羽]
騎士の役は姫と一緒にいることが多いので、利羽ちゃんと一緒に練習することが多そうだ。
台詞を口に出しながら台本をめくっていると、通知音が鳴った。携帯を確認すると、亜美から追加で連絡が来ていた。
[役は確認できたかな？少しずつでも練習していきたいので、明日から来れる人は来て下さい。もしくは、一緒に演技することが多い人と一緒に練習して下さい]
[朗報！由芽ちゃんと霙はほとんどこっちに参加できるみたいです！最初にざっと演技について説明してくれるらしいから、明日はなるべく来てね！]
私は「了解！」と短く返事をして、他の人の役を確認する。台本と携帯の画面を見比べながら、私の役に関わりのある役が誰か確認していく。王子は蒼くんだった。私が姫と王子の城に行った時、別の衛兵が姫を狙いそれを私が庇うというシーンがあった。その衛兵は竜夜くん。
私は目立つのはあまり得意ではないが、なんだか練習ですら楽しみになってきた。早く明日にならないかな、なんて考えながら台本を一通り読む。私は1人の台詞より誰かと一緒に出てやりとりをする事が多かったので、学校で練習をする方が良さそうだと判断した。私は台本を置いて、髪を乾かすために自分の部屋を出た。