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印象 a step 竜夜(短編)
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考え事をしている沈黙が重くて、話を振る。
「…ところで、お前、雪に告白しないのか?」
「は…??」
お前何を言っている、と顔に書かれていた。
「いや、お前ら仲良いし…成功するだろうな、と思っただけだ」
羨ましい。俺もそんな相手に出会いたい、といいのは漫画の読み過ぎだろうか。
「お前、好きな奴でもいるのか?」
俺はその言葉に、硬直した。
「はぁ!?!?お、お前…何言って!?」
顔が熱くなっていくのが分かった。それでも自分では止められない。何も言えない。少女漫画みたいな恋愛に憧れて、そんな恋愛が出来るであろう霙を羨ましいと感じたなんて、言えるわけがない。
俺が慌てているのが楽しいのか、にやにやとしながらからかおうとしてくる。
「ふーん?誰だ?」
「お前には教えない!!うるさい!お前はとっとと雪に告白すればいいんだよ!」
つい、大きな声で叫んでしまった。恥ずかしくて、どうにか話題を逸らしたかった。一瞬、霙が怯むのが分かった。
「は、はぁ!?なんでそうなるんだよ!」
形勢逆転。霙がさっきまでの俺のように耳まで真っ赤にして恥ずかしさを紛らすように叫ぶのが面白かった。俺は、さっきまでの仕返し、と言わんばかりにからかう。
「お前が雪を好きだってバレバレだから」
椅子を思いっきり引いて、机をバンッと叩く霙。俺は驚いて目を見開いたが、それに気付かずに反論し続ける霙。
「はぁ!?何言って!?」
「えー?事実?」
にやける口元を抑えられなくて、楽しくて、からかうのをやめられない。煽り続けていたら、霙が俺を指差して、宣言した。
「勝負だ竜夜!!」
「受けて立つ!!」
俺も勢い任せに言った。
「俺が勝ったら告白しろよ!」
「私が勝ったら告白して結果報告な!」
火花が散るんじゃないか、と思うくらい両者睨み合う。霙の号令でじゃんけんが開始された。
いや、なんでじゃんけん…。
後から思うとそうツッコミを入れたくなる。それほど無意識にじゃんけんをしていた。俺がチョキで霙がパー。俺の勝ち。
「…約束だ、いってこい」
「…わかったよ…」
潔く引いて、リュックを背負う。
「…や…ありがとな」
小さな声が聞こえた。
「おう」
霙がドアを開けて雪の元へ行く。俺はその後ろ姿を見送った。
それから数分後、ドアに人影が見えた。
「あれ、竜夜。どうしたの?」
「ノートを探しに来たんだけど…今入が出してくれたみたいだな。ありがとう」
自分がやったとバレたくなかったのか、ふいっと目をそらす。どういたしまして、の声も聞こえなかった。
「…霙は?」
「あいつなら帰った。勝負事の負けた方が言うことを聞くって条件、クリアしに行った」
「そっか。じゃあ私も帰ろうかな」
「1人じゃ危ないだろ。一緒に帰るよ」
俺は、霙との勝負で少し歩み寄ろうと思った。今入が遠慮しようとしたのを遮り、無理やり横に並ぶ。少し恥ずかしそうに俯いていたのは、2人きりだからだろうか。意外な一面を見て、印象が少しずつ変化していった。
「…ところで、お前、雪に告白しないのか?」
「は…??」
お前何を言っている、と顔に書かれていた。
「いや、お前ら仲良いし…成功するだろうな、と思っただけだ」
羨ましい。俺もそんな相手に出会いたい、といいのは漫画の読み過ぎだろうか。
「お前、好きな奴でもいるのか?」
俺はその言葉に、硬直した。
「はぁ!?!?お、お前…何言って!?」
顔が熱くなっていくのが分かった。それでも自分では止められない。何も言えない。少女漫画みたいな恋愛に憧れて、そんな恋愛が出来るであろう霙を羨ましいと感じたなんて、言えるわけがない。
俺が慌てているのが楽しいのか、にやにやとしながらからかおうとしてくる。
「ふーん?誰だ?」
「お前には教えない!!うるさい!お前はとっとと雪に告白すればいいんだよ!」
つい、大きな声で叫んでしまった。恥ずかしくて、どうにか話題を逸らしたかった。一瞬、霙が怯むのが分かった。
「は、はぁ!?なんでそうなるんだよ!」
形勢逆転。霙がさっきまでの俺のように耳まで真っ赤にして恥ずかしさを紛らすように叫ぶのが面白かった。俺は、さっきまでの仕返し、と言わんばかりにからかう。
「お前が雪を好きだってバレバレだから」
椅子を思いっきり引いて、机をバンッと叩く霙。俺は驚いて目を見開いたが、それに気付かずに反論し続ける霙。
「はぁ!?何言って!?」
「えー?事実?」
にやける口元を抑えられなくて、楽しくて、からかうのをやめられない。煽り続けていたら、霙が俺を指差して、宣言した。
「勝負だ竜夜!!」
「受けて立つ!!」
俺も勢い任せに言った。
「俺が勝ったら告白しろよ!」
「私が勝ったら告白して結果報告な!」
火花が散るんじゃないか、と思うくらい両者睨み合う。霙の号令でじゃんけんが開始された。
いや、なんでじゃんけん…。
後から思うとそうツッコミを入れたくなる。それほど無意識にじゃんけんをしていた。俺がチョキで霙がパー。俺の勝ち。
「…約束だ、いってこい」
「…わかったよ…」
潔く引いて、リュックを背負う。
「…や…ありがとな」
小さな声が聞こえた。
「おう」
霙がドアを開けて雪の元へ行く。俺はその後ろ姿を見送った。
それから数分後、ドアに人影が見えた。
「あれ、竜夜。どうしたの?」
「ノートを探しに来たんだけど…今入が出してくれたみたいだな。ありがとう」
自分がやったとバレたくなかったのか、ふいっと目をそらす。どういたしまして、の声も聞こえなかった。
「…霙は?」
「あいつなら帰った。勝負事の負けた方が言うことを聞くって条件、クリアしに行った」
「そっか。じゃあ私も帰ろうかな」
「1人じゃ危ないだろ。一緒に帰るよ」
俺は、霙との勝負で少し歩み寄ろうと思った。今入が遠慮しようとしたのを遮り、無理やり横に並ぶ。少し恥ずかしそうに俯いていたのは、2人きりだからだろうか。意外な一面を見て、印象が少しずつ変化していった。
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