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体育祭 結果発表
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「終わった!!」
「終わったね」
最後の種目が終わり、得点計算をしている。そのため、他の生徒たちは自分の応援席で自由におしゃべりをしている。視界の端のほうで体育祭実施委員が先生と話していた。
「集計が終わりました。生徒の皆さんは、朝と同じように整列してください」
ゆっくりと聞き取りやすい声でアナウンスが入った。私達はぞろぞろと歩いて集まる。前のほうで整列の指示をしている学級委員が見えなくて、少し遅れてしまった。
「どうなるかな?」
「楽しみね」
紗奈や利羽ちゃんと少しだけ話して整列する。アナウンスの号令で生徒全員が腰を下ろした。
「学年ごとに優勝を発表します。1年生、2組。2年生、4組。3年生、7組」
わぁぁっと喜ぶ声が聞こえた。私達は優勝出来なかったが、まだ来年がある。そこで勝てたら良いな、と思った。
「総合は、3位、2年4組。2位、3年1組。1位、3年7組です。それぞれの体育祭実施委員は前に出てきてください」
各クラスの体育祭実施委員がトロフィーと賞状を受け取り、クラスに見せたり、はにかんだりと嬉しそうだ。近くに座っていた紗奈が
「負けちゃったか…悔しいなー」
と困ったように笑った。本人は凄く悔しいのだろうが、皆がわいわい盛り上がっている感じなので邪魔しないようにしているようだ。
本当、優しいんだから。
そう言いそうになるのをギリギリで我慢して、頭を撫でる。昔からの癖なのだ。泣き虫だった羅樹を慰めるために頭を撫でていたら、癖になってしまった。はっと気付いて、手を離そうとする。中には頭を撫でられるのを嫌がる人もいるのだ。しかし、紗奈の泣きそうに歪んだ顔を見て、手を離せなかった。わしゃわしゃと髪が乱れるくらいに撫でる。
「もう、紗奈!来年があるよ?来年まで今年の悔しさはとっておきなさい」
「!…うん、そうだね!」
紗奈が笑ったのを見て、私も嬉しくなる。来年同じクラスになれるかは分からないけれど、一緒に優勝したい、と思った。
結果発表が終わって、片付けの時間になる。競技の合間にある程度終わらせていたらしい。手伝っていた人に聞くと「体育祭実施委員が、『居残りしたくない。皆もそうだろ?』って言うから」と言っていた。渋々手伝っていたらしい。クラスの片付けが終わって、教室で先生が帰ってくるのを待っていた。すると、廊下から声が聞こえた。
「先生、この人持ってないんですけど」
「力仕事は霜月で十分だからなぁ」
「はぁ!?」
「霙、先生だぞ」
「霙ならクラス分くらい余裕だ…ぉっ…ごほっ…おま、なに…っ」
「委員の仕事忘れてた奴に言われたくない」
「「霙、良いぞもっとやれ」」
廊下から聞こえてくる声が完全にコントなことについては誰もツッコまない。この4人にはもう慣れたらしい。
ガラッと扉を開けて、両腕いっぱいに抱えたレジ袋を掲げる。
「先生の奢りだ。1人1本な」
その瞬間、体育祭よりも盛り上がっているかのように歓声が上がった。
「先生太っ腹~」
「ありがと、先生」
「はいはい、よく味わって飲みなさいよ。あと、先生は太ってません」
担任の青海川空太先生に感謝を告げ、冷えたオレンジジュースを受け取る。美味しい。
そういえば、羅樹は学年優勝したのか、とふと思う。何かお祝いでもしてあげよう、と考えながら、ジュースを置いた。
「終わったね」
最後の種目が終わり、得点計算をしている。そのため、他の生徒たちは自分の応援席で自由におしゃべりをしている。視界の端のほうで体育祭実施委員が先生と話していた。
「集計が終わりました。生徒の皆さんは、朝と同じように整列してください」
ゆっくりと聞き取りやすい声でアナウンスが入った。私達はぞろぞろと歩いて集まる。前のほうで整列の指示をしている学級委員が見えなくて、少し遅れてしまった。
「どうなるかな?」
「楽しみね」
紗奈や利羽ちゃんと少しだけ話して整列する。アナウンスの号令で生徒全員が腰を下ろした。
「学年ごとに優勝を発表します。1年生、2組。2年生、4組。3年生、7組」
わぁぁっと喜ぶ声が聞こえた。私達は優勝出来なかったが、まだ来年がある。そこで勝てたら良いな、と思った。
「総合は、3位、2年4組。2位、3年1組。1位、3年7組です。それぞれの体育祭実施委員は前に出てきてください」
各クラスの体育祭実施委員がトロフィーと賞状を受け取り、クラスに見せたり、はにかんだりと嬉しそうだ。近くに座っていた紗奈が
「負けちゃったか…悔しいなー」
と困ったように笑った。本人は凄く悔しいのだろうが、皆がわいわい盛り上がっている感じなので邪魔しないようにしているようだ。
本当、優しいんだから。
そう言いそうになるのをギリギリで我慢して、頭を撫でる。昔からの癖なのだ。泣き虫だった羅樹を慰めるために頭を撫でていたら、癖になってしまった。はっと気付いて、手を離そうとする。中には頭を撫でられるのを嫌がる人もいるのだ。しかし、紗奈の泣きそうに歪んだ顔を見て、手を離せなかった。わしゃわしゃと髪が乱れるくらいに撫でる。
「もう、紗奈!来年があるよ?来年まで今年の悔しさはとっておきなさい」
「!…うん、そうだね!」
紗奈が笑ったのを見て、私も嬉しくなる。来年同じクラスになれるかは分からないけれど、一緒に優勝したい、と思った。
結果発表が終わって、片付けの時間になる。競技の合間にある程度終わらせていたらしい。手伝っていた人に聞くと「体育祭実施委員が、『居残りしたくない。皆もそうだろ?』って言うから」と言っていた。渋々手伝っていたらしい。クラスの片付けが終わって、教室で先生が帰ってくるのを待っていた。すると、廊下から声が聞こえた。
「先生、この人持ってないんですけど」
「力仕事は霜月で十分だからなぁ」
「はぁ!?」
「霙、先生だぞ」
「霙ならクラス分くらい余裕だ…ぉっ…ごほっ…おま、なに…っ」
「委員の仕事忘れてた奴に言われたくない」
「「霙、良いぞもっとやれ」」
廊下から聞こえてくる声が完全にコントなことについては誰もツッコまない。この4人にはもう慣れたらしい。
ガラッと扉を開けて、両腕いっぱいに抱えたレジ袋を掲げる。
「先生の奢りだ。1人1本な」
その瞬間、体育祭よりも盛り上がっているかのように歓声が上がった。
「先生太っ腹~」
「ありがと、先生」
「はいはい、よく味わって飲みなさいよ。あと、先生は太ってません」
担任の青海川空太先生に感謝を告げ、冷えたオレンジジュースを受け取る。美味しい。
そういえば、羅樹は学年優勝したのか、とふと思う。何かお祝いでもしてあげよう、と考えながら、ジュースを置いた。
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