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バスに乗る前
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定期テストが終わって、涙目な人も笑顔な人も今日は校外学習。定期テスト後の息抜きのようなものだ。私の班員は、桐生さん、潮賀君、冬間君、北原君、利羽ちゃん、明さん。まだあまり話したことのない子もいて、不安だけど楽しみだ。羅樹と同じクラスでは無いから、班が違うのは仕方ないけど少し残念だ。
「おはよう、夕音ちゃん!」
元気な声が聞こえてきて、はっと我に返る。声の主は元気で可愛らしい桐生さんだった。
「あ、お、おはよう、桐生さん」
「亜美で良いよ?勿論、呼び捨てで!」
「そ、そう?じゃあ亜美、私も夕音で良いよ」
「分かった!夕音、今日楽しもうね」
「うん!」
屈託の無い笑顔に、眩しさを感じる。それ程までに明るくて優しい良い子だった。ほとんど話したことのない私にも分け隔てなく接してくれて、嬉しかった。
「さて、他の班員は…」
辺りを見回すと、潮賀くんと蒼くん、利羽ちゃんがいた。明さん、北原くん、冬間くんが見当たらなかった。
「あ、あれ…?あと三人は…」
「雪くんと明ちゃんは一緒にいたよ。霙と富、鹿宮くんといたわ」
「一緒にいる五人のうち二人は違うクラスですね」
利羽ちゃんが説明してくれたので助かった。潮賀くんのツッコミも的確で確かに、と思った。でも一人だけ情報が無かった。
「じゃあ、あと北原君…」
「何?」
後ろからいきなり声がしたので、驚いて振り向くとそこには北原くんが立っていた。眼鏡の奥にある眠そうな目を瞬かせながら。
「おはよう。稲盛さん」
「お、おはよう北原君。えと、じゃあ明さん達呼びに行こうか」
「はーい!あたしも行くー」
「冬間くん、離れますかね?」
私と亜美で、明さんと冬間君のところに行く。
「明さん、冬間くん、そろそろ時間なんだけど…良い?」
「あ、うん。行く」
「…ん…い、く…」
明が返事をすると、冬間くんが少し躊躇ったが、渋々返事をした。
「うん、じゃあ行こうか」
「おー夕音ちゃん、雪を頼むね」
「夕音…って、稲盛さん?雪を頼みますね…」
「う、うん…?頼まれます…?」
霙さんと冬間くんの双子の兄が心配そうにしていたのに、少し引っかかった。けれどそろそろ時間なので、引き上げることにした。
「バスに乗れー」
今日も目の下に隈がある担任の号令で、わいわいと皆、バスに乗る。私は明さんと隣だった。
「宜しくね、明さん」
「うん。明で良いよ?」
「えっ、あ、え…?」
前にショッピングモール行った時は、呼び方に触れなかったのに、何で今なんだろう…と思って明さん、明を見ると、首を傾げていたので、つい笑ってしまった。
「うん。宜しく、明」
そんな会話をすると、バスからエンジンをかける音が聞こえた。
「おはよう、夕音ちゃん!」
元気な声が聞こえてきて、はっと我に返る。声の主は元気で可愛らしい桐生さんだった。
「あ、お、おはよう、桐生さん」
「亜美で良いよ?勿論、呼び捨てで!」
「そ、そう?じゃあ亜美、私も夕音で良いよ」
「分かった!夕音、今日楽しもうね」
「うん!」
屈託の無い笑顔に、眩しさを感じる。それ程までに明るくて優しい良い子だった。ほとんど話したことのない私にも分け隔てなく接してくれて、嬉しかった。
「さて、他の班員は…」
辺りを見回すと、潮賀くんと蒼くん、利羽ちゃんがいた。明さん、北原くん、冬間くんが見当たらなかった。
「あ、あれ…?あと三人は…」
「雪くんと明ちゃんは一緒にいたよ。霙と富、鹿宮くんといたわ」
「一緒にいる五人のうち二人は違うクラスですね」
利羽ちゃんが説明してくれたので助かった。潮賀くんのツッコミも的確で確かに、と思った。でも一人だけ情報が無かった。
「じゃあ、あと北原君…」
「何?」
後ろからいきなり声がしたので、驚いて振り向くとそこには北原くんが立っていた。眼鏡の奥にある眠そうな目を瞬かせながら。
「おはよう。稲盛さん」
「お、おはよう北原君。えと、じゃあ明さん達呼びに行こうか」
「はーい!あたしも行くー」
「冬間くん、離れますかね?」
私と亜美で、明さんと冬間君のところに行く。
「明さん、冬間くん、そろそろ時間なんだけど…良い?」
「あ、うん。行く」
「…ん…い、く…」
明が返事をすると、冬間くんが少し躊躇ったが、渋々返事をした。
「うん、じゃあ行こうか」
「おー夕音ちゃん、雪を頼むね」
「夕音…って、稲盛さん?雪を頼みますね…」
「う、うん…?頼まれます…?」
霙さんと冬間くんの双子の兄が心配そうにしていたのに、少し引っかかった。けれどそろそろ時間なので、引き上げることにした。
「バスに乗れー」
今日も目の下に隈がある担任の号令で、わいわいと皆、バスに乗る。私は明さんと隣だった。
「宜しくね、明さん」
「うん。明で良いよ?」
「えっ、あ、え…?」
前にショッピングモール行った時は、呼び方に触れなかったのに、何で今なんだろう…と思って明さん、明を見ると、首を傾げていたので、つい笑ってしまった。
「うん。宜しく、明」
そんな会話をすると、バスからエンジンをかける音が聞こえた。
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