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1月30日 髪飾り
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入ってすぐに見かけたアクセサリーショップ。指輪やネックレスなどはショーケースの中で煌びやかに輝いていた。大人用のそれらは学生である私には到底手が出る品物ではないので、バレッタやリボン、ポニーフックなどの可愛らしい髪飾りコーナーへと向かう。私は髪が長いので、こういったお洒落が1番手頃で好きだ。いくつかを手に取り、値段を見つつ吟味する。
「綺麗だね」
「うん!どうしようかな」
羅樹が私の手元を覗いて褒めてくれたので、どちらかを買おうかと値段を確認する。体感高い気がしたので、渋々戻すことにした。もっと手頃な値段で可愛らしい物の方が性に合っている。あまり高いと落とした時にショックが大きいからだ。
「次、あっち行こう」
「え、買わないの?」
「うん…ちょっと、ね」
誤魔化しつつ、別の店へと行く。今度は私でも手が出せる値段である。ホッと胸を撫で下ろしつつ、また好みの物を手に取る。白のレースで縁取られた唐紅のシュシュと、若葉色の水玉模様が入った鮮緑のリボンである。どちらの方が似合うだろうか、とじっと吟味する。羅樹は、どちらの方が好きだろうか。声を掛けようと思ったが何となく聞くのは気恥ずかしくて、羅樹の言動を思い出してどちらが好みか探る。
悩んでも悩んでも、一向に答えは出なかった。
「買うの?」
「ぅわぁっ!?び、びっくりした…」
「ご、ごめんね…?」
私の驚いた声に、羅樹も驚いた様子である。その視線が私の手元に動いて、私と手元と、何往復かする。
「悩んでるの?」
「うん…どっちが良いかなって」
どっちが好きか答えてくれたりしないかな、と期待半分で言うと、羅樹は徐に私の手からシュシュを手に取った。それを私の髪に当ててふにゃりと笑う。
「赤の方が似合うと思うな」
「…っ!」
至近距離でその笑顔は、ずるい。
私はリボンを置くと、シュシュを引ったくるように羅樹から取り返して、顔を背けたまま呟いた。
「…なら、こっちにする…」
「うん!」
「会計してくるから、待ってて!」
私は羅樹にそう告げると、逃げるようにレジへと向かった。恐らく耳まで真っ赤だろう。何度か深呼吸をして順番を待つ。レジを終える頃にはすっかり落ち着いて、何食わぬ顔で羅樹の元に戻ることが出来た。次はどこに行こうかと話をしていると、羅樹がお手洗いの看板を指して「ちょっと行ってくるね」と言った。私は了承して適当な壁際で待つことにした。
目の前を通った男性達が、大きな声で話しているのが耳に入って来た。
「彼女の買い物とか超面倒じゃね?」
「わかるー。長いし、そんな変わりない物で悩むじゃん?早くしろよって思うよな」
似たような会話を続けながら、通り過ぎて行く。私は顔から血の気が引いていった。
今、私は羅樹を買い物に付き合わせている状態である。羅樹も面倒に思っているのではないか、と気付いてしまった。
「綺麗だね」
「うん!どうしようかな」
羅樹が私の手元を覗いて褒めてくれたので、どちらかを買おうかと値段を確認する。体感高い気がしたので、渋々戻すことにした。もっと手頃な値段で可愛らしい物の方が性に合っている。あまり高いと落とした時にショックが大きいからだ。
「次、あっち行こう」
「え、買わないの?」
「うん…ちょっと、ね」
誤魔化しつつ、別の店へと行く。今度は私でも手が出せる値段である。ホッと胸を撫で下ろしつつ、また好みの物を手に取る。白のレースで縁取られた唐紅のシュシュと、若葉色の水玉模様が入った鮮緑のリボンである。どちらの方が似合うだろうか、とじっと吟味する。羅樹は、どちらの方が好きだろうか。声を掛けようと思ったが何となく聞くのは気恥ずかしくて、羅樹の言動を思い出してどちらが好みか探る。
悩んでも悩んでも、一向に答えは出なかった。
「買うの?」
「ぅわぁっ!?び、びっくりした…」
「ご、ごめんね…?」
私の驚いた声に、羅樹も驚いた様子である。その視線が私の手元に動いて、私と手元と、何往復かする。
「悩んでるの?」
「うん…どっちが良いかなって」
どっちが好きか答えてくれたりしないかな、と期待半分で言うと、羅樹は徐に私の手からシュシュを手に取った。それを私の髪に当ててふにゃりと笑う。
「赤の方が似合うと思うな」
「…っ!」
至近距離でその笑顔は、ずるい。
私はリボンを置くと、シュシュを引ったくるように羅樹から取り返して、顔を背けたまま呟いた。
「…なら、こっちにする…」
「うん!」
「会計してくるから、待ってて!」
私は羅樹にそう告げると、逃げるようにレジへと向かった。恐らく耳まで真っ赤だろう。何度か深呼吸をして順番を待つ。レジを終える頃にはすっかり落ち着いて、何食わぬ顔で羅樹の元に戻ることが出来た。次はどこに行こうかと話をしていると、羅樹がお手洗いの看板を指して「ちょっと行ってくるね」と言った。私は了承して適当な壁際で待つことにした。
目の前を通った男性達が、大きな声で話しているのが耳に入って来た。
「彼女の買い物とか超面倒じゃね?」
「わかるー。長いし、そんな変わりない物で悩むじゃん?早くしろよって思うよな」
似たような会話を続けながら、通り過ぎて行く。私は顔から血の気が引いていった。
今、私は羅樹を買い物に付き合わせている状態である。羅樹も面倒に思っているのではないか、と気付いてしまった。
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