神様自学

天ノ谷 霙

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修学旅行2 バス移動

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眞里阿と浅野くんが"晴れ"になったことに安心して、私は紗奈のもとに戻った。紗奈に事情を聞かれて困っていると、眞里阿が戻ってきて説明をしてくれた。紗奈は驚きながらも祝福して、眞里阿は照れながら笑った。そこに明と霙、それに由芽も合流してバスに戻った。
「次はマリン体験だから、体験ごとにバス変わるみたいだね」
「私と亜美、霙はシュノーケリングだから…1、2、3…かな?」
「黒糖作りは…7?」
「風鈴は8ですね。由芽ちゃんはどこですか?」
「私も黒糖作り。明と一緒だね」
「ドラゴンボート私しかいないの!?これだけ人がいるのに!?」
紗奈が1人で行動しなければならないのに落ち込んでるのを見て、近付いてくる人影が1つ。
「紗奈やんもドラゴンボートなん?うちと一緒や!一緒に行こ?淑乃も一緒やで」
元気いっぱいな方言訛りの口調、八千奈ちゃんだった。八千奈ちゃんは紗奈の手を握ってにこにこと笑っている。
「いいの!?一緒!?やったぁぁあ!!」
八千奈ちゃんの提案に瞳をきらきらと輝かせて食いつく紗奈。遅れて淑乃が来た。
「八千奈ー、もうバスに乗らなきゃ…あれ?今入さん?」
「紗奈やんも一緒やって。せやから一緒に行こって誘ってたんよー」
「あ、そうなの?宜しくね、今入さん」
「宜しく、高松さん!」
呼び方が堅苦しくないのかな、なんて思いながら3人を見送る。いつの間にか明と由芽、眞里阿はバスに乗ってしまったらしい。もういなかった。
「夕音、どうしたの?ほら私達も行くよー!泳ぐよ!」
「泳ぐのはまだ気が早いんじゃないかな…?」
霙がはしゃぐのを宥める亜美。由芽という抑止力を失った霙を止められるかな、と苦笑いをして返事をする。
「そうだね。私達も急ごうか」
バスに乗るが、半分くらいの席が埋まってしまっている。1番後ろの5人席も埋まっているので、2人と1人に別れなければならなくなった。
「あ、爽ちゃん」
1人で窓際に座っている爽に、亜美が気付いた。窓の外を見ていた爽は私達に気付いて、少しだけ表情を緩めた。
「爽、隣誰か座る?」
爽は首を横に振って「座る?」と聞いた。
「じゃあ私が座ろうかな。夕音と霙は2人で座って」
「了解」
近くで空いている席は爽と亜美の後ろだった。霙が窓際に座るのを待っていた一瞬、ほんの一瞬だけ、爽が私を見る目が厳しくなった気がした。男子が乗ってくるのが見えて、急いで座る。
「あれ、桐竜達もシュノーケリングなんだ」
「蒼くん!うん、そうだよ」
亜美と蒼くんの会話が聞こえて、その後ろに北原くんが見えた。2人って仲良いんだ、と思いながらぼーっとしていると、バスの発車音が聞こえた。
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