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修学旅行2 売店
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鮫の展示室で驚き、綺麗な魚達の姿に心を奪われた。チンアナゴやニシキアナゴの可愛らしい姿、ジンベイザメの力強い姿。優雅に泳ぐ姿は時間を忘れてずっと見ていられた。眞里阿とゆっくりと時を刻んで、歩みを進める。大きな建物を出て、外に出る。涼しい海風が吹いて、頬を髪がくすぐる。少し前に出た眞里阿のハーフアップが、リボンと共に揺れた。
「…気持ち良いね」
眞里阿が私の方を向き、優しく微笑む。1枚の写真のようにその姿が心に刻み込まれ、忘れられない。同性の私ですら見惚れるような仕草、姿。優しくて丁寧な物腰にも、好感は高い。彼女に話しかけられたら、惚れてしまうのも無理はないだろう。ふと、あの時通った3人組の男子が気になった。姿をしっかりと見たわけではないけれど、その後話も聞いていないけれど、どうなったのだろうか。
「…うね、夕音?」
「っあ、え、何?」
「ぼーっとしてたけど、大丈夫?」
考え事に集中して、眞里阿の声が耳に入っていなかった。「ごめん、大丈夫」と返すと、眞里阿は心配そうに苦笑いした。私は何か言おうとして、話題を探す。その瞬間、後ろからどーん、と何かがぶつかってくる衝撃が襲った。
「ゆーーねーー!!!」
腰への衝撃に思わず変な呻き声を出してから、振り返る。そこにいたのは元気いっぱいの女の子、紗奈だった。
「眞里阿ちゃんも!ねぇ、あそこでソフトクリーム食べようよ!暑いし、ほら行こう!」
「え、ちょ、ちょっと紗奈!?」
沖縄に来て開放的な雰囲気に当てられたのか、いつも以上に子供っぽくはしゃぐ紗奈に腕を引かれ、休憩所に一ヶ所だけ出ている移動式売店に向かう。眞里阿は驚いた様子だったが、笑って付いてきてくれた。
「ソーダのソフトクリーム1つ下さい」
「え、えぇと、バニラ1つ下さい」
「私はタピオカで」
1番に買った紗奈が席を取って待っていてくれた。私と眞里阿のチョイスに文句を言いたげだったが、何も言わずにソフトクリームを頬張っていた。
「ん…美味しい。眞里阿も一口いる?」
「え、だいじょ…」
「眞里阿ちゃんも食べよう!爽やかだよ!」
紗奈がソフトクリームを眞里阿に向けて動かないので、眞里阿は観念したように一口食べた。ゆっくり咀嚼して、輝く目を見開いた。
「美味しい…」
「でしょ!?やっぱりソーダって美味しいよね!」
「何ー?バニラも負けてないよ。ほら、眞里阿」
「えっ、あ、じゃあいただきます…?」
ぱくっとバニラを一口。眞里阿は幸せそうな表情を浮かべる。
「どっちも美味しいですよ」
敬語混じりの丁寧な口調で言う眞里阿に、私と紗奈は顔を見合わせる。
「そ、そんなに言うなら一口試してあげるよ?」
紗奈の素直じゃない「一口ちょうだい」のお願いに、笑って答える。バニラを味わった紗奈は、幸せそうに笑顔を浮かべた後、私にもソーダ味を差し出した。
「ありがとう。…んー、美味しいね」
「でしょ!?じゃあアイスは皆美味しいってことで」
平和的解決を終えた後、眞里阿がタピオカを一口くれた。他愛もない話をしながら、それぞれ買ったものを口に運び終える。
「…あの」
その時だった。聞いたことのある声の男子が、私達に話しかけたのは。
「…気持ち良いね」
眞里阿が私の方を向き、優しく微笑む。1枚の写真のようにその姿が心に刻み込まれ、忘れられない。同性の私ですら見惚れるような仕草、姿。優しくて丁寧な物腰にも、好感は高い。彼女に話しかけられたら、惚れてしまうのも無理はないだろう。ふと、あの時通った3人組の男子が気になった。姿をしっかりと見たわけではないけれど、その後話も聞いていないけれど、どうなったのだろうか。
「…うね、夕音?」
「っあ、え、何?」
「ぼーっとしてたけど、大丈夫?」
考え事に集中して、眞里阿の声が耳に入っていなかった。「ごめん、大丈夫」と返すと、眞里阿は心配そうに苦笑いした。私は何か言おうとして、話題を探す。その瞬間、後ろからどーん、と何かがぶつかってくる衝撃が襲った。
「ゆーーねーー!!!」
腰への衝撃に思わず変な呻き声を出してから、振り返る。そこにいたのは元気いっぱいの女の子、紗奈だった。
「眞里阿ちゃんも!ねぇ、あそこでソフトクリーム食べようよ!暑いし、ほら行こう!」
「え、ちょ、ちょっと紗奈!?」
沖縄に来て開放的な雰囲気に当てられたのか、いつも以上に子供っぽくはしゃぐ紗奈に腕を引かれ、休憩所に一ヶ所だけ出ている移動式売店に向かう。眞里阿は驚いた様子だったが、笑って付いてきてくれた。
「ソーダのソフトクリーム1つ下さい」
「え、えぇと、バニラ1つ下さい」
「私はタピオカで」
1番に買った紗奈が席を取って待っていてくれた。私と眞里阿のチョイスに文句を言いたげだったが、何も言わずにソフトクリームを頬張っていた。
「ん…美味しい。眞里阿も一口いる?」
「え、だいじょ…」
「眞里阿ちゃんも食べよう!爽やかだよ!」
紗奈がソフトクリームを眞里阿に向けて動かないので、眞里阿は観念したように一口食べた。ゆっくり咀嚼して、輝く目を見開いた。
「美味しい…」
「でしょ!?やっぱりソーダって美味しいよね!」
「何ー?バニラも負けてないよ。ほら、眞里阿」
「えっ、あ、じゃあいただきます…?」
ぱくっとバニラを一口。眞里阿は幸せそうな表情を浮かべる。
「どっちも美味しいですよ」
敬語混じりの丁寧な口調で言う眞里阿に、私と紗奈は顔を見合わせる。
「そ、そんなに言うなら一口試してあげるよ?」
紗奈の素直じゃない「一口ちょうだい」のお願いに、笑って答える。バニラを味わった紗奈は、幸せそうに笑顔を浮かべた後、私にもソーダ味を差し出した。
「ありがとう。…んー、美味しいね」
「でしょ!?じゃあアイスは皆美味しいってことで」
平和的解決を終えた後、眞里阿がタピオカを一口くれた。他愛もない話をしながら、それぞれ買ったものを口に運び終える。
「…あの」
その時だった。聞いたことのある声の男子が、私達に話しかけたのは。
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