神様自学

天ノ谷 霙

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修学旅行 ひめゆりの塔

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※少々流血表現があり、悲しい話となっております。苦手な方は注意してください。

私達は、ひめゆりの塔に到着した。中に入って班ごとに花束を受け取り、戦争で亡くなった人々の名前が綴られた白い石碑に献花し、黙祷を捧げる。奥に見えるガマで、たくさんの人が亡くなったとは思えないほどに穏やかで、穏やかだからこそ悲しくなった。今の平和は、当時の人には無かったものだ。だからこそ私達は、この平和を守っていかなければならない、と思った。
奥に進み、先生やガイドさんからチケットを受け取る。ひめゆり平和祈念資料館に入るのだ。中には大きな文字と写真が静かに「戦争」を表していた。沖縄で何があったか、それによって日本はどうなったか、沖縄が本国にどんな扱いを受けていたか、悲劇としか思えない事実が綴られていた。さらに奥に進むと映像が流れていた。元ひめゆり学徒の生存者の話が流れ、嫌が応にも「事実」であったことを思い知らされる。ほんの75年前に、この地で何の罪も無い一般人が殺され、殺し、痛みに泣くことも許されなかった。流血描写のある映像が苦手な霙が顔色を悪くし、暗所の苦手な由芽は私の腕をしっかり掴みながら先に進む。私は流血描写のある映像に苦手意識は無かったつもりだが、少し精神的に参ってしまった。一人一人の生きた証も感じ、時間の関係上外に出る。
再度バスに乗り、5分ほどでマヤーガマに到着する。由芽ともう1人のクラスメイトはバスに残り、私は霙と共にガマの方へ進む。先生の指示に従って、ガマの中へ入った。動きやすい服装で来たとはいえ、急斜面で周りはごつごつした岩だらけだ。慎重に行かなければ怪我をするだろう。前を進む霙が「痛っ!?」とか言っているのは、聞こえないふりをした。
中に入ってガイドさんの話を10~20分くらい聞いた。懐中電灯を消し、真っ暗な中で話を聞いていたため、怖がる生徒も出たようだ。すすり泣く声が、ガマに響いた。ガマ入り口まで来たが入れなかった子もいたようで、出入り口付近で疲れきった顔で待っている子もいた。由芽の待つバスに戻り、またバスに揺られて数十分。早めにホテルに着き、自由時間が与えられた。近くにあるホテルのプライベートビーチで遊んでも良いと言われたので、荷物を部屋に運んだ後に行くことにした。私達は7階だったので、眺めが最高だ。上から見える景色も綺麗で、早く泳いでみたいと思った。
羅樹に、会いたいと思った。
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