神様自学

天ノ谷 霙

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修学旅行 空港

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11月28日、土曜日。空港に学年約350人が揃う。私もその一員として空港に向かわなければならない。しかし、ただでさえ朝に弱いのに、いつもより早い時間帯の出発。私は半分寝そうになりながら、羅樹に引っ張られて電車に乗った。3駅過ぎ、学校の最寄り駅手前に着いた。由芽が乗って来て、私と合流する。
「空原さんが来たなら大丈夫かな。夕音、まだ眠そうなんだけど宜しくね」
と言って羅樹は自分の友達のところに行ったのを、うっすらと聞いていた。由芽が何か言って、また電車が揺れだす。次の駅で霙が合流した。そこで私は意識をはっきりと覚醒させた。
「あ、起きたー?」
朝6時前にも関わらず元気な霙の声に、小さく頷く。本当は今すぐにでも眠ってしまいたいが、これから先3泊4日の間、ほとんど行動を共にする友人2人との会話を大事にしなければ、と強制的に脳を起こす。目をしっかり開けると、楽しそうな霙と苦笑いを浮かべる由芽が視界に入ってきた。私だけが椅子に座った状態で、申し訳ないな、と考え、2人の立つドア近くに私も立つ。
「…霙が朝からこのテンションでキツい…」
「ちょっ、酷くない!?」
由芽がもう既に疲れ切ったような顔で呟くと、霙が焦りを見せた。私も会話にやっと参加する。
「修学旅行中、静かになることはなさそうだね」
「しかもこれに竜夜が増えるんでしょ。何それ、私過労で倒れるんじゃないの?」
「私と竜夜を何だと思ってるの!?」
「トラブルメーカー」
「酷い!!」
由芽の即答に異議を申し立てる霙。2人の漫才のような会話に思わず笑いをこぼれる。それから色々と会話をしたあと、由芽が口を開いた。
「そういえば今日は冬間双子と一緒じゃないのね」
「あー、うん。会ったら一緒に行く流れになるだろうし置いて来た。多分あいつらはギリギリで来るよ」
「そうよねー、普通幼馴染だったとしても修学旅行前に一緒に来ることって少ないわよね」
「そうなんじゃないかな?よっぽど仲良くない限り…」
由芽がチラッと私を見る。何となく言いたいことが分かって顔が笑ったまま強張る。
「まぁそんな仲良しな幼馴染がここにいるんですけども」
「え!?夕音、榊くんと来たの!?」
榊原くんと呼ぶのは長くて面倒だから榊くんと呼んでいるらしい。なんて現実逃避の説明は置いておき、由芽は私のことをいじりたいようだった。由芽の情報量と観察力ならば、私が羅樹を好きなこともお見通しなのだろう。
「あー…うん、半分寝てたから、記憶にないけど…」
「榊原くんにもそう言われたわ。ほぼ寝てるから宜しく~って」
「すみません…」
「まぁ貴重な夕音の寝顔が撮れたから良いけど」
「ちょっと待って?今なんか重大なこと言わなかった?」
「まぁまぁ、ほら、空港に着くよ」
まだ引き下がるまいと思ったが、目の前に広がる景色に目を奪われ、何も言えなくなってしまった。
今日から3泊4日で始まる修学旅行。何か起こる気配がするのはきっと気のせいだろう。
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