神様自学

天ノ谷 霙

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10月19日 上機嫌School Days

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「おはよー」
「おはよう」
「はよーっ」
羅樹と関係が戻ったのが嬉しくて、楽しくて、少し上機嫌だ。授業も久しぶりにちゃんと聞くことが出来た。1週間ほとんど集中出来ていなかったので、内容理解には時間がかかった。来週はテスト期間なので、少し不安だ。しかし気分が良いからか、嫌いな教科でも楽しく受けられた。我ながら単純だと思うが、恋する女の子なら分かる人もいるかもしれない。
体育の後に自販機にジュースを買いに来た。ジュースを取って振り向くと、そこには北原くんがいた。
「北原くん!」
「あ、稲森」
相変わらず何を考えているか分からないぼーっとした様子だが、私が話しかけると少し表情を緩めた。
「この間はありがとう。もう元気になったから大丈夫だよ」
そう言って笑顔でガッツポーズを作ってみせる。北原くんは少し目をぱちぱちさせたあと、ふっと笑った。
「空元気じゃ、ないみたいだな。良かった」
「うん、ありがとう」
お礼がしたいが、今日も北原くんは財布ではなく100円玉を持っているようだ。なら明日、お菓子でも持ってこよう。そう考えて、私はその場を後にする。

「…俺の出番じゃ、なかったかな」

そんな北原くんの呟きは、私の耳には届かなかった。

私が教室に戻ると、明が嬉しそうにメロンパンを食べていた。開いた空の袋が2袋、机の上に無造作に置いてあることから、今食べているのは3個目だろうと予想する。
「明…今の時間に食べたの…?」
「…ん、うん。体育したからお腹空いた」
「…そ、そう…?」
今の体育は選択であり、私と明は同じである。だから教室に帰ってきたタイミングは一緒なのだが、どう考えても5分ちょっとしか経っていない。着替えも済ませてメロンパンを3個食べるのは早すぎる。明だから、流石、としか言えない。
「…夕音もお腹空いた?」
「え?」
「ん」
明は私の方にメロンパンを向ける。眠そうなとろんとした瞳でじっと見つめられ、戸惑う。
「え?何?」
「食べる?」
「あ、いや、いいよ。あと1時間授業を終えたらお昼だし」
「…そう…?」
首を傾げて、本当にお腹空いていないの?という本気で不思議そうな瞳で見てくる。しかしまぁいいか、とでも思ったのか、再びメロンパンを口に運ぶ。幸せそうな表情を浮かべるので、こっちまで幸せな気分になってくる。可愛いなぁ。
「そろそろ席に戻…っ早!?」
私が時計を見上げて再び明を見たときには、もう既にメロンパンはなかった。
「んー、ごちそうさまでした」
丁寧に手を合わせてそう呟く明。私は思わず笑ってしまった。
「また後でね」
そう話して私は席に戻った。手に、冷えたジュースの水滴が伝った。
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