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9月20日 一般公開終了
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小野くんの声が響いて、私達の出し物は終わりを告げた。体育館がいっぱいになるくらいの人が来てくれて、素直に嬉しかった。
「あと1時間半くらいで一般公開終了だね」
「あーもう終わりか…文化祭はあっという間だな」
「そのあっという間すら参加出来なかった子がいるのか…」
淑乃や千夏、由芽の話し声が聞こえる。どうやら、「今日は大事な仕事が入りまして、お嬢様は拒否したのですが、どうしても…」と言っていた花火のことらしい。確かに文化祭は2日間あるのに、いつもの授業より何倍もあっという間に感じた。高校生活の中で3回しか無いから当たり前なのかもしれないが、やはり寂しいものだ。
「夕音ちゃん?」
眞里阿の声が聞こえて、ハッとする。慌てて笑顔を繕って返事をすると、ぱあっと顔を輝かせて話しだした。
「一般公開終了までまだありますし、一緒に回りませんか?」
「いいよ。どこか行きたいの?」
好奇心旺盛な子供のように、無邪気にパンフレットを開く眞里阿。その様子がとても可愛らしくて、気が付いたら私も心から笑っていた。
「えっとですね…!部活の子がいるので、そのクラスに行きたいのですが…っ!」
「何組?」
「えっとえっと…!」
楽しそうな眞里阿を見ていると、私もつられて楽しくなってくる。私は特に行きたいところもなかったので、1年生や3年生のクラスを少し回って、売り切れていた商品に肩を落とす眞里阿を慰めたりしながら残りの時間を過ごした。
そして、一般公開終了の放送が流れた。
私と眞里阿は教室に戻って、小物の後片付けをしていた何人かを手伝う。本格的な片付けは明日があるので、少しだけ端に寄せるとかそれくらいだけだった。そして閉会セレモニーのために、体育館へ向かう。出し物が体育館だったせいで、ずっと体育館にいるようなイメージだ。
体育館には、まだ着替えていない生徒のカラフルな衣装や、もう既に帰る気満々の制服の生徒などさまざまな人がいた。
3年生の司会役の先輩が、一生懸命盛り上げる。それに便乗した大きな応援の声が、更に会場を盛り上げて楽しくなってくる。
「成績発表です!一般公開で来た人や生徒の皆さんに渡したアンケートの集計結果です」
「学年賞、1年生…6組!」
1年生の盛り上がる声が聞こえる。嬉しそうな表情が少しだけ見えたが、先輩に遠慮してあまり騒げない、という様子だった。
「2年生…3組!」
私のクラスが、耳が痛いくらいに騒ぎだす。特に声の大きい数人が、異常なくらいに盛り上がっていた。
「学校賞、3年生、7組!」
私のクラスよりも更に大きな声で騒ぐ3年生。中には涙を流している人もいた。
来年は、私達の番か。
そんなことを考えていると、少し目頭が熱くなってきたような気がする。
「やったね!皆!」
亜美と藤上くんがステージに上がって商品を受け取る。ステージにだけ当たっているライトが2人をキラキラと映し出して、とても印象に残った。
「あと1時間半くらいで一般公開終了だね」
「あーもう終わりか…文化祭はあっという間だな」
「そのあっという間すら参加出来なかった子がいるのか…」
淑乃や千夏、由芽の話し声が聞こえる。どうやら、「今日は大事な仕事が入りまして、お嬢様は拒否したのですが、どうしても…」と言っていた花火のことらしい。確かに文化祭は2日間あるのに、いつもの授業より何倍もあっという間に感じた。高校生活の中で3回しか無いから当たり前なのかもしれないが、やはり寂しいものだ。
「夕音ちゃん?」
眞里阿の声が聞こえて、ハッとする。慌てて笑顔を繕って返事をすると、ぱあっと顔を輝かせて話しだした。
「一般公開終了までまだありますし、一緒に回りませんか?」
「いいよ。どこか行きたいの?」
好奇心旺盛な子供のように、無邪気にパンフレットを開く眞里阿。その様子がとても可愛らしくて、気が付いたら私も心から笑っていた。
「えっとですね…!部活の子がいるので、そのクラスに行きたいのですが…っ!」
「何組?」
「えっとえっと…!」
楽しそうな眞里阿を見ていると、私もつられて楽しくなってくる。私は特に行きたいところもなかったので、1年生や3年生のクラスを少し回って、売り切れていた商品に肩を落とす眞里阿を慰めたりしながら残りの時間を過ごした。
そして、一般公開終了の放送が流れた。
私と眞里阿は教室に戻って、小物の後片付けをしていた何人かを手伝う。本格的な片付けは明日があるので、少しだけ端に寄せるとかそれくらいだけだった。そして閉会セレモニーのために、体育館へ向かう。出し物が体育館だったせいで、ずっと体育館にいるようなイメージだ。
体育館には、まだ着替えていない生徒のカラフルな衣装や、もう既に帰る気満々の制服の生徒などさまざまな人がいた。
3年生の司会役の先輩が、一生懸命盛り上げる。それに便乗した大きな応援の声が、更に会場を盛り上げて楽しくなってくる。
「成績発表です!一般公開で来た人や生徒の皆さんに渡したアンケートの集計結果です」
「学年賞、1年生…6組!」
1年生の盛り上がる声が聞こえる。嬉しそうな表情が少しだけ見えたが、先輩に遠慮してあまり騒げない、という様子だった。
「2年生…3組!」
私のクラスが、耳が痛いくらいに騒ぎだす。特に声の大きい数人が、異常なくらいに盛り上がっていた。
「学校賞、3年生、7組!」
私のクラスよりも更に大きな声で騒ぐ3年生。中には涙を流している人もいた。
来年は、私達の番か。
そんなことを考えていると、少し目頭が熱くなってきたような気がする。
「やったね!皆!」
亜美と藤上くんがステージに上がって商品を受け取る。ステージにだけ当たっているライトが2人をキラキラと映し出して、とても印象に残った。
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