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パールの章
再会
しおりを挟むパールがドアを小さく開けると予想通り、藍色の短髪に夜明けの橙色の瞳の少年が立っていた。
少年?ーいや別れてからたった3ヶ月しか経っていないのに、顔付きが以前よりどことなく大人びている気がする。
「ーハルさん、どこか具合が悪い所はありませんか?」
パールの気も知らずディズは後ろ手で素早くドアの鍵を掛けながら、パールに尋ねた。
「あっ、はい、大丈夫です!
わざわざ来て頂いて、ありがとうございます!」
「それなら、良かったです。
今からイズンを連れてくるので、もう少しだけ待ってて下さいね。
ードアは誰が来ても絶対に開けないで下さい。
僕が部屋を出たらすぐに鍵も掛けてください、では!」
そう言い残してディズは来たばかりの部屋を出ていく。
パールは彼の言葉通り、再びドアを施錠した。
余りにも急な出来事で余りにも慌ただしかったので、パールは夢か幻かと自身の頬を抓る。
加減はしたので痛くはなかったが、抓られた感触は頬にしっかり残っていた。
パールが暫く呆気に取られていると、突然部屋の真ん中が光りだす。
声も出せずに光が収まるのを待っていると
「久しぶりっすねー、ハルさん!
無事で良かったっす!」
そこにはターコイズブルーの髪と瞳を持った底抜けに元気な少女と、先程別れたばかりの少年が立っていた。
パールに声を掛けたのは少女の方である。
パールの記憶の中の彼女よりも少し髪が伸びたせいか、彼女もまた少し大人っぽくなっていた。
「…イズンさん…本当に来てくれるなんて…ありがとうございます…」
逃亡生活を始めて直接誰かに助けてもらう経験が皆無だったパールは、嬉しさと安堵で再び涙が溢れてしまった。
「オレは死んでたはずの所をハルさんに助けられたんだから当然っすよ!
ーすぐにでも移動したいんすけど、荷物はこれで全部っすか?」
イズンはベッド側に置いてある旅行バッグに目を遣る。
「はい、あれで全部です。」
ズズッと鼻を啜りながらパールは答えた。
イズンはうんと一つ頷いて肩からぶら下げた。
「積もる話はあるっすけど移動してから話しましょ。」
「で、でもっ、外には騎士が彷徨いてて…」
「だからこそオレの出番っすよ!」
パールの右手を取る。
左手はディズが「失礼します」と握る。
イズンとディズはお互い空いた手を取り合った。
イズンはそれを確認して
「転移魔法、トットト街へ!」
転移魔法を発動した。
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