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ターコイズの章
曽祖父
しおりを挟む「ー僕は帝都ぐらいだけど、イズンの『夢』って何なの?」
ディズはゴワスギルドで話していた事が気になっていたのだ。
「あぁ、オレの夢はなひいじーさんの墓参りがしたいんだ。」
「イズンのひいお祖父さん?」
イズンは左腕の手首に着けているブレスレットをディズに見せる。
ブレスレットはシンプルなシルバーの意匠で、真ん中にターコイズの宝石が嵌められていた。
「ーこれな、ひいじーさんの形見らしいんだ。
オレは直接会った事ないけど、母ちゃんが元気な時に色々と話してくれたんだよ。」
「じゃあ、ひいお祖父さんはお母さん方なんだね。」
そしてイズンは母親が楽しそうに話してくれた曽祖父の話を思い出しながら、ディズに語りだした。
☆☆☆☆☆
「イズン、7才の誕生日おめでとう!
母ちゃんからのプレゼントはコレだよ!」
そう言ってイズンの母親はブレスレットを娘に差し出す。
「うわぁ、キレイ…母ちゃんありがとう!」
「ウフフ、どういたしまして!
ーこれね、母ちゃんのお祖父ちゃんの形見なんだよ。
イズンから見たらひいお祖父ちゃんだね。」
イズンの父親もブレスレットを覗き込んだ。
「…ターコイズが嵌め込まれてるな。
もしかして?」
「うん、そうなの。
お祖父ちゃんもターコイズの祝福を受けた人だったんだよ。
髪も目の色もイズンと全く一緒。
使える魔法は全然違うみたいだけどね。」
「えぇー、そうなの!?
ひいじーちゃんはどんな魔法を使ってたんだ?」
イズンは興味深々で母親に尋ねた。
「『火の魔法』だよ!
帝国ーいえ世界随一の火の魔法の使い手だったらしくて、冒険者をしてたんだって。
性格もかなり暑苦しかったから、帝国の北方で暮らしてたんだよ。」
父親がブハッと吹き出す。
「暑苦しい性格ってヒドいなぁ。
性格と気候は関係ないだろう。」
「それがね、不思議な事にお祖父ちゃんがいた時は北方の寒さが和らいでたんだって!」
両親は揃ってアハハと笑っていた。
イズンは7才にはまだ大きいブレスレットを左腕に着ける。
「…いいなぁ、冒険者。
オレもいつか世界中を旅して、ひいじーちゃんがいた北方にも行ってみたい!」
両親は複雑そうな顔をして娘に告げた。
「…イズン、お祖父ちゃんもそうだったんだけど帝国からは特例がないと出られないんだよ。」
帝国の法律で女神ジュエルの祝福を受けた者は、特例がない限り国外に出る事は禁じられている。
祝福で得た能力を流出させない為の措置だった。
ーでは、『特例』の場合は何なのか?
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