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両親⑤
しおりを挟む女が去り静かになったので、我は閻魔帳の両親の続きを読み始める。
マキの一件で保育園を退園した娘は、小学校に上がるまで専業主夫になった父親が家で世話をしていた。
妻は宣言通りに娘に一切関わらなくなった。
朝は娘が起きる前に出勤し、夜は娘が寝た後に帰宅する毎日だ。
休日も1日寝ているか1人で出かけて過ごしていた。
ーこうして母親に愛されないまま娘は小学校に入学した。
入学式に参列したのは父親だけだ。
「…パパー、ママはいないの?」
「…ママはお仕事が忙しいから…」
父親は引きつった笑みで言い訳をした。
「…ふぅん。」
娘は膨れっ面をしながら、父親と母親に挟まれて『◯◯小学校入学式』の立て看板の所で笑顔で写真を撮っている同級生を見つめた。
ー周りのクラスメイトは母親に愛されて、自分は愛されていない事実にストレスを抱えた娘は
「わぁ、アッちゃんの消しゴム可愛い!
アタシに貸してー?」
「…えぇ、でもこの前貸した下じきもまだ返してもらってないし…」
「ゴメンゴメン、明日返すからさー!
だからお願い、貸して?」
「………はい。」
日々、気弱な女子で鬱憤を晴らしていた。
娘はマキの一件で悪事は誰にもバレなければ良いと学んでしまった。
その為、娘のターゲットは常に気弱な女子を選び、いじめの期間も短期間で変えていったのだ。
更に娘が狡猾なのは複数で虐めず、1対1で虐めた為に目立たずに担任も気付けなかった。
ーしかし小学4年生の時に1人の少女に悲劇が起きる。
少女の名は佐竹 ナミカという。
ナミカは2年前に病で父親を亡くし母親と2人で暮らしていた。
看護師として忙しく働く母親に、家事を出来る範囲で手伝いながら協力していた。
そんなナミカに2つの不幸な偶然が重なってしまう。
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