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 披露宴の日は晴天でした。
 屋敷でドレスを着付けてもらい、オープンタイプの馬車に乗って大聖堂まで向かいます。屋敷の外には既に貴族の見物人が大勢集まっており、大変緊張しましたが全員野菜だと思ってやり過ごしました。

 この国の披露宴は物凄い予算をかけて行なわれると聞きました。現に今も楽団やら、何でしょうか……よくわからない職業の人も集まって盛り上げていました。

 殿下はこの国の伝統的な祭礼服を着用して、贔屓目かもしれませんけれど、普段より数割増しで格好良く見えます。

 宝石が眩く輝く黄金のドレスのトレーンを引き摺る私と、スマートに私を導く殿下の二人は、人混みを抜けて大聖堂へと辿り着きました。大聖堂は貴族や聖職者でこれまた埋め尽くされていました。
 私も何回か大聖堂には訪れたことがあります。何もしていなくとも壮麗な大聖堂も、今日はより一層の装飾がなされていました。

 高い天井にやや緊張しながら一歩ずつ絨毯を踏みしめて歩みを進めると、視界の端に号泣しているヨハネスが目に入りました。ハンカチで目を拭い続けています。観衆よりもずっとそっちの方が怖いですから。隣に座っている公爵様が軽く引いています。
 でも、なんだか弟だけはいつも通りといったふうな様子でいたので、緊張は幾分か解れました。ちらりと殿下の方を伺うと、少しばかり表情が固く、それもまた緊張が和らぎます。

 司教様が私達に、何かの文献からの引用でこれからの人生を祝福する言葉を贈ってくださいましたが、ほとんど頭に入りませんでした。

 その後、司教様の手によって宝冠を被せられて式は一応終わりました。
 仕切り直しのために一度屋敷に戻り、またまた舞踏会を開きます。

 大聖堂で、来るまでに乗ってきた馬車とは違う装飾のものが迎えに来ました。それに乗って街中をぐるりと周って屋敷に戻るそうです。
 結局練り歩きは阻止できなかったみたいですね。
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