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『結婚おめでとう』
「ありがとう…ございまっ………ふっ……」
「「「「…………」」」」
早いもので、ブラントさんと婚約を結んでから1年も経たない今日、結婚式を迎えた私達の目の前に金髪碧眼のオールデンさんが現れた。
ブラントさんは以前言っていた通り、私と結婚する前に公爵を返上した──けど「叔父上の子に引き継いでもらいますから」とルドヴィクさんに言われ、“一時預かり”となった。王族籍もそのままだ。
兎に角、ブラントさんは騎士爵位で私は平民と言う事で、結婚式はイシュメルさんにお願いをして、参列者はネッドさんとジェナさんとルドヴィクさんとリンだけの小さな式。ただ、リンが1週間前に王子を出産した為、リンは参列する事ができなくなってしまった。おめでたい事だけど、少しだけ残念だ。
そんな小さな小さな結婚式の途中に、神殿内がキラキラと輝きだしたと思えば、想像画通りの姿をしたオールデンさんが現れた。私は笑いを堪えるのに必死だけど、他の人達は目を見開いたまま固まっている。
『チカ、これが普通の反応だ。チカは素っ気なさ過ぎるのだ。まぁ、それがチカの面白いところだがな』
ニヤッと黒く笑った後、スッと表情を引き締めた。
『ブラント。チカは立派に聖女としての務めを果たし、この国を豊かにした私のお気に入りだ。くれぐれも、チカの事は頼むぞ?ルドヴィク、父王の様にはならないようにな?イシュメル、これからもチカを頼む。チカ、幸せにな』
「はい。オールデンさん、ありがとうございます」
お礼を言うと、また神殿内がキラキラと光った後、オールデンさんの姿は無くなっていた。
******
『『『チカ、おめでとう』』』
アルスティアの家に戻ると、フラムとアイルとトゥールが出迎えてくれた。
『私達、オールデン様に呼ばれているから今から行って来るわね。今夜は頑張ってね!』
『チカ、頑張れ』
『チカ、頑張れ~』
「何を!!!!」
ーそんな言い方止めなさい!ー
見た目小さいから、そんな言葉を掛けられるとは思ってもみなかったから、余計に恥ずかしい。
これからは所謂“結婚初夜”。ブラントさんは一度登城し、騎士団長に挨拶をしてからアルスティアに来る予定。王族でもあるブラントさんが、アルスティアで生活をするのはどうなの?と心配していたけど、ルドヴィクさんからも「転移魔法陣があるから何処に住んでいても一緒だろう」と言われたそうだ。
兎に角、ブラントさんが帰って来る前に……お風呂に入ろう。
「うわぁ………」
入浴後、2人の寝室となる部屋に入ると、大人3人が寝れる大きさのベッドの上に赤と青と緑の花びらが散りばめられていた。可愛い姿をした妖精は、大人な配慮ができる妖精だった。
「これ、チカがやったのか?」
「ふわあっ!?ブラントさん!」
いつの間に帰って来たのか、ブラントさんにバックハグをされた状態で耳元で囁かれた。
「えっと…これは……」
「俺には見えてはいないけど、花を届けてくれていた妖精か?」
「そうです」
「気の利く妖精だな」
「そうで─ひやあっ!?」
「安定のチカだな」
と、くすくすと笑うブラントさんにお姫様抱っこでベッド迄運ばれて、ベッドに下ろされた─のと同時に啄む様なキスをされ、あっと言う間に深いキスになり──
「俺の全てをチカにあげるから、チカの全てを俺にくれる?」
「………はい」
と返事をすれば、フワリと微笑んで
「俺がどれだけチカが好きなのか……思い知ってもらうから」
と笑顔でブラントさんが宣言した通り、私はその一晩でブラントさんからの愛の重さを………思い知らされました。
気を失うって………あるんですね?
『やり過ぎじゃない?』
『チカ、大丈夫?』
『チカ、何か飲む?』
初夜の翌日、お昼過ぎ迄起きる事ができなかった。お昼過ぎに起きる事はできたけど、動く事はできなくて、ベッドの上で笑顔のブラントさんにお世話をしてもらっていたところに、フラムとアイルとトゥールが帰って来た。
「この、赤色と青色と緑色の子達は…妖精か?」
「え!?ブラントさん見えるんですか!?」
あれ?今迄見えてなかったよね!?どうして!?と、フラム達に視線を向ける。
『あぁ、それは、私達と契約を交わしているチカと、ブラントが交わったからよ』
「ごふっ─────!!言い方!」
「なるほど。今迄見えていなかったが、毎日花を届けてくれてありがとう」
『花を運んでいたのは僕で、風の妖精のトゥールだよ。これからもよろしくね』
『僕はアイル。水の妖精だ』
『私は火の妖精のフラムよ。私達の最優先はチカだから。』
「分かっている」
『それと…チカに無理強いはさせないように。あまりに酷いと……私が赦さないから』
「……善処する」
見た目は可愛い小さい小さい火の妖精フラムだけど、誰よりも頼りになるお姉さんです。
異世界で聖女として頑張った挙句裏切られ、王子に裏切られた悪役令嬢を拾い
もうイケメンは懲り懲り──
と思っていた私だけど、異世界でもイケメンに捕まりました。今度こそは、ブラントさんと幸せになります!
❋これにて完結となります。最後迄お付き合いいただき、ありがとうございました❋
(*ˊᗜˋ*)ノ°•· ✿
❋“置き場”に、その後の話を投稿しました。時間がある時にでも覗いて見ていただければ幸いです❋
(,,ᴗ ̫ᴗ,,)ꕤ*.゚
「ありがとう…ございまっ………ふっ……」
「「「「…………」」」」
早いもので、ブラントさんと婚約を結んでから1年も経たない今日、結婚式を迎えた私達の目の前に金髪碧眼のオールデンさんが現れた。
ブラントさんは以前言っていた通り、私と結婚する前に公爵を返上した──けど「叔父上の子に引き継いでもらいますから」とルドヴィクさんに言われ、“一時預かり”となった。王族籍もそのままだ。
兎に角、ブラントさんは騎士爵位で私は平民と言う事で、結婚式はイシュメルさんにお願いをして、参列者はネッドさんとジェナさんとルドヴィクさんとリンだけの小さな式。ただ、リンが1週間前に王子を出産した為、リンは参列する事ができなくなってしまった。おめでたい事だけど、少しだけ残念だ。
そんな小さな小さな結婚式の途中に、神殿内がキラキラと輝きだしたと思えば、想像画通りの姿をしたオールデンさんが現れた。私は笑いを堪えるのに必死だけど、他の人達は目を見開いたまま固まっている。
『チカ、これが普通の反応だ。チカは素っ気なさ過ぎるのだ。まぁ、それがチカの面白いところだがな』
ニヤッと黒く笑った後、スッと表情を引き締めた。
『ブラント。チカは立派に聖女としての務めを果たし、この国を豊かにした私のお気に入りだ。くれぐれも、チカの事は頼むぞ?ルドヴィク、父王の様にはならないようにな?イシュメル、これからもチカを頼む。チカ、幸せにな』
「はい。オールデンさん、ありがとうございます」
お礼を言うと、また神殿内がキラキラと光った後、オールデンさんの姿は無くなっていた。
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『『『チカ、おめでとう』』』
アルスティアの家に戻ると、フラムとアイルとトゥールが出迎えてくれた。
『私達、オールデン様に呼ばれているから今から行って来るわね。今夜は頑張ってね!』
『チカ、頑張れ』
『チカ、頑張れ~』
「何を!!!!」
ーそんな言い方止めなさい!ー
見た目小さいから、そんな言葉を掛けられるとは思ってもみなかったから、余計に恥ずかしい。
これからは所謂“結婚初夜”。ブラントさんは一度登城し、騎士団長に挨拶をしてからアルスティアに来る予定。王族でもあるブラントさんが、アルスティアで生活をするのはどうなの?と心配していたけど、ルドヴィクさんからも「転移魔法陣があるから何処に住んでいても一緒だろう」と言われたそうだ。
兎に角、ブラントさんが帰って来る前に……お風呂に入ろう。
「うわぁ………」
入浴後、2人の寝室となる部屋に入ると、大人3人が寝れる大きさのベッドの上に赤と青と緑の花びらが散りばめられていた。可愛い姿をした妖精は、大人な配慮ができる妖精だった。
「これ、チカがやったのか?」
「ふわあっ!?ブラントさん!」
いつの間に帰って来たのか、ブラントさんにバックハグをされた状態で耳元で囁かれた。
「えっと…これは……」
「俺には見えてはいないけど、花を届けてくれていた妖精か?」
「そうです」
「気の利く妖精だな」
「そうで─ひやあっ!?」
「安定のチカだな」
と、くすくすと笑うブラントさんにお姫様抱っこでベッド迄運ばれて、ベッドに下ろされた─のと同時に啄む様なキスをされ、あっと言う間に深いキスになり──
「俺の全てをチカにあげるから、チカの全てを俺にくれる?」
「………はい」
と返事をすれば、フワリと微笑んで
「俺がどれだけチカが好きなのか……思い知ってもらうから」
と笑顔でブラントさんが宣言した通り、私はその一晩でブラントさんからの愛の重さを………思い知らされました。
気を失うって………あるんですね?
『やり過ぎじゃない?』
『チカ、大丈夫?』
『チカ、何か飲む?』
初夜の翌日、お昼過ぎ迄起きる事ができなかった。お昼過ぎに起きる事はできたけど、動く事はできなくて、ベッドの上で笑顔のブラントさんにお世話をしてもらっていたところに、フラムとアイルとトゥールが帰って来た。
「この、赤色と青色と緑色の子達は…妖精か?」
「え!?ブラントさん見えるんですか!?」
あれ?今迄見えてなかったよね!?どうして!?と、フラム達に視線を向ける。
『あぁ、それは、私達と契約を交わしているチカと、ブラントが交わったからよ』
「ごふっ─────!!言い方!」
「なるほど。今迄見えていなかったが、毎日花を届けてくれてありがとう」
『花を運んでいたのは僕で、風の妖精のトゥールだよ。これからもよろしくね』
『僕はアイル。水の妖精だ』
『私は火の妖精のフラムよ。私達の最優先はチカだから。』
「分かっている」
『それと…チカに無理強いはさせないように。あまりに酷いと……私が赦さないから』
「……善処する」
見た目は可愛い小さい小さい火の妖精フラムだけど、誰よりも頼りになるお姉さんです。
異世界で聖女として頑張った挙句裏切られ、王子に裏切られた悪役令嬢を拾い
もうイケメンは懲り懲り──
と思っていた私だけど、異世界でもイケメンに捕まりました。今度こそは、ブラントさんと幸せになります!
❋これにて完結となります。最後迄お付き合いいただき、ありがとうございました❋
(*ˊᗜˋ*)ノ°•· ✿
❋“置き場”に、その後の話を投稿しました。時間がある時にでも覗いて見ていただければ幸いです❋
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