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22 ジョセリンさんと聖女
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あれから一頻り泣いた後、ジョセリンさんはポツリポツリと今迄の事を話してくれた。
ジョセリン=クロードハイン
隣国デストニア王国の元公爵令嬢。
10歳で王太子の婚約者となり、12歳から王族としての教育や、王妃となるべく教育を積み重ねて来たジョセリンさん。王太子との仲も良好で、毎日の勉強も辛かったそうだけど、いつも王太子が支えてくれていたから頑張れた。そして、16歳になると、その教育プラス、学校生活が始まり、更に慌ただしい日々を送る事になったけど、やはり、そこでも王太子の支えがあり、大変な毎日を過ごす事ができていた。
ーどこかの第二王子とは違うよねー
そして、学生生活2年目に、その生活が一変する出来事が起こった。
“聖女召喚”
この国同様に、隣国でも穢れや瘴気が酷くなり、オールデン神のもと、聖女を召喚する事になった。
そして、召喚でやって来た聖女は、過去の例と同じ様に、神殿ではなく王族が面倒を見る事となり、同じ年齢だった王太子とジョセリンさんが一緒に行動する事になった。
「それからです……殿下が変わってしまったのは……」
ベッドに座ったままのジョセリンさんが、ギュッと布団を握りしめる。
聖女は異世界から来た為、この世界の事が分からない。その為、王太子もジョセリンさんも常に聖女と一緒に居る事になったけど、気が付けば、王太子と聖女が2人だけで行動する事が増えていった。
それはどうなのか───異世界の聖女とは言え、婚約者でもない者と2人きりになると言うのは、この世界ではあまり良くない事だ。だから、「2人きりになるのは避けた方が良い」と忠告すると「ジョセリン、嫉妬は見苦しいぞ?」と、笑いながら言われたそうだ。
ーあれ?なんだか…微妙な王子?ー
それからも、相変わらず2人で居る時間が増え、ジョセリンさんは1人になる事が多くなり───
「ジョセリン、君が、聖女を虐めていると言うのは本当か?」
「聖女が放課後の教室で泣いていたそうだが、その教室からジョセリンが出て来るのを見たと言う者が居る。どう言う事だ?」
「聖女だけが、クロードハイン家のお茶会に呼ばれなかったのは、嫌がらせか?嫉妬なのか?」
「私が聖女に送ったブレスレットを、何故ジョセリンが持っているんだ!?」
毎日の様に、王太子から身に覚えのない事で怒られるようになった。
「確かに、婚約者ではないから、2人だけで行動するのは止めて下さいと言いましたけど、私が聖女様に何かをするなんて事はありません。誰が、自国を救ってくれる聖女様を虐げたりするんですか!?」
ーうーん…居るんだよね……この国には…ー
「私は…殿下をお慕いしていましたから……正直に言うと、聖女様に嫉妬は…していましたけど、私は虐げたりはしていません。聖女様が泣いていたなんて事も知りませんでしたし、その場に居なかった私を目撃したなど……それを聞いた時、私には…味方が居ないのか…と自覚しました。学校ではほぼ1人で行動していたので、私が聖女様を虐げていないと言う証拠が……ないんです。」
それからは、極力一人きりにならないように気を付けるようにしていた。
それがある日、王太子が聖女にブレスレットをプレゼントした─と親切なご令嬢が教えてくれたそうで、更に有り難い事に、そのブレスレットを聖女から取り上げて来てくれたそうだ。
ーなんて迷惑な事をする令嬢なの!?ー
そのブレスレットを無理矢理私に押し付けたところへ、泣いている聖女と一緒に王太子がやって来て、それを目にした王太子がキレた。しかも、親切なご令嬢は、「ジョセリン様に命令されて!」と、泣き出したそうだ。
ー茶番もいいとこだー
そんな苦痛な学生生活ももうすぐ卒業─と言う3日前に、急遽王城から呼び出され王城に行くと、王太子から「証拠が揃ったから、罪を認めて謝罪しろ」と言われたが、ジョセリンさんが否定し再調査を願い出ようとすると、既に親である公爵から切り捨てられていたそうで、「国外追放」を言い渡されてしまったそうだ。
そして、そのまま騎士達に引き摺られるように城から追い出され、王家でも自分の家のモノでもないボロボロの馬車に乗せられ、そのまま隣国のこの国に連れて来られた。まる1日走り続けた馬車が止まり、扉が開き男が入って来たと思えば、口を押さえられ倒されそうになった為、その男を力の限り押し退け、その男が倒れている隙に逃げ出したけど、追い付かれて、また押し倒されて───
「そこを、私が見付けたと言う事ね……」
「気を失っていて覚えてはいませんが、そうだと思います。助けていただいて…本当に……ありがとうございます」
ーあぁ…本当にどの国にもクズが居るのねー
でも───
その聖女もおかしくはないだろうか?この世界に限らず、注意されても婚約者が居る人と2人きりになるとか……
ーそんな女も居たな……既成事実付きで……ー
「私は、“悪役令嬢”なんだそうです」
「………悪役……令嬢…………」
召喚されてやって来たのは、私と同じ日本人で、ラノベ大好き女子高生……だったりするんだろうか?
ジョセリン=クロードハイン
隣国デストニア王国の元公爵令嬢。
10歳で王太子の婚約者となり、12歳から王族としての教育や、王妃となるべく教育を積み重ねて来たジョセリンさん。王太子との仲も良好で、毎日の勉強も辛かったそうだけど、いつも王太子が支えてくれていたから頑張れた。そして、16歳になると、その教育プラス、学校生活が始まり、更に慌ただしい日々を送る事になったけど、やはり、そこでも王太子の支えがあり、大変な毎日を過ごす事ができていた。
ーどこかの第二王子とは違うよねー
そして、学生生活2年目に、その生活が一変する出来事が起こった。
“聖女召喚”
この国同様に、隣国でも穢れや瘴気が酷くなり、オールデン神のもと、聖女を召喚する事になった。
そして、召喚でやって来た聖女は、過去の例と同じ様に、神殿ではなく王族が面倒を見る事となり、同じ年齢だった王太子とジョセリンさんが一緒に行動する事になった。
「それからです……殿下が変わってしまったのは……」
ベッドに座ったままのジョセリンさんが、ギュッと布団を握りしめる。
聖女は異世界から来た為、この世界の事が分からない。その為、王太子もジョセリンさんも常に聖女と一緒に居る事になったけど、気が付けば、王太子と聖女が2人だけで行動する事が増えていった。
それはどうなのか───異世界の聖女とは言え、婚約者でもない者と2人きりになると言うのは、この世界ではあまり良くない事だ。だから、「2人きりになるのは避けた方が良い」と忠告すると「ジョセリン、嫉妬は見苦しいぞ?」と、笑いながら言われたそうだ。
ーあれ?なんだか…微妙な王子?ー
それからも、相変わらず2人で居る時間が増え、ジョセリンさんは1人になる事が多くなり───
「ジョセリン、君が、聖女を虐めていると言うのは本当か?」
「聖女が放課後の教室で泣いていたそうだが、その教室からジョセリンが出て来るのを見たと言う者が居る。どう言う事だ?」
「聖女だけが、クロードハイン家のお茶会に呼ばれなかったのは、嫌がらせか?嫉妬なのか?」
「私が聖女に送ったブレスレットを、何故ジョセリンが持っているんだ!?」
毎日の様に、王太子から身に覚えのない事で怒られるようになった。
「確かに、婚約者ではないから、2人だけで行動するのは止めて下さいと言いましたけど、私が聖女様に何かをするなんて事はありません。誰が、自国を救ってくれる聖女様を虐げたりするんですか!?」
ーうーん…居るんだよね……この国には…ー
「私は…殿下をお慕いしていましたから……正直に言うと、聖女様に嫉妬は…していましたけど、私は虐げたりはしていません。聖女様が泣いていたなんて事も知りませんでしたし、その場に居なかった私を目撃したなど……それを聞いた時、私には…味方が居ないのか…と自覚しました。学校ではほぼ1人で行動していたので、私が聖女様を虐げていないと言う証拠が……ないんです。」
それからは、極力一人きりにならないように気を付けるようにしていた。
それがある日、王太子が聖女にブレスレットをプレゼントした─と親切なご令嬢が教えてくれたそうで、更に有り難い事に、そのブレスレットを聖女から取り上げて来てくれたそうだ。
ーなんて迷惑な事をする令嬢なの!?ー
そのブレスレットを無理矢理私に押し付けたところへ、泣いている聖女と一緒に王太子がやって来て、それを目にした王太子がキレた。しかも、親切なご令嬢は、「ジョセリン様に命令されて!」と、泣き出したそうだ。
ー茶番もいいとこだー
そんな苦痛な学生生活ももうすぐ卒業─と言う3日前に、急遽王城から呼び出され王城に行くと、王太子から「証拠が揃ったから、罪を認めて謝罪しろ」と言われたが、ジョセリンさんが否定し再調査を願い出ようとすると、既に親である公爵から切り捨てられていたそうで、「国外追放」を言い渡されてしまったそうだ。
そして、そのまま騎士達に引き摺られるように城から追い出され、王家でも自分の家のモノでもないボロボロの馬車に乗せられ、そのまま隣国のこの国に連れて来られた。まる1日走り続けた馬車が止まり、扉が開き男が入って来たと思えば、口を押さえられ倒されそうになった為、その男を力の限り押し退け、その男が倒れている隙に逃げ出したけど、追い付かれて、また押し倒されて───
「そこを、私が見付けたと言う事ね……」
「気を失っていて覚えてはいませんが、そうだと思います。助けていただいて…本当に……ありがとうございます」
ーあぁ…本当にどの国にもクズが居るのねー
でも───
その聖女もおかしくはないだろうか?この世界に限らず、注意されても婚約者が居る人と2人きりになるとか……
ーそんな女も居たな……既成事実付きで……ー
「私は、“悪役令嬢”なんだそうです」
「………悪役……令嬢…………」
召喚されてやって来たのは、私と同じ日本人で、ラノベ大好き女子高生……だったりするんだろうか?
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