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玖
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“死に急いでいる”
確かに、そう見えていても…おかしくはない。
貴族であれば、爵位が無くなると言う事は、明日の生活すら不安になると言う事。伯爵ともなれば、取り敢えずは十分に安心して生活を送る事ができるのに、俺はアッサリと養子縁組を断ったのだ。親としては…心配しただろう。
美南やライラの事しか頭になかった俺は、親としての気持ちをスッカリ忘れていたのだ。
「そんなお前からの初めての願い事が、まさかの婚約者だ!恋愛の“れ”の字もなかった!フェリクスが!まさかの婚約者!そりゃあ、全力で確保するに決まっているだろう!」
ー“確保”…アンジーは獲物扱いなんだろうか?ー
少し遠い目になり掛けた時、お茶会に行っていた筈の母が帰って来た。どうやら、父が俺の話を使用人に伝えに行かせたらしいく、それを聞いた母は直ぐ様邸に帰って来たそうだ。
「あなた!今すぐにコントラル家に手紙を──いえ、そんなまどろっこしい事はせず、今すぐにコントラル邸へ行ってらっしゃいませ!!」
と言う指示を受け、父は先触れの者と同時にに邸から飛び出して行った。
ーえ?先触れの意味あるのか?無いよな?え?あの父が、母の言いなり?ー
色々と処理し切れない事があり、軽くパニクっていると、ずっと静かに父の横で座っていた兄が、笑いながら教えてくれた。
「父上と母上は政略結婚ではなくて、大恋愛の末の結婚だったんだ。お前は知らないだろうけど、父上の母上に対する溺愛ぶりは、見ていて恥ずかしいモノがあるぞ?兎に角、そんな感じで、子供の俺達にも恋愛して結婚して欲しいと思っていたんだよ。それなのに、お前には恋愛の“れ”の字どころか、貴族から抜け出そうとしてるところがあったから、色々と諦めていたんだ。それなのに──だ。余程嬉しかったんだろうね。いや、俺も嬉しいよ。」
と、兄は本当に嬉しそうに笑っていて、父の居なくなった後の母には嬉し泣きしながら抱きつかれた。
やはり、先触れの者と父は同時にコントラル邸に到着。失礼極まりない訪問ではあるが、相手は公爵だ。コントラル伯爵に拒否権など無いに等しい。そのまま当主同士の話し合いになり、「本人同士の意思であれば─」と言う事で、その日のうちに俺とアンジーの婚約が調ったのである。
そうして、学園の卒業と同時に結婚。と同時に俺は正式に第一騎士団の騎士となった。住まいは、王都内にあるボルナット家が所有していた比較的小さめの邸だ。マイホームも自分の稼ぎ分でと思っていたが、「結婚を祝いたい!」と言う両親の勢いに“要らない”とは言えず、有難く頂戴しておいた。
ウェディングドレス姿のアンジーは綺麗だった。ようやく、また、俺の嫁になったアンジー。相変わらず記憶は戻ってはいないが、お互い好きで結婚した─できたのだ。これから2人で幸せになれる。
初夜──
日本人の記憶を持つ俺としては…
「一体…どんなプレイだ!」
と、思わず叫びそうになった。
入浴を済ませて寝室へと行くと………スケスケの服を来たアンジーが居た。
ーいや、あのスケスケは服の役割を放棄しているよな?ー
と、そこでイグニアスだった頃の記憶が蘇る。あぁ、このナイトドレスは、この世界に於いては普通の事だったな…。まさか……ミューもこんな感じで…殿下と?
ーちっ…あの若造め…ー
「フェリクス様?」
名を呼ばれてハッとする。
目の前には、スケスケを着て、サラリとプラチナブロンドの髪を垂らして、小首を傾げて青色の瞳を俺に向けているアンジーが居た。
「アンジー…もう、夫婦になったんだから、“様”は要らない。」
「……フェリクス?」
「アンジーっ」
名前を呼ばれた瞬間に、理性は吹っ飛んだ。
前世でライラを失ってからずっと、彼女だけを求めていた。彼女─アンジーに触れたかったのだ。
『ミューは…殿下に溺愛されてるみたいで、たまに日中に差し支えが出る事もありますね。』
ふと過ぎった、前世でミューの親友でありミューと同じ上級位魔導師だった女性の言葉。“一体、どんだけ……”と、腹立たしくイライラしたりもしたが………今の俺なら分かる。
ー好きだから…しょうがない。手加減?できる訳ないよな?ー
目の前に愛しい人が居て、お互い思い合っている夫婦だ。我慢も手加減もできる筈がない。何度目かの後で、気を失う様に眠ってしまったアンジーの身体を綺麗にして、服の役割を果たしているワンピースタイプの寝夜着を着せてからギュッと抱き寄せる。
「ようやくだ。アンジー…これからは、2人で幸せになろうな。」
そう呟いた後、アンジーのオデコにソッとキスをしてから、俺も目を閉じた。
❋はい。私の書く定番の“スケスケ”の、男性目線を入れる事ができました(笑)❋
(๑´艸`๑)♡
確かに、そう見えていても…おかしくはない。
貴族であれば、爵位が無くなると言う事は、明日の生活すら不安になると言う事。伯爵ともなれば、取り敢えずは十分に安心して生活を送る事ができるのに、俺はアッサリと養子縁組を断ったのだ。親としては…心配しただろう。
美南やライラの事しか頭になかった俺は、親としての気持ちをスッカリ忘れていたのだ。
「そんなお前からの初めての願い事が、まさかの婚約者だ!恋愛の“れ”の字もなかった!フェリクスが!まさかの婚約者!そりゃあ、全力で確保するに決まっているだろう!」
ー“確保”…アンジーは獲物扱いなんだろうか?ー
少し遠い目になり掛けた時、お茶会に行っていた筈の母が帰って来た。どうやら、父が俺の話を使用人に伝えに行かせたらしいく、それを聞いた母は直ぐ様邸に帰って来たそうだ。
「あなた!今すぐにコントラル家に手紙を──いえ、そんなまどろっこしい事はせず、今すぐにコントラル邸へ行ってらっしゃいませ!!」
と言う指示を受け、父は先触れの者と同時にに邸から飛び出して行った。
ーえ?先触れの意味あるのか?無いよな?え?あの父が、母の言いなり?ー
色々と処理し切れない事があり、軽くパニクっていると、ずっと静かに父の横で座っていた兄が、笑いながら教えてくれた。
「父上と母上は政略結婚ではなくて、大恋愛の末の結婚だったんだ。お前は知らないだろうけど、父上の母上に対する溺愛ぶりは、見ていて恥ずかしいモノがあるぞ?兎に角、そんな感じで、子供の俺達にも恋愛して結婚して欲しいと思っていたんだよ。それなのに、お前には恋愛の“れ”の字どころか、貴族から抜け出そうとしてるところがあったから、色々と諦めていたんだ。それなのに──だ。余程嬉しかったんだろうね。いや、俺も嬉しいよ。」
と、兄は本当に嬉しそうに笑っていて、父の居なくなった後の母には嬉し泣きしながら抱きつかれた。
やはり、先触れの者と父は同時にコントラル邸に到着。失礼極まりない訪問ではあるが、相手は公爵だ。コントラル伯爵に拒否権など無いに等しい。そのまま当主同士の話し合いになり、「本人同士の意思であれば─」と言う事で、その日のうちに俺とアンジーの婚約が調ったのである。
そうして、学園の卒業と同時に結婚。と同時に俺は正式に第一騎士団の騎士となった。住まいは、王都内にあるボルナット家が所有していた比較的小さめの邸だ。マイホームも自分の稼ぎ分でと思っていたが、「結婚を祝いたい!」と言う両親の勢いに“要らない”とは言えず、有難く頂戴しておいた。
ウェディングドレス姿のアンジーは綺麗だった。ようやく、また、俺の嫁になったアンジー。相変わらず記憶は戻ってはいないが、お互い好きで結婚した─できたのだ。これから2人で幸せになれる。
初夜──
日本人の記憶を持つ俺としては…
「一体…どんなプレイだ!」
と、思わず叫びそうになった。
入浴を済ませて寝室へと行くと………スケスケの服を来たアンジーが居た。
ーいや、あのスケスケは服の役割を放棄しているよな?ー
と、そこでイグニアスだった頃の記憶が蘇る。あぁ、このナイトドレスは、この世界に於いては普通の事だったな…。まさか……ミューもこんな感じで…殿下と?
ーちっ…あの若造め…ー
「フェリクス様?」
名を呼ばれてハッとする。
目の前には、スケスケを着て、サラリとプラチナブロンドの髪を垂らして、小首を傾げて青色の瞳を俺に向けているアンジーが居た。
「アンジー…もう、夫婦になったんだから、“様”は要らない。」
「……フェリクス?」
「アンジーっ」
名前を呼ばれた瞬間に、理性は吹っ飛んだ。
前世でライラを失ってからずっと、彼女だけを求めていた。彼女─アンジーに触れたかったのだ。
『ミューは…殿下に溺愛されてるみたいで、たまに日中に差し支えが出る事もありますね。』
ふと過ぎった、前世でミューの親友でありミューと同じ上級位魔導師だった女性の言葉。“一体、どんだけ……”と、腹立たしくイライラしたりもしたが………今の俺なら分かる。
ー好きだから…しょうがない。手加減?できる訳ないよな?ー
目の前に愛しい人が居て、お互い思い合っている夫婦だ。我慢も手加減もできる筈がない。何度目かの後で、気を失う様に眠ってしまったアンジーの身体を綺麗にして、服の役割を果たしているワンピースタイプの寝夜着を着せてからギュッと抱き寄せる。
「ようやくだ。アンジー…これからは、2人で幸せになろうな。」
そう呟いた後、アンジーのオデコにソッとキスをしてから、俺も目を閉じた。
❋はい。私の書く定番の“スケスケ”の、男性目線を入れる事ができました(笑)❋
(๑´艸`๑)♡
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