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二度目の召喚

同郷3人

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「リア、大丈夫だった?」

「はい、大丈夫です。」


王城に無断侵入してから3日後、邸にバーミリオンさんとアズールさんがやって来た。
一応、同郷のエメラルドの事があった為、2人には今回の事を手紙で知らせたら、一度3人で会おう─と言う事になり、アズールさんの王都に戻って来る日に合わせて会う事になった。

やっぱり、この2人の能力は4年前よりも高くなっている。バーミリオンさんは隠しているようだけど、魔力の強さで言うと、魔導士団長のユルゲンさんを上回っていると思うし、アズールさんは英雄レベルなんじゃないだろうか?

やっぱり、為すべきことを為すと能力が上がり、それを怠ると、その能力は失われていく─と言う事なんだろう。
召喚された時は、こちらの世界の都合で呼ばれた─言わば“招待客”状態だったけど、その後、この世界に残ると決めたなら、客人ではなくなるのだから、この世界の住人となる努力が必要になるのかもしれない。
エメラルドは、それを理解していなかったのだ。


「ウィステリア、そろそろ“リア”って呼んでも良い?」
「え?アズールさん、まだソレを気にしてたんですか?」
「するだろう!仲間なのに、何だかよく分からない理由で却下されてるんだから!」

アズールさんは相変わらず─いや、歳を重ねて更にイケメンになっている。きっと、今でもモテているだろう事は簡単に予想できる。できれば、愛称呼びなんて御免被りたいけど───どうせ、私は元の世界に還るから、それ迄なら───

「分かりました。アズールさんには、今回助けてもらいましたし……少しの期間だけど、“リア”と呼んでも良いです。」

「よし!ありがとう、リア……って、やっぱり日本に還るのか?」

パッと笑顔でお礼を言うアズールさんの顔面偏差値は、マックスなんじゃないかなぁ?

「そうですね、還ります。」



『──ウィステリア……必ず……元の世界に還れ………』



私を庇って湖に沈んで行ってしまったルーファスさんが最後に残した言葉。あの言葉がなかったら……この世界に残ろうと思ったかもしれないけど…。“絶対還るから”と約束した。なら、私は約束通りに還るだけだ。

「そっか。それじゃあ……リアが日本に還る迄は、俺も王都に滞在するから、お茶ぐらいは付き合ってもらおうかな。」

ニッコリ笑うアズールさん。

ー嫌です。もう、令嬢達からの口撃を喰らうのは遠慮したいー

なんて、この笑顔のアズールさんに誰が言える?いや、自分の平和の為には言った方が良いよね?

「その時は、俺とエラも一緒に行───」
「はい!バーミリオンさんとエラさんが居るなら喜んで!」
「何でだ!?返事が喰い気味になる程俺と2人は嫌だったのか!?」
「ははっ、リアは相変わらずだな」
「アズールさんが鈍感過ぎるんです!!」

それから3人で笑い合って、日本での話もしたりして、少しの間楽しい時間を過ごした。

本来であれば、ここにエメラルドも居たのに──と、少しだけ寂しい気持ちになってしまったのは……仕方無い事にしておこう。




「エメラルドは…“久保さん”だったよな?」

やっぱり、バーミリオンさん─谷原先輩も、アズールさん─本間君も、久保さんや私の名前も思い出していた。思い出せていなかったのはエメラルド─久保さんだけだった。

「それじゃあ、俺達が名前を取り戻せた時には、もう既にエメラルド─久保さんの聖女としての能力は……殆ど無かったのかもしれないな。と言うか……エメラルドに俺達の真名が知られなくて良かったとさえ思うよ。」

バーミリオンさんのその言葉、本当にその通りだなと思う。

「あ、それでね、アレサンドル様には許可を得ているんだけど、2人はエメラルドに会いたい?今、アイリーン様待ちでエメラルドは王城で監禁されてるみたいなんだけど、これからどう言う扱いになるか分からないから、会いたいなら今のうちに─と思って……」

2人がエメラルドに会う条件としては、私の同行が必須だと言われた。聖女としての能力が殆ど無いとは言っても何が起こるか分からないから、真名を掌握している私が居た方が良い─と言う事になったのだ。

「そうだな……どうなるか分からないなら……俺は会っておこうかな。」
「アズールが会うと言うなら、俺も会っておくよ。」

「分かりました。それじゃあ、アレサンドル様に日程を確認してから、また2人に手紙を飛ばしますね。」


話し合いが終わると、イチコとニコお手製のわらび餅と抹茶が用意され、また3人で盛り上がり、そのまま夕食も─となり、バーミリオンさんが仕事終わりのエラさんを迎えに行き、4人で一緒に食べた。

因みに、夕食は“すき焼き”だった。





その2日後。私達がエメラルドに会いに行く日は、それから一週間後と言う事が決まった。





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