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18 隣国の魔法使い
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「第一王女に会う前に、可能であれば第二王女に会いたい。」
と、隣国の魔法使いリュウさんに言われて、私はそれを受け入れた。
******
「急なお願いを聞いていただき、ありがとうございます。俺は、隣国の魔法使い、リュウです。」
「私は…イーレン王国第二王女ブルーナ…です。」
リュウさんは、黒髪の黒色の瞳をしていて日本人っぽい感じがするからか……本人の持つ柔らかい感じのせいか、お姉様が手も足も出ない魔法使いの様には見えない程、“良いおじさん”と言う感じだ。
今、リュウさんと会っている場所は、王太子宮にあるお兄様の執務室。そして、ここに居るのはリュウさんとお兄様と私の3人だけだ。シルヴィは魔獣だから、私の部屋でお留守番をしている。
何を訊かれるのか─と、少し心配したりもしていたけど、私がこれ迄、お姉様にされた事を色々と訊かれただけだった。
何でも、魔法使いと言うのはほぼ無敵に近い存在で、その魔法使いが善良なら問題無いが、そうではない場合──お姉様の様に悪意ある行動をとる魔法使いを、同じ魔法使い同士で見張る、監視するようなルールを作る必要があるのでは?と言う話が、リュウさんを中心に進められていたそうだ。
「魔法使いと言うのは、扱いが難しいところだけど…でも、こうして、ブルーナ様の様な被害者が出たとなると…魔法使いを抱えている国は、もう放っておく事は出来なくなると思う。ブルーナ様も、ヒューゴ様が居たから助かっただけで……運が良かった……。」
リュウさんはニッコリ笑うと、私の頭をポンポンと優しく撫でてくれた。「あ、これは失礼しました。ついつい…クセで……」と、恥ずかしそうに謝りながら、手を離した。
ある程度の質問のやり取りが済むと、リュウさんが少し考えるそぶりをした後「ところで……ブルーナ様は、魔力無し……なんですよね?」と確認するかのように訊かれた。
「はい。魔力無しです。」
「うーん………」
「?」
何故か、リュウさんは、私をじっと見つめたまま腕を組んで呻りだした。あまりにも呻りが長くて……
ーえ?私…何かやらかした?ー
と内心焦りまくっている。嘘なんて…イーレンで療養していたと言う事以外はついていない。日本に居た─なんて事は、バレていない筈どころか、言ったとしても信じてもらえないだろうけど…。
「何だろう……うまく言えないけど……違和感があるんだよなぁ。あー…くっそ……─ルなら…絶対分かるんだろうなぁ……でもなぁ……──オルがなぁ……」
「「?????」」
リュウさんは、今度は何やらぶつぶつ呟きながら悶えだした。お兄様も私も、どうすれば良いのか分からず、そんなリュウさんを見ているだけだ。
「えっと…あの……リュウさん、大丈夫…ですか?その…私が、何かしてしまったんでしょうか?」
「え?あ、違います、すみま────あ?」
「“あ?”?」
と、今度はリュウさんは、私の胸元辺りに視線を向けたまま固まっている。
ー何かある?ー
と、胸元に手を当てると、そこには、服の内側に入れていた筈のセオ君から貰ったネックレスが、服から飛び出してしまっていた。
「あー…そのネックレス………少し……見せてもらっても?」
「これ…ですか?えっと……はい………」
セオ君曰く、この青色の石は、特別高価な物ではないと。いかに、色が瞳の色と似ているかが大事なだけだと。
ーえ?もしかして……物凄く珍しくて高価過ぎて…“プライスレス”的な物だったりする!?ー
首から外すその手が、プルプルと震えているのは気のせいだ。
「あ、それをどうこうする訳じゃないですから。本当に、ただただ、確認と言うか、見たいだけなので!絶対何もしませんから!」
「はい!」
今度は必死に言い訳をするリュウさん。そんな事は疑ってないけど─と思いながら、そのネックレスをリュウさんが差し出した左手に載せると、右手をそのネックレスの上にかざした。
「────やっぱりかぁ…………よし、これで……理由ができたし、─オも……」
さっきとは一転。今度はパッと明るい笑顔になったリュウさん。何とも…忙しい人だ。
「これ、お返ししますね。大切な物…ですよね?それは、肌身離さず身に着けていた方が良いですよ。」
ーバレてる?ー
私には無い色だから、誰かからの贈り物だと……バレバレなんだろうか…。それはそれで恥ずかしい。
私は、いそいそと、またそのネックレスを首に掛けた。
「ヒューゴ様、申し訳無いが……色々確認したい事があって…俺が誰よりも信頼している人を…呼んでも良いだろうか?その人に…ブルーナ様を視てもらいたいんです。」
「見てもらう?私を?」
「ハッキリとした理由は言えないけど…少し気になる事があって…。でも、無理強いはしません。嫌なら呼びませんから。」
「ブルーナはどうしたい?リュウ殿の言う通り、嫌なら嫌で良いよ。」
何が何だかよく分からないけど…何となく、本当に何となく……それを受け入れた方が良いと言う様な気がして
──
「はい、大丈夫です。」
と、その人に会う事を受け入れた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
٩(。˃ ᵕ ˂ )و♪
と、隣国の魔法使いリュウさんに言われて、私はそれを受け入れた。
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「急なお願いを聞いていただき、ありがとうございます。俺は、隣国の魔法使い、リュウです。」
「私は…イーレン王国第二王女ブルーナ…です。」
リュウさんは、黒髪の黒色の瞳をしていて日本人っぽい感じがするからか……本人の持つ柔らかい感じのせいか、お姉様が手も足も出ない魔法使いの様には見えない程、“良いおじさん”と言う感じだ。
今、リュウさんと会っている場所は、王太子宮にあるお兄様の執務室。そして、ここに居るのはリュウさんとお兄様と私の3人だけだ。シルヴィは魔獣だから、私の部屋でお留守番をしている。
何を訊かれるのか─と、少し心配したりもしていたけど、私がこれ迄、お姉様にされた事を色々と訊かれただけだった。
何でも、魔法使いと言うのはほぼ無敵に近い存在で、その魔法使いが善良なら問題無いが、そうではない場合──お姉様の様に悪意ある行動をとる魔法使いを、同じ魔法使い同士で見張る、監視するようなルールを作る必要があるのでは?と言う話が、リュウさんを中心に進められていたそうだ。
「魔法使いと言うのは、扱いが難しいところだけど…でも、こうして、ブルーナ様の様な被害者が出たとなると…魔法使いを抱えている国は、もう放っておく事は出来なくなると思う。ブルーナ様も、ヒューゴ様が居たから助かっただけで……運が良かった……。」
リュウさんはニッコリ笑うと、私の頭をポンポンと優しく撫でてくれた。「あ、これは失礼しました。ついつい…クセで……」と、恥ずかしそうに謝りながら、手を離した。
ある程度の質問のやり取りが済むと、リュウさんが少し考えるそぶりをした後「ところで……ブルーナ様は、魔力無し……なんですよね?」と確認するかのように訊かれた。
「はい。魔力無しです。」
「うーん………」
「?」
何故か、リュウさんは、私をじっと見つめたまま腕を組んで呻りだした。あまりにも呻りが長くて……
ーえ?私…何かやらかした?ー
と内心焦りまくっている。嘘なんて…イーレンで療養していたと言う事以外はついていない。日本に居た─なんて事は、バレていない筈どころか、言ったとしても信じてもらえないだろうけど…。
「何だろう……うまく言えないけど……違和感があるんだよなぁ。あー…くっそ……─ルなら…絶対分かるんだろうなぁ……でもなぁ……──オルがなぁ……」
「「?????」」
リュウさんは、今度は何やらぶつぶつ呟きながら悶えだした。お兄様も私も、どうすれば良いのか分からず、そんなリュウさんを見ているだけだ。
「えっと…あの……リュウさん、大丈夫…ですか?その…私が、何かしてしまったんでしょうか?」
「え?あ、違います、すみま────あ?」
「“あ?”?」
と、今度はリュウさんは、私の胸元辺りに視線を向けたまま固まっている。
ー何かある?ー
と、胸元に手を当てると、そこには、服の内側に入れていた筈のセオ君から貰ったネックレスが、服から飛び出してしまっていた。
「あー…そのネックレス………少し……見せてもらっても?」
「これ…ですか?えっと……はい………」
セオ君曰く、この青色の石は、特別高価な物ではないと。いかに、色が瞳の色と似ているかが大事なだけだと。
ーえ?もしかして……物凄く珍しくて高価過ぎて…“プライスレス”的な物だったりする!?ー
首から外すその手が、プルプルと震えているのは気のせいだ。
「あ、それをどうこうする訳じゃないですから。本当に、ただただ、確認と言うか、見たいだけなので!絶対何もしませんから!」
「はい!」
今度は必死に言い訳をするリュウさん。そんな事は疑ってないけど─と思いながら、そのネックレスをリュウさんが差し出した左手に載せると、右手をそのネックレスの上にかざした。
「────やっぱりかぁ…………よし、これで……理由ができたし、─オも……」
さっきとは一転。今度はパッと明るい笑顔になったリュウさん。何とも…忙しい人だ。
「これ、お返ししますね。大切な物…ですよね?それは、肌身離さず身に着けていた方が良いですよ。」
ーバレてる?ー
私には無い色だから、誰かからの贈り物だと……バレバレなんだろうか…。それはそれで恥ずかしい。
私は、いそいそと、またそのネックレスを首に掛けた。
「ヒューゴ様、申し訳無いが……色々確認したい事があって…俺が誰よりも信頼している人を…呼んでも良いだろうか?その人に…ブルーナ様を視てもらいたいんです。」
「見てもらう?私を?」
「ハッキリとした理由は言えないけど…少し気になる事があって…。でも、無理強いはしません。嫌なら呼びませんから。」
「ブルーナはどうしたい?リュウ殿の言う通り、嫌なら嫌で良いよ。」
何が何だかよく分からないけど…何となく、本当に何となく……それを受け入れた方が良いと言う様な気がして
──
「はい、大丈夫です。」
と、その人に会う事を受け入れた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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