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第四章ー未来へー
最終追い込み?
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バタバタした週末が明け、学園へとやって来ると、もう既に聖女─シェイラ=ペイトリンの籍は無くなっていた。“退学処分”と公示されたが、理由までは知らされる事がなかった為、暫くの間は色んな憶測が飛び交い学園内もざわつきはしたが、それも数日も経てば静かになった。
一緒に居る事が多かった第三王子達が、何も言わなかった事もあるのだろう。
そして、魔道士の講師は、このままダレルさんが続ける事になり、私もそのまま助手を続ける事になった。変更があったのは、私もルシエント邸ではなく、王城に寝泊まりする事になった事だけだった。
ダレルさんとの関係は、穏やかなままだ。
ダレルさんの瞳を見ても、最後に見たリオネルの瞳を思い出す事もない。お互いが…スッキリ?した感じだ。
学園生活も、残すは後半分。
「ダレルさんは、講師の契約が切れたら…どうするんですか?」
契約は、取り敢えずは今年度のみ。
なら、ダレルさんの事だから、スフィール領の役所に戻ってしまうんだろうけど……勿体無いよね。
城付きの魔道士に戻るのが理想だけど、このまま講師として続けるのもアリだと思う。
「んー……それは、ナディア次第かな?」
「私…次第??」
私は、勿論、“スフィール領に帰る”の1択しかない。
「ナディア。モンテルアーノ様が、このまま素直に、ナディアをスフィール領に帰す──と思ってる?」
「え?」
“思ってる?”─と訊かれても、私が帰るのに、何故モンテルアーノ様が関係してくるのか……
「あれだけ外堀を埋めてあるから、ナディアを逃すつもりは無いと思うよ?」
「はい?」
「城付きが一番だろうけど、それが駄目なら、役所の配置転換。一番怖いのは……婚約かな?」
「城付き?配置転換?婚約!?」
ーあれ?私、まだ落ちて……ない事も無いけどー
「少し飛躍し過ぎてませんか?喩え……そう言う仲になっているとしても……。」
確かに、身分云々は問題無いと言われたけど、そんな簡単に婚約とはいかないだろうし、城付きも配置転換も有り得ないだろう。
「ナディアは甘いね。今回の事で、ナディアは色々と出来る魔道士とバレたから、モンテルアーノ様が一言言えば、王太子殿下や魔道士団長はアッサリと許可を出すと思うよ?婚約ともなれば、もっとアッサリいってしまうだろうね。」
「…………」
ーそんな怖ろしい事をサラッと言わないで欲しいー
「勿論、ナディアが本気で嫌だと言うなら、私はいつだって全力で逃してあげるけどね。」
笑顔のダレルさんが、ピリッ─とした魔力を漂わせると、微かに部屋の空気が揺らめいた。
ー何故、未だに私に“影さん”が付いているの?ー
ダレルさんに視線を向けると「守る為なんだろうけど、逃さない為と言う事もあると思うよ。」と言われた。
******
「ナディア、おかえり」
「…………ただいま?」
疑問形になっているのは許して欲しい。
終業後、ルシエント邸に帰る為に乗り込んだ馬車には、またいつもより大き目の荷物が積み込まれていて、「?」となっていると、「本日より、ナディアさんの過ごす場所が、王城となっているので、そちらへ向かいます。」と言われた。
確かに、王城に変更になるとは知っていたけど、こんなにも早く移る事になるとは思っていなかった。
そうして、案内されるまま部屋へとやって来ると、そこはこれまた何故か、ダレルさんが居る魔道士棟ではなく、騎士棟にある客室で、その部屋に入るとモンテルアーノ様のお迎えを受けたのだ。
「あれ?部屋を間違えてますか?」
「間違えてない。ここが、今日からナディアが過ごす部屋だ。そろそろナディアが帰って来ると連絡があったから、ここで待たせてもらってたんだ。」
ニッコリ微笑むモンテルアーノ様。壁側に控えている女官2人も微笑んでいる。
「話もあるし、ハーブティーを用意しているから、取り敢えず座って?」
ーここ、私に充てがわれた部屋だよね?ー
色々訊きたい事や話したい事もあるから、私は素直にモンテルアーノ様に言われた通りにソファーに座った。
座ってハーブティーを飲んだ後、最初に聞いた話はシェイラの事だった。
魔力を封じられた事でおとなしくはなったそうだけど、未だにダレルさん─リオネルへの執着があるそうで、夜になると「リオネル」「あの女のせいで」と、繰り返し呟いているそうだ。そんな訳で、まだ暫くは、地下牢で様子を見るとの事だった。
「自分の思い通りに行かず、手に入れられなかったからの執着だろうな。」
なるほど、そうなのかもしれない。
「多少の影響はありましたけど、生徒達に被害がでなくて良かったです。」
心が壊れなくて良かったと思う。
私も…前に進むことができた。ある意味、少しだけシェイラに感謝…しない事もないかな?
「それで─だ。ナディア、単刀直入に訊くが……ナディアはこれからどうするつもりだ?」
「私も、丁度その話をしたいと思っていたんです。」
手に持っていたティーカップを下ろしてから、私は目の前に座っているモンテルアーノ様に視線を合わせた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
°ʚ(*´꒳`*)ɞ°.°ʚ(*´꒳`*)ɞ°.
一緒に居る事が多かった第三王子達が、何も言わなかった事もあるのだろう。
そして、魔道士の講師は、このままダレルさんが続ける事になり、私もそのまま助手を続ける事になった。変更があったのは、私もルシエント邸ではなく、王城に寝泊まりする事になった事だけだった。
ダレルさんとの関係は、穏やかなままだ。
ダレルさんの瞳を見ても、最後に見たリオネルの瞳を思い出す事もない。お互いが…スッキリ?した感じだ。
学園生活も、残すは後半分。
「ダレルさんは、講師の契約が切れたら…どうするんですか?」
契約は、取り敢えずは今年度のみ。
なら、ダレルさんの事だから、スフィール領の役所に戻ってしまうんだろうけど……勿体無いよね。
城付きの魔道士に戻るのが理想だけど、このまま講師として続けるのもアリだと思う。
「んー……それは、ナディア次第かな?」
「私…次第??」
私は、勿論、“スフィール領に帰る”の1択しかない。
「ナディア。モンテルアーノ様が、このまま素直に、ナディアをスフィール領に帰す──と思ってる?」
「え?」
“思ってる?”─と訊かれても、私が帰るのに、何故モンテルアーノ様が関係してくるのか……
「あれだけ外堀を埋めてあるから、ナディアを逃すつもりは無いと思うよ?」
「はい?」
「城付きが一番だろうけど、それが駄目なら、役所の配置転換。一番怖いのは……婚約かな?」
「城付き?配置転換?婚約!?」
ーあれ?私、まだ落ちて……ない事も無いけどー
「少し飛躍し過ぎてませんか?喩え……そう言う仲になっているとしても……。」
確かに、身分云々は問題無いと言われたけど、そんな簡単に婚約とはいかないだろうし、城付きも配置転換も有り得ないだろう。
「ナディアは甘いね。今回の事で、ナディアは色々と出来る魔道士とバレたから、モンテルアーノ様が一言言えば、王太子殿下や魔道士団長はアッサリと許可を出すと思うよ?婚約ともなれば、もっとアッサリいってしまうだろうね。」
「…………」
ーそんな怖ろしい事をサラッと言わないで欲しいー
「勿論、ナディアが本気で嫌だと言うなら、私はいつだって全力で逃してあげるけどね。」
笑顔のダレルさんが、ピリッ─とした魔力を漂わせると、微かに部屋の空気が揺らめいた。
ー何故、未だに私に“影さん”が付いているの?ー
ダレルさんに視線を向けると「守る為なんだろうけど、逃さない為と言う事もあると思うよ。」と言われた。
******
「ナディア、おかえり」
「…………ただいま?」
疑問形になっているのは許して欲しい。
終業後、ルシエント邸に帰る為に乗り込んだ馬車には、またいつもより大き目の荷物が積み込まれていて、「?」となっていると、「本日より、ナディアさんの過ごす場所が、王城となっているので、そちらへ向かいます。」と言われた。
確かに、王城に変更になるとは知っていたけど、こんなにも早く移る事になるとは思っていなかった。
そうして、案内されるまま部屋へとやって来ると、そこはこれまた何故か、ダレルさんが居る魔道士棟ではなく、騎士棟にある客室で、その部屋に入るとモンテルアーノ様のお迎えを受けたのだ。
「あれ?部屋を間違えてますか?」
「間違えてない。ここが、今日からナディアが過ごす部屋だ。そろそろナディアが帰って来ると連絡があったから、ここで待たせてもらってたんだ。」
ニッコリ微笑むモンテルアーノ様。壁側に控えている女官2人も微笑んでいる。
「話もあるし、ハーブティーを用意しているから、取り敢えず座って?」
ーここ、私に充てがわれた部屋だよね?ー
色々訊きたい事や話したい事もあるから、私は素直にモンテルアーノ様に言われた通りにソファーに座った。
座ってハーブティーを飲んだ後、最初に聞いた話はシェイラの事だった。
魔力を封じられた事でおとなしくはなったそうだけど、未だにダレルさん─リオネルへの執着があるそうで、夜になると「リオネル」「あの女のせいで」と、繰り返し呟いているそうだ。そんな訳で、まだ暫くは、地下牢で様子を見るとの事だった。
「自分の思い通りに行かず、手に入れられなかったからの執着だろうな。」
なるほど、そうなのかもしれない。
「多少の影響はありましたけど、生徒達に被害がでなくて良かったです。」
心が壊れなくて良かったと思う。
私も…前に進むことができた。ある意味、少しだけシェイラに感謝…しない事もないかな?
「それで─だ。ナディア、単刀直入に訊くが……ナディアはこれからどうするつもりだ?」
「私も、丁度その話をしたいと思っていたんです。」
手に持っていたティーカップを下ろしてから、私は目の前に座っているモンテルアーノ様に視線を合わせた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
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