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第三章ー学園生活ー

策士?

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「ナディアは、私が送って行こう」

ニッコリ微笑むモンテルアーノ様に、アデル様は「宜しくお願いします。」と微笑み、「ナディア、また明日ね。」と、ダレンさんにはニヤニヤとされた。

ー一体、私をどうしたいの!?ー

ダレンさんを睨みながら、私はモンテルアーノ様に促されるように馬車に乗り込んだ。



ちなみに、王城からルシエント邸は馬車で10分、歩いても30分位と言う近い場所にある。なので、態々送ってもらわなくても問題無い。



「ナディアは、今週末は何か予定がある?」
「今週末は……図書館の地下フロアに行く以外には、特に予定はありません。」

そろそろルシエント邸に着くと言う所で、今週末の話になった。今週末は、リゼットも仕事があると言っていたから、リゼットからお誘いが来る事もないだろう。そうなれば、1人で街をブラブラするか、邸でのんびりするか…しかない。

「なら、魔具のメンテナンスが終わった後、一緒にランチでもしないか?最近新しくできた店なんだが、そこのランチとケーキが美味しいらしくて、騎士達もよく行くらしいんだ。どうかな?」

ー“魔具のメンテナンスの後”と言う事は、アデル様とダレン様も一緒に─と言う事…だよね?ー

「メンテナンスの日は、他の予定を入れないようにしているので、大丈夫です。行けるのは楽しみですね。」

「なるほど……。うん。行けるのを、楽しみにしてるよ。」

あれ?何となく…違和感のある言い方だなぁ─とは思ったけど、丁度馬車がルシエント邸に着き、モンテルアーノ様もササッと動いて馬車から降りる事になり、その違和感は頭からスッカリ無くなってしまっていた。

それを、後々後悔するとは──思ってもいなかった。




******


結局、この1週間は、シェイラに動きはなかった。それは、安堵するべきところかもしれないけど……私は逆に、怖いな─と感じた。何となく、シェイラは“おとなしくなった”と言うよりは、“窺っている”ような感じがするのだ。
ダレンさんも、シェイラに常に気を向けているせいか、終業時には心なしかゲッソリした顔になっている。

「さぁ、ナディア。今日一緒に登城しようか。」
「はいはい……逃げませんから………」




明日は週末。今朝、今日の学園が終われば休みだ─と思いながら、馬車に乗り込むと、そこにはまた、いつもより多目の荷物が置かれていた。

「………」

後ろを振り返り、ルシエント邸の侍女モニクさんに視線を向けると……ニッコリと微笑まれた。

ー微笑めば良いと思ってませんか?ー

その言葉をグッと呑み込んで、馬車の扉を閉めたのだった。






******


「お疲れ様。」
「「お疲れ様です。」」

登城すると、やっぱりモンテルアーノ様に出迎えられた。周りにいる人達の目が、微笑ましい目になっているのは、気のせいであって欲しい。
「貴方にモンテルアーノ様は不釣り合いよ!」と、叫んでくれる令嬢は…居ないのだろうか?両手を挙げて差し上げますけど──

「あの……何故、今日もお城に泊まる事になったんでしょうか?」

先週は、謝罪とお礼の饗しだと言われたけど、今日は?

「城に泊まってもらった方が、効率が良いのでは?と言う話になったのと、話し合いもしやすいからね。」

「そう…ですか……」

相変わらず、ダレンさんはニヤニヤしている。
これ、絶対毎週末王城にお泊りが固定される流れだよね?





*****


翌日、魔具の確認とメンテナンスが終わり、お昼の時間が近付いて来た時

「それでは、私はこれから兄と予定がありますから、これで失礼しますね。」

と、アデル様は早々に帰って行ってしまった。

「私もこれから魔道士の団長と予定が入ってるからもう行くけど、ナディアはゆっくりしていくと良いよ。また、来週学園で─」

と、これまたダレンさんも行ってしまったのだ。

ーえ?ー

「じゃあ、ナディア、ランチに行こうか」

と、ニッコリ微笑むモンテルアーノ様だけが、私の目の前に居た。





「今日は時間があるから」

と言う事で、王城からは馬車ではなく、歩いてお店迄行く事になった。歩く事には慣れているから良い。

それよりも──

モンテルアーノ様と2人並んで歩いている事は、大問題じゃないかなぁ!?
チラッとモンテルアーノ様に視線を向けると、モンテルアーノ様も私を見ていたようで、視線が合ってしまった。

「あの…アデル様とダレンさんが居なくて…大丈夫ですか?ランチはまた今度にでも……」

「ん?大丈夫も何も、もともと2人で行くつもりだったから、何も問題無い。」



『─行けるのは楽しみですね。』

『─行けるのを、楽しみにしてるよ。』


ースッカリ忘れていた。あの時の違和感は、コレだったのか!ー

確かに、モンテルアーノ様は“皆で”なんて言ってなかった。私が勝手にそう思って了解しただけだ。
─”と強調したあたり、私が勘違いしていた事には気付いていて、敢えて訂正しなかったんだろうけど…。

「……策士……ですね?」
「とんでもない。ナディアが勘違いしただけだろう?」
「ゔっ………」

くくっ─と、楽しそうに笑うモンテルアーノ様。

「何で……私なんですか?モンテルアーノ様なら、もっと美人な令嬢も選びたい放題だと思いますけど。」

「確かに…選びたい放題だな。だから、私はナディアを選んだんだ。」

「ゔっ………」

とんでもない返しを喰らってしまい、あまりの恥ずかしさで顔が熱い─。両手をパタパタさせて顔を扇いでいると「顔、真っ赤で可愛いな」と、更なる追撃を喰らった。

ー勘弁して下さい!!ー

傍から見たらどう見えるか─なんて考える余裕なんてある筈もない。そんな状況のなか──

「ナディア先生!」

と、こんな所で、こんな時に何故?と言う人に名前を呼ばれた。







❋エールを頂き、ありがとうございます❋
:.* ♡(°´˘`°)/ ♡ *.:



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