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第三章ー学園生活ー

アドリーヌ

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意外にも、シェイラは魔法を展開させる事なく、おとなしく授業を受けた。第三王子もマトモになったのか、席は側近2人と並ぶようにして座っていた。オレリア様の目も、少し柔らかくなったような感じだった。取り敢えずは、“元に戻った”と思っても良いのかもしれない。





「───ん?」
「どうかした?」

1日の授業が終わり、その日行われた小テストの採点をしていた時だった。基本、テストに関しては、AクラスからDクラスまで、全て同じ内容で行われる。その為、1年間成績が良ければ進級する際に上位クラスに上がる生徒が居るし、成績が悪ければ下位クラスに落ちる生徒も居る。
今日小テストを受けたのは、1年生のAとBクラス。今迄の成績を見る限りでは、全員問題無く答えられるだろう─と思っていたけど。

「シェイラのテスト結果が、予想以上に良くないんです。」

シェイラの1学期の成績は、Aクラスの中でも上位に入る程優秀だったのに……今日の小テストだけで言えば、平均点どころか……

「Aクラスでは最低点ですね。」

もっと詳しく言うと、Bクラスの上位の成績よりも下だ。魔法の扱いが上手くいって成績も優秀となれば、彼女にとっては自信となるだろう─と思っていたけど。

「まぁ…今回は調子が悪かっただけかもしれませんけど。」

たった一つの結果だけを見ただけでは、判断はできないから、これもまた暫くは様子見─となるだけだ。

ー本当に、よく分からない事だらけだなぁー

「一応、その事も、モンテルアーノ様に報告しておくよ。」
「あ、はい。宜しくお願いします。」
「あ、そうそう。明日は魔具の確認とメンテナンスがあるから、終業後は私と一緒に登城だからね。忘れたり、しないようにね?」
「──分かってますよ。公私混同は……しませんよ。」

どうせ逃げたとしても、捕まる気しかしない。喩えモンテルアーノ様から逃げられても、“影”からは逃げられないだろうし。

「ナディアは20歳だったっけ?で、モンテルアーノ様は……30歳だったかな?10も差があったら…やっぱり抵抗がある?それとも、身分的に?」

「あー…いえ。年の差は特に抵抗は無いんですけど…」

普通の平民の考えだけなら抵抗があるかもしれないけど、アドリーヌ貴族の記憶がある私としては、10歳差としても抵抗は無い。モンテルアーノ様はイケメンで見た目も若く見えるしね。

「身分は気になりますね……でもそれよりも、私が恋愛をすると言う事がいまいちピンと来ないと言うか……」

恋愛に対して、恐怖心があるのだ。

「身分に関しては、モンテルアーノ様自身気にしてないだろうし、貴族社会もこの数十年で変わってきているから、昔程煩くはないよ。私は…相手がモンテルアーノ様ではなくても、ナディアにも良い人が現れたらなぁ…と思ってる。勿論、相手がとんでもない奴だったら……全力で阻止するけどね。何だろう…娘を思う心境に近いのかもしれないね。」

「ダレルさん……」

私が魔道士になって、役所勤めとなった時からの上司だった。色々無茶振りされたり、無茶振りされたり………

ー無茶振りしかされてないなぁー

兎に角、無茶振りされる事ばっかりだけど、いざと言う時は当たり前の様に助けてくれて……それこそ父のように。

「ありがとうございます。」

ダレルさんが居て良かった。







******


「はい、今回も、魔具は問題ありません。」

今日の魔具のメンテナンスにも、アデル様がやって来た。ダレルさんからの情報だと、アデル様の兄が、今のスペイシー侯爵家の当主らしい。そして、その兄夫婦は本邸に住んでいるが、アデル様はまだ結婚していない為、今はスペイシー家敷地内にある別邸で過ごして居るそうだ。アドリーヌわたしの時にはなかった別邸ものだ。


「あ、そう言えば、ナディアさんはスフィール領の孤児院で育ったとお聞きしたのですが…」

魔具のメンテナンスと質疑応答が終わった後、「今日はゆっくり時間があるので」と言う事で、今日はアデル様とダレルさんと私の3人で、ゆっくりお茶を飲みながら話をしている。
因みに、今日は第二騎士団の訓練があると言う事で、モンテルアーノ様は地下フロアここには来ていない。

「はい。スフィール領の孤児院で育ちました。」

「実は、そこに隣接している修道院が、100年前に殺されたと言う……名前は“アドリーヌ様”と言うのですが、そのアドリーヌ様が身を寄せていた所だったそうです。それを聞いて、何とも縁があるものだなと思って……」

ー縁があるもなにも、本人ですけどねー

「修道院に…なら、お墓も、その修道院に?」

何処を探してもなかったんだけど…。

「いえ。お墓はスペイシー家の墓地にあります。」

「スペイシー家の?あの…失礼ですが……そのアドリーヌ…様は、俗世を離れて修道院に入ったのでは?」

アドリーヌわたしはスペイシー侯爵家から除籍されたから、スペイシー家のお墓に入る事はできなかった筈。

「いえ、アドリーヌ様は……公には除籍されたとなっていますが…実は、籍は抜かれておらず、侯爵令嬢のままだったそうです。」

ーえ?除籍…されてなかった?ー








❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(*,,˃ ᵕ ˂ )✰*

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