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第三章ー学園生活ー
親友と腹黒
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図書館の地下で、偶然モンテルアーノ様と会ってから、3回地下へと行ったが、その3回ともモンテルアーノ様も居て……結局は禁忌の魔法に関して調べる事ができなかった。それに関しては残念だったけど、一つ、面白い事を目にする事ができた。それは─モンテルアーノ様と一緒に、地下のフロアから上がり、図書館を出てすぐの事だった。
王城で見掛けた事が今迄なかったリゼットを見掛けたのだ。「リゼット」と声を掛けようとしたところで、同じく「リゼット」と声を掛けて走り寄って行くルシエント様の姿が目に入った。
そのルシエント様の顔ときたら……私に向ける笑顔は、いつも何かを企んでるような、面白がっているような…何となく胡散臭い笑顔だけど、今、目の前でリゼットに向けている笑顔は、純粋に嬉しそうな笑顔だ。しかも、チラッと見えたリゼットも、何だか嬉しそうな顔をしている。
『──恋人に関しては…私より強い人が居たら考えるわ。』と、前にリゼットが言った時、それ、もうルシエント様しかいないよね?なんて思ったりしたけど……
「うん、やっぱりお似合いじゃない?」
「何が“お似合い”なんだ?」
「あーっ!」
モンテルアーノ様が居ることを忘れて、ついつい口に出してしまっていた。
「あー…ルシエント様と…リゼットが……」
そう素直に言うと、モンテルアーノ様が私の視線の先を追うように見た後「あぁ…」と、納得したような顔をして頷いた。
「ついに、オスニエルにも良い令嬢が現れたようだな。」
お互い伯爵家で王城付き魔道士で、美男美女。誰からも文句は言われないだろう。親友の嬉しそうな顔を見るのは、何とも嬉しいものだ。
「私はてっきり……ナディア嬢もオスニエルの事が好き…なのかと思っていたんだが……」
「え!?それは無いです!!やめて下さい!」
ー私がルシエント様を?やめて欲しい!!ー
どう見ても腹黒ですよ?貴族らしいと言えばそうだけだ、もう、貴族やら腹黒は遠慮願いたい。いや、リゼットなら、ルシエント様とも互角にやり合っていけるだろうけど!と、失礼な事を心の中で叫んでいると、「くく──っ」と、思わずと言った感じでモンテルアーノ様が笑いだした。
ーえ?笑う要素あった?ー
「モンテルアーノ様?」
と、声を掛けると「すまな────っ……」と、今度は堪えるようにして笑いだした。
そして、一頻り笑った後、今度はひたすら謝られた。
「いや…本当にすまない。何と言うか…あのオスニエルに対して全否定する女性を初めて見たから…いや、ナディア嬢に初めて会った時も、そうだったけど。」
ーあぁ、そう言う事かー
「笑った後は…珍獣扱いですか?モンテルアーノ様は…結構嫌な人なんですね?」
「──ははっ……ナディア嬢は……愉しい人だな。」
嫌味を言ったつもりが、気を悪くするでもなく、逆に更に笑われた。モンテルアーノ様の笑いのツボが分からない。
「兎に角、私の親友のリゼットが幸せになれるなら…私は応援するし、嬉しい事です。」
ー自分自身の恋愛はこりごりだけどー
「では、私はそろそろ帰りますね。ここで失礼します。モンテ──」
「オスニエルのように、“ナディア”と呼んでも良い?」
「────まぁ…はい………」
ー貴族様に言われたら、平民は頷くしかないよね?ー
「私の事は、“オードリック”と呼んでもらっても良い─と言っても……」
「はい。呼べませんし、呼びません、モンテルアーノ様。」
と、私が家名で呼んだにもかかわらず、モンテルアーノ様はフワリと愉しそに微笑んだ。
******
「疲れた…………」
モンテルアーノ様と別れた後、街で買い物をしようと思っていたけど、それは止めて真っ直ぐに邸へと帰って来た。1週間の休みの筈が、まさかの4日連続のモンテルアーノ様の相手をする事になるとは…お陰で、学園で働いている時よりも疲れた気がする─のは、きっと気のせいではない。
そんな休みも明日で終わり、明後日からはまた学園での助手生活が始まる。
「取り敢えず……新学期が始まったら、聖女やその周りの様子を確認しないとね。」
まず、新学期が始まってから1ヶ月程様子をみて、そこで一度オードリック様に報告をする事になっている。場所は、図書館の地下のフロア。限られた人しか入れない上、滅多に人が来る事がないから「秘密情報のやり取りをするには丁度良い」なんて、モンテルアーノ様は言っていたけど……
ー本当に大丈夫なんだろうか?ー
2人きりで居る所を見られる事はなくても、別々ではあるけど、地下に降りて行く私達を見られる事はあるだろう。
「でも、まぁ……モンテルアーノ様と私が噂になる事は……微塵も無いか……。」
ーどこをどう見ても不釣り合いな2人だからねー
と、私は気持ちを切り替えて、その日は早目にお風呂に入ってベッドに潜り込んだ。
王城で見掛けた事が今迄なかったリゼットを見掛けたのだ。「リゼット」と声を掛けようとしたところで、同じく「リゼット」と声を掛けて走り寄って行くルシエント様の姿が目に入った。
そのルシエント様の顔ときたら……私に向ける笑顔は、いつも何かを企んでるような、面白がっているような…何となく胡散臭い笑顔だけど、今、目の前でリゼットに向けている笑顔は、純粋に嬉しそうな笑顔だ。しかも、チラッと見えたリゼットも、何だか嬉しそうな顔をしている。
『──恋人に関しては…私より強い人が居たら考えるわ。』と、前にリゼットが言った時、それ、もうルシエント様しかいないよね?なんて思ったりしたけど……
「うん、やっぱりお似合いじゃない?」
「何が“お似合い”なんだ?」
「あーっ!」
モンテルアーノ様が居ることを忘れて、ついつい口に出してしまっていた。
「あー…ルシエント様と…リゼットが……」
そう素直に言うと、モンテルアーノ様が私の視線の先を追うように見た後「あぁ…」と、納得したような顔をして頷いた。
「ついに、オスニエルにも良い令嬢が現れたようだな。」
お互い伯爵家で王城付き魔道士で、美男美女。誰からも文句は言われないだろう。親友の嬉しそうな顔を見るのは、何とも嬉しいものだ。
「私はてっきり……ナディア嬢もオスニエルの事が好き…なのかと思っていたんだが……」
「え!?それは無いです!!やめて下さい!」
ー私がルシエント様を?やめて欲しい!!ー
どう見ても腹黒ですよ?貴族らしいと言えばそうだけだ、もう、貴族やら腹黒は遠慮願いたい。いや、リゼットなら、ルシエント様とも互角にやり合っていけるだろうけど!と、失礼な事を心の中で叫んでいると、「くく──っ」と、思わずと言った感じでモンテルアーノ様が笑いだした。
ーえ?笑う要素あった?ー
「モンテルアーノ様?」
と、声を掛けると「すまな────っ……」と、今度は堪えるようにして笑いだした。
そして、一頻り笑った後、今度はひたすら謝られた。
「いや…本当にすまない。何と言うか…あのオスニエルに対して全否定する女性を初めて見たから…いや、ナディア嬢に初めて会った時も、そうだったけど。」
ーあぁ、そう言う事かー
「笑った後は…珍獣扱いですか?モンテルアーノ様は…結構嫌な人なんですね?」
「──ははっ……ナディア嬢は……愉しい人だな。」
嫌味を言ったつもりが、気を悪くするでもなく、逆に更に笑われた。モンテルアーノ様の笑いのツボが分からない。
「兎に角、私の親友のリゼットが幸せになれるなら…私は応援するし、嬉しい事です。」
ー自分自身の恋愛はこりごりだけどー
「では、私はそろそろ帰りますね。ここで失礼します。モンテ──」
「オスニエルのように、“ナディア”と呼んでも良い?」
「────まぁ…はい………」
ー貴族様に言われたら、平民は頷くしかないよね?ー
「私の事は、“オードリック”と呼んでもらっても良い─と言っても……」
「はい。呼べませんし、呼びません、モンテルアーノ様。」
と、私が家名で呼んだにもかかわらず、モンテルアーノ様はフワリと愉しそに微笑んだ。
******
「疲れた…………」
モンテルアーノ様と別れた後、街で買い物をしようと思っていたけど、それは止めて真っ直ぐに邸へと帰って来た。1週間の休みの筈が、まさかの4日連続のモンテルアーノ様の相手をする事になるとは…お陰で、学園で働いている時よりも疲れた気がする─のは、きっと気のせいではない。
そんな休みも明日で終わり、明後日からはまた学園での助手生活が始まる。
「取り敢えず……新学期が始まったら、聖女やその周りの様子を確認しないとね。」
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ー本当に大丈夫なんだろうか?ー
2人きりで居る所を見られる事はなくても、別々ではあるけど、地下に降りて行く私達を見られる事はあるだろう。
「でも、まぁ……モンテルアーノ様と私が噂になる事は……微塵も無いか……。」
ーどこをどう見ても不釣り合いな2人だからねー
と、私は気持ちを切り替えて、その日は早目にお風呂に入ってベッドに潜り込んだ。
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