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❋新しい未来へ❋
80 正しい路
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「メザリンド嬢に、婚約者ができたそうだ」
「そうなんですね!良かったです」
メザリンド様は、ハロルド様を庇って怪我を負い、その傷痕が残ってしまっていた為、ハロルド様と婚約していたけど……媚薬を盛られて違う男性と関係を持ってしまい、ハロルド様との婚約は解消された──と、ハロルド様とジュリエンヌ様は信じているままなんだそうだ。
実際は、前もって知っていた為、媚薬を盛ろうとしていた使用人を捕まえて投獄し、メザリンド様には何の被害もなかった。
ハロルド様とジュリエンヌ様の仕業だと言う証拠を得る事ができ、トルトニアと竜王国とで、メザリンド様に新たな婚約者を─と探していたのだ。しかも、イロハの治癒のお陰で、傷痕も綺麗に無くなったそうだ。
「相手は子爵の次男だそうだが、もともとメザリンド嬢とは幼馴染みだったらしい。」
その幼馴染みは、幼い頃からメザリンド様が好きだったけど、自分は子爵家の次男で、メザリンド様は侯爵令嬢で第二王子の婚約者と言う事で、諦めていたそうだ。
「2人が結婚した後に、伯爵の位を叙爵するそうだ」
「そうなんですね」
結婚後なのは、前もって知らせると、その叙爵目当てに結婚しようとする者が出て来るだろうから。王子ではなくなったけど、王子を助けたメザリンド様だから、そのお礼も兼ねているんだろう。
「兎に角、メザリンド様にも色々あったけど、幸せになって欲しいですね」
ーこれも、メザリンド様にとっての、正しい路なのかもしれないー
******
「あ、イロハ、ついにその色のピアスを着けるようになったんだね」
「……はい…………………」
顔を真っ赤にして、耳に着けている緑色のエメラルドが付いたピアスを触っているイロハは可愛い。
勿論、緑色はアラスターさんの色だ。
「イロハもついに落ちたのね!」
「えっ!?何で……皆知ってるの!?」
「何言ってるの?イロハ。マクレガン様の気持ちに気付いていなかったのは、イロハ本人だけよ」
「え!?そ…そーなの!?リーナは!?」
「えっと……知ってた…かな……」
「えー……」
こうやって、クラスメイトと一緒に楽しく過ごせるのも後僅か。
竜王国学園に留学生としてやって来て、もうすぐ3年。後1ヶ月で卒業となる。
卒業した後は───
「それで…卒業したら、リーナはトルトニアに帰るの?」
「えっと…………」
「「「最低1ヶ月は帰れるわけないよね!」」」と、声を揃えて断言するのはクラスメイト。
「「えっ!?」」と、驚くのは…勿論、私とイロハだ。
いや…確かに…まだハッキリとフィルに確認した訳じゃないけど、卒業後の話をした時、その話の流れで「あれ?私、卒業後はこのまま竜王国の浮島の邸に定住?」「あれ?トルトニアには…帰れない?」と、思うところがあった。でも、「帰れるよね?」何て事も思ってたりもしたんだけど………。
「訊いて良い?何で、最低1ヶ月は帰れるわけないの?」
コテン─と小首を傾げて尋ねると、少し憐れんだような目をされながら「それは、スコルッシュ様とマクレガン様本人に訊いた方が良いわ」と言われ、更に謎が深まっただけだった。
******
「ニノンさん、あの……私、卒業後……最低1ヶ月はトルトニアには帰れないって…本当ですか?」
「あー………陛下から何か聞いてませんか?」
「何か?んー……何も……」
「すみません。私から言って良いかも分かりませんので、陛下を……今すぐ呼んで来ます」
「え??フィルはまだ仕事中では───」
と言っているうちに、ニノンさんはササッと部屋から出て行ってしまった。
ーそんな大事…なんだろうか?ー
不思議に思いながら、取り敢えずフィルが来るのを待つ事にした。
それから、フィルがやって来たのは30分程してからだった。
「あの…フィル、仕事中にごめんなさい。ニノンさんが───」
「いや、その…これは俺が失念していたせいなんだ」
「失念??」
「竜人族と人間族の違いと言うか───」
「???」
困った様な気不味そうな顔をして、ポツリポツリと説明された内容に……衝撃を受けた。
「蜜月…………」
ーはい。勿論知ってます。結婚してから1ヶ月位の期間の事を言うんですよね?ー
他国がどうかは分からないけど、トルトニアでは、結婚してから1週間程の休暇がもらえるそうで、その間に旅行に行ったり……邸に籠ったりするそうだけど、竜人族や獣人族は、それが1ヶ月になるそうだ。それも───
“籠もる”1択……らしい──
「…………」
理由は、人間族とは違い、竜人族と獣人族は子ができ難いから。特に、竜人族は番であってもなかなか子ができ難い上、夫婦に竜力の差があればあるほど更にでき難いんだそうだ。
「だから……その蜜月の間に……お互いの竜力を馴染ませ合って……子ができ易くすると言うか………うん。でき易くする為に籠もるんだ」
ついには、フィルも最後は開き直ったようだ。
勿論……籠もるとか…………嫌では無い……けど……恥ずかしくないですか?1ヶ月も籠もるとか!!1ヶ月後、どんな顔して……皆の前に出れば良いですか!?
「イヴは…嫌か?もし、イヴが嫌なら……俺は我慢する。イヴが俺を受け入れてくれるまで……俺は、イヴが俺の側に居てくれるだけでも……幸せだから…」
キュンッ─と胸が鳴りました
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
(* ´꒳` *)੭⁾⁾
「そうなんですね!良かったです」
メザリンド様は、ハロルド様を庇って怪我を負い、その傷痕が残ってしまっていた為、ハロルド様と婚約していたけど……媚薬を盛られて違う男性と関係を持ってしまい、ハロルド様との婚約は解消された──と、ハロルド様とジュリエンヌ様は信じているままなんだそうだ。
実際は、前もって知っていた為、媚薬を盛ろうとしていた使用人を捕まえて投獄し、メザリンド様には何の被害もなかった。
ハロルド様とジュリエンヌ様の仕業だと言う証拠を得る事ができ、トルトニアと竜王国とで、メザリンド様に新たな婚約者を─と探していたのだ。しかも、イロハの治癒のお陰で、傷痕も綺麗に無くなったそうだ。
「相手は子爵の次男だそうだが、もともとメザリンド嬢とは幼馴染みだったらしい。」
その幼馴染みは、幼い頃からメザリンド様が好きだったけど、自分は子爵家の次男で、メザリンド様は侯爵令嬢で第二王子の婚約者と言う事で、諦めていたそうだ。
「2人が結婚した後に、伯爵の位を叙爵するそうだ」
「そうなんですね」
結婚後なのは、前もって知らせると、その叙爵目当てに結婚しようとする者が出て来るだろうから。王子ではなくなったけど、王子を助けたメザリンド様だから、そのお礼も兼ねているんだろう。
「兎に角、メザリンド様にも色々あったけど、幸せになって欲しいですね」
ーこれも、メザリンド様にとっての、正しい路なのかもしれないー
******
「あ、イロハ、ついにその色のピアスを着けるようになったんだね」
「……はい…………………」
顔を真っ赤にして、耳に着けている緑色のエメラルドが付いたピアスを触っているイロハは可愛い。
勿論、緑色はアラスターさんの色だ。
「イロハもついに落ちたのね!」
「えっ!?何で……皆知ってるの!?」
「何言ってるの?イロハ。マクレガン様の気持ちに気付いていなかったのは、イロハ本人だけよ」
「え!?そ…そーなの!?リーナは!?」
「えっと……知ってた…かな……」
「えー……」
こうやって、クラスメイトと一緒に楽しく過ごせるのも後僅か。
竜王国学園に留学生としてやって来て、もうすぐ3年。後1ヶ月で卒業となる。
卒業した後は───
「それで…卒業したら、リーナはトルトニアに帰るの?」
「えっと…………」
「「「最低1ヶ月は帰れるわけないよね!」」」と、声を揃えて断言するのはクラスメイト。
「「えっ!?」」と、驚くのは…勿論、私とイロハだ。
いや…確かに…まだハッキリとフィルに確認した訳じゃないけど、卒業後の話をした時、その話の流れで「あれ?私、卒業後はこのまま竜王国の浮島の邸に定住?」「あれ?トルトニアには…帰れない?」と、思うところがあった。でも、「帰れるよね?」何て事も思ってたりもしたんだけど………。
「訊いて良い?何で、最低1ヶ月は帰れるわけないの?」
コテン─と小首を傾げて尋ねると、少し憐れんだような目をされながら「それは、スコルッシュ様とマクレガン様本人に訊いた方が良いわ」と言われ、更に謎が深まっただけだった。
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「ニノンさん、あの……私、卒業後……最低1ヶ月はトルトニアには帰れないって…本当ですか?」
「あー………陛下から何か聞いてませんか?」
「何か?んー……何も……」
「すみません。私から言って良いかも分かりませんので、陛下を……今すぐ呼んで来ます」
「え??フィルはまだ仕事中では───」
と言っているうちに、ニノンさんはササッと部屋から出て行ってしまった。
ーそんな大事…なんだろうか?ー
不思議に思いながら、取り敢えずフィルが来るのを待つ事にした。
それから、フィルがやって来たのは30分程してからだった。
「あの…フィル、仕事中にごめんなさい。ニノンさんが───」
「いや、その…これは俺が失念していたせいなんだ」
「失念??」
「竜人族と人間族の違いと言うか───」
「???」
困った様な気不味そうな顔をして、ポツリポツリと説明された内容に……衝撃を受けた。
「蜜月…………」
ーはい。勿論知ってます。結婚してから1ヶ月位の期間の事を言うんですよね?ー
他国がどうかは分からないけど、トルトニアでは、結婚してから1週間程の休暇がもらえるそうで、その間に旅行に行ったり……邸に籠ったりするそうだけど、竜人族や獣人族は、それが1ヶ月になるそうだ。それも───
“籠もる”1択……らしい──
「…………」
理由は、人間族とは違い、竜人族と獣人族は子ができ難いから。特に、竜人族は番であってもなかなか子ができ難い上、夫婦に竜力の差があればあるほど更にでき難いんだそうだ。
「だから……その蜜月の間に……お互いの竜力を馴染ませ合って……子ができ易くすると言うか………うん。でき易くする為に籠もるんだ」
ついには、フィルも最後は開き直ったようだ。
勿論……籠もるとか…………嫌では無い……けど……恥ずかしくないですか?1ヶ月も籠もるとか!!1ヶ月後、どんな顔して……皆の前に出れば良いですか!?
「イヴは…嫌か?もし、イヴが嫌なら……俺は我慢する。イヴが俺を受け入れてくれるまで……俺は、イヴが俺の側に居てくれるだけでも……幸せだから…」
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