魔法使いの恋

みん

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“魔法使い”は、とても稀な存在であり、本来であれば魔法使いだと判った時点で国に報告しなければならない。それは、国が魔法使いをする為である。でも、お母様と私の場合は、パルヴァンと聖女ミヤ様や他にも色んなな後ろ盾が居るらしく、国に管理される事なく自由に過ごす事ができている。他にも色々な理由があるみたいだけど…。

兎に角、お母様と私が魔法使いである事は、極秘事項となっていて、ただ、“魔力量が多い魔力持ち扱い”となっている。

その為、お母様は定期的にパルヴァンの森の浄化をしている。勿論、穢れを完璧に浄化できるのは聖女様だけで、チートなお母様でも穢れを完璧に浄化する事ができない為、定期的に行う必要があるのだ。そして、私も1年前から、そのお母様のお手伝いをしている。私も、比較的に浄化の魔法は得意な方で、楽しみながらする事ができている。ただ、私は数時間すると疲れてしまい、いつも予定範囲の途中で終わってしまうけど……お母様はヒョイヒョイと予定範囲内を終わらせている上に、疲れた様子が全くない。

兎に角、お母様と私が定期的に穢れを祓っている“魔導士”と言う事で、私達も今回の合同訓練に参加する事になったそうだ。

「まぁ…ハルが居るから、ヴィーが危険に晒される事はないだろう。」

と、お祖父様が私の頭を優しく撫でてくれている横で、「勿論、ヴィーを危険に晒す気なんてないですよ!」と、お母様が答えた。

『ハルの護りは最強だから』

と、リュウさんが言っていたから、そうなんだろう。見た目はリスみたいなお母様。小動物よろしく!庇護欲を掻き立てる容姿のお母様。されど─“のリス”なのだそうだ。

「あ、それに、セオも参加するからヴィーはセオとハルと一緒に行動するようにな。」

「お兄様も参加するの!?なら、より一層安心ね!」

セオ─セオドア─は、私の二つ年上の兄で、今は王都にある学園に通っている。まだ13歳ではあるが、既に第一騎士団の訓練生となっていて、授業が終わると王城に向かい訓練を受け、家に帰って来るのが夜になる事もある。そんな兄の実力は筋金入りである。幼い頃から、近衛騎士の父や、第一騎士団長を務める祖父に鍛えられているのだ。お兄様は強いし…優しい。

『でも、セオって腹黒よね?』

と、眉間に皺を寄せて言っていたのは、幼馴染みで王女でもあるサクラ。

『サクラには言われたくない。』

と、言いながら微笑んでいたのはお兄様。

『いや。お前達2人は似た者同士だからな?』

と顔を引き攣らせていたのは、これまた幼馴染みで王子のリオンだった。ちなみに、サクラとリオンは双子で私と同い年。

「─まさか…リオンも?」

「いや、リオン王子は参加しない。と言うか、参加─だな。リオン王子の腕前は、この合同訓練に参加できるレベルに達していないからな。」

ニコニコとより一層笑みを深めるお祖父様。
“合同訓練に参加できるレベル”─と言う事は、お兄様はそのレベルに達していると言う事だ。

「ふふっ。流石は…セオだね。」
「流石、お兄様ね!」

と、お母様と私は微笑んだ。














❋王城、国王陛下ランバルトの執務室❋


「父上!何故私は合同訓練に参加できないんですか!?」
「リオンの実力が足りないからよ。」
「ゔ────っ」
「そんな…アッサリバッサリと……」

合同訓練の参加希望を却下された王子のリオンが、父である国王陛下─ランバルトに理由を訊けば、ランバルトと一緒に執務をこなしていた母である王妃─ミヤが、息子─リオンをバッサリ切りつけた。

「ここで嘘をついたり慰めたりして何になると言うの?それで、リオンの腕前が上がるの?上がるのなら、私だって慰めるけど…上がらないわよね?」

「─ソウデスネ……」

ランバルトとミヤもまた、である。

「んんっ─。リオン。今はまだそんなに魔獣や魔物が現れている訳ではないから、合同訓練も昔のような危険は殆ど無いのかもしれないが、それでもやはり、いざと言う時に…足手まといになる可能性のある者に参加させる事はできないんだ。」

「──足手…まとい…」

「そうだ。残念ながら、今のお前の実力は、合同訓練に参加できるレベルには達していない。それ故での却下だ。」

リオンは俯き、両手をギュッと握り締める。

「リオン。悔しくて俯くのは今だけよ?悔しいのなら、これからまた努力をすれば良いのよ。悔しい思いをした分、また成長できるから。」

「母上………そう…ですね…。はい。確かに悔しいです…けど……はい!また、頑張ります!ヴィーの為にも!!」

「「…………」」

「父上、母上、執務中に失礼しました!私はこれから、騎士の訓練に行って参ります!」

来た時の暗い表情とは一転し、晴れやかな顔付きで執務室を後にしたリオン。

「単じゅ──素直なところはルトそっくりね。」
「単純………。と言うか…まだ諦めてなかったのか…。」

誰がどう見ても、ヴィオラがリオンに恋愛感情を持っていないと言う事が分かるのだが……。

、ルトに似たわね?ふふっ─。」

ニコリと笑う王妃となったミー。
確かに、私もマイナススタートから足掻きまくって、何とかギリギリのところでミーを手に入れる事ができた。だから、息子のリオンにも頑張って欲しいところだが──

「まぁ…見守るしかないな…」

と、私はソッとため息を吐いた。












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