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第七章ー隣国ー

会議

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「また、王城ここに来る事になるなんてね…」


何事もなく王城の門を潜り抜け、パルヴァン辺境伯の紋章の付いた馬車から降りた4人と、騎乗していたティモスさんは、門番の人がビックリする位の早さで検問をしてくれたお陰で、直ぐに入城する事ができた。

ー恐るべしパルヴァン…であるー

因みに、私は薬師の服を着た上にローブを羽織り、フードを被っている。ミヤさんは騎士服みたいな服を着て、その上にローブを羽織り、フードを被っている。そう。私とミヤさんは、誰?どころかパッと見て性別も分からない姿をしているのだ。怪しい事この上無いと思うんだけど─「パルヴァンの騎士だ」と言えば、それ以上の追及は無かった。否─誰が、パルヴァン様とゼンさんに反論できるだろうか?できない─よね?

ー騎士様達、すみません。今日だけは許して下さいー

と、こっそり心の中で謝っておきました。




「ベアトリス様とサエラさんに会いに来た時は、直接部屋に行ったから、あまり実感がなかったんだけど…。本当に、王城ここに来てる…のよね?」

「ふふっ。本当に、ここは王城ですよ。ミヤさん大好きの、王太子様が住んでいるお城ですよ。」

「ハル、王太子ソレ、要らないから─」

げんなりした顔で言うミヤさん。でも、私とエディオル様だって、有り得ない関係だったのだ。ミヤさんと王太子様だって、これから先どうなるかなんて…分からないよね?─と、ミヤさんには言えないけど。
いやいやいやいや!私とエディオル様だって、別にそう言う仲じゃないけど!って、“そう言う仲”って何!?

ーお…落ち着こう!!ー

1人、脳内でワチャワチャしているうちに、今から参加する会議をする部屋に到着したようだ。その部屋の扉を開ける前に

「パルヴァン様、最初から目立つのも良くないと思うので、気配?存在?を薄くする魔法を掛けておいても良いですか?」

「──その方が…良いかも知れんな……。」

「「「…………」」」

ーくっ…遠い目をされても…もう気にしない!ー

「では─入るぞ?」

と、パルヴァン様が、その扉を開けた。







中に入ると、テーブルが長方形状に置かれていて、上座?の方には中央に背凭れの少し大きい椅子が置かれていて、その両隣に一つずつ椅子が置かれている。
そして、両サイドのテーブルには各10個の椅子があり、既にそこに貴族院の人と思われる人達が座っていた。

ー公爵と侯爵で15人だから、今は実力派の人が5人居るって事かな?ー

室内はざわついていたが、パルヴァン様が入室すると一気に静まり返った。
パルヴァン様とゼンさんから、ピリッとした空気が漂っている。そして、パルヴァン様とゼンさんとティモスさんは、そのまま下座側の椅子に座った。
私とミヤさんは、魔法のお陰か、誰にも何かを言われる事も無く、パルヴァン様達の後ろに椅子を移動させて座った。












「国王陛下と王太子殿下が入室されます。」

宰相様が声を掛けた後、国王様と王太子様が入って来た。





先ず、宰相様が、エディオル様からの報告書を読み上げ、これまでに隣国と隣接する三国でしたやり取りを説明した。そして、それでも隣国からは良い返答がなかった事も明かされた。

『あんな状況になっているのにも関わらず、まだ動かないのね。』

ミヤさんが日本語で囁く。

『ここまでくると、意地なのかな?って思いますね。ジンさんは…大丈夫でしょうか?』

『大丈夫でしょ。彼、ハルのピアス持ってたし、きっと…味方も多いと思うわよ?』



「では、グレン=パルヴァン辺境伯殿。近況報告をお願いします。」

宰相様に促され、ティモスさんがスッと手を挙げ

「僭越ながら、それに関しては私から報告させていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

「許す─」

「ありがとうございます。では、先ずは、隣接しているパルヴァンの森ですが、今でも穢れは出ていません。ですが─隣国の方では穢れが酷くて、色んな魔物や魔獣が出ています。隣接と言っても海があるから大丈夫と思っているかもしれませんが、数日前にはハーピーが現れました。空を飛ぶ魔物にとって、海なんて関係ありませんから。やはり、隣国には少しでも早く穢れを何とかしてもらった方が良いかと思います。」

「ハーピー?そのハーピーは、どうなったのだ?」

と、貴族院の1人が声をあげた。

「三体現れましたが、三体とも仕留めました。」

「三体とも!?だ…誰が!?」

この場に居る皆が信じられない!みたいな顔でティモスさんを見ている。

「──エディオル様と隣国の魔法使いと辺境の騎士達…かな?」

ーティモスさん、そこはもっと堂々とした態度でハキハキ言うところですよ!?ー

「あぁ、そうか。魔法使いが居るのだったな…。」

ー宰相様、って、強調し過ぎですよ?ー

「隣国には、三国で書状を送っても手応えが無い。かと言って、放置もできない。これからどうするかだが─。」

と、国王陛下が言ったところでゼンさんが私達の方へと振り返った。




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