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第七章ー隣国ー

保護者“ミヤ”

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『『ギャアー!!』』

『煩い──』

地上に引き摺り落としたハーピーが、ギャアギャアと叫んでいると、ネージュが急に元の大きさへと戻り、一頭のハーピーを踏みつけながら囁いた。

『相変わらず姉妹揃って煩いな─弱者にしか手を出さぬヘタレのクセに。少し…黙っておれ。』

と、ネージュがグッと力を込める。

『ギ──』

そのハーピーは、声にならない声を発した後、パタリと動かなくなった。

ーえ─…ネージュ…遠慮も何も…無かったなぁー

魔物を仕留めると、その身体は霧散して、核となる魔石だけが残る。勿論、そのハーピーの身体も霧散して、ネージュの足元に魔石だけが残った。

ーハーピーって、こんなに簡単に倒せちゃうの?ー

「基本、こんなに簡単に仕留められないからな?ハルの…この拘束の魔法と、フェンリルだから─だぞ!?勘違いするなよ!?」

と、ティモスさんに怒られてしまった。そして、最後の一頭はティモスさんが仕留めた─。













「はい、この辺り一帯の浄化は終わったわよ。」

「ミヤさん、お疲れ様でした。」

勿論、今度はサッと回復のポーションを取り出し、ミヤさんに飲んでもらいました!

「本当に…ここまで穢れが出てるのに放置って…この国の王は何を考えてるのかしらね?まだ、ウォーランド王国の王の方が、少しはマシね。」

だけなんですねー


3人とネージュとでワチャワチャとしていると

「──ハル?何で?」

後ろから声を掛けられて振り向くと、そこにはリュウが居た。

「ハル…日本に還ったんじゃなかったのか?」

「──還ったよ。でも…戻って来たの。」

「戻って来た?どうやって?日本には─地球には魔法なんて存在しないのに─。」

リュウは、“信じられない”みたいな顔で私の顔を見つめて来る。

そんな私とリュウの間に、スッとティモスさんが割り込んできた。

「お前が魔法使いのリュウか?そうなら、それ以上ハルに近付くな─。」

「─分かってるよ。それに、俺はもうハルには手を出さないよ。」

リュウはそう言いながら、両手を上げて後ろへと下がった。

ー本当に…パルヴァンの森で会った時のリュウとは、雰囲気が全く違うよねー

こんな短期間で何があったのかなぁ?と思っていると

「ハル…殿?」

と、小さな声で名前を呼ばれた。

ーエディオル様ー

最後に会った─見たのは、ベラトリス様の庭園だった。その前に会った時も宮下香と一緒だった。

「えっと…あの…お久し振り…です…。」

「──なん…で…」

エディオル様も、信じられない─みたいな顔をして私を見ている。そして、そのまま私の方に歩みを進めようとした時

「はい、そこでストップ!まだハルへのは禁止だから!」

と、ミヤさんが私とエディオル様の間に立ち塞がった。

ーお…って─!?ー

「─禁止って……え?聖女…様?え?」

エディオル様は、更に大きく目を見開いて私とミヤさんを交互に見ながら、その場に留まっている。

「あら、覚えてくれてて良かったわ。なら、私の今言った事─守ってもらえるわよね?守ってもらうけどね?それと─あなたが…転生したって言う魔法使いなのね?ふふっ…どうやら、ウチのハルが…になったそうね?お礼は──後でさせてもらうわね?ふふっ」

ー背中かゾクゾクします。コレは、逆らってはいけないヤツです。ゼンさんと同類ですー

「……ハルには……過激な保護者が多いな……」

と、リュウが顔を引きつらせながら呟いた。

ーはい。否定はしません。できませんー

と、心の中でリュウに同意した。












話は後で─

と言う事で、ここに来る迄に倒れていた騎士様達やこの町の確認などを、元気な私達でする事にした。

「倒れていた騎士様達…皆…駄目だったんですね…」

一体、どれだけの人が犠牲になったんだろう。

「日本では…こんな事は有り得ない事だよね。本当に…私達は恵まれてたんだね。」

「そう…ですね…。」











一通り確認が終わると、エディオル様とリュウが居る所に戻った。


「倒れていた騎士達は、もう駄目だった。生きているのは、今ここに居る者だけだ。救いがあるとしたら、領民らしき犠牲者が居なかった事と、穢れが完璧に祓われた─って事かな?」

ティモスさんがリュウ達に報告すると、“ジン”と呼ばれる人がそれに答える。

「ここの穢れは酷かったから、数日前にここから離れた領に移動していたんだ。本当に…この国の王は…何を見ているんだろうな?聖女様…穢れを祓っていただき、ありがとうございます。」

「それが聖女の役目だからね。でも─。ここまでの穢れを放置してるって、この国だけの問題じゃ済まないんじゃない?今の魔物みたいに、空を飛べるならウォーランド王国や他の国にだって影響が出るわよ?」

「─現王を引き摺り落として……政権を替えるしかないだろうね。」

と、リュウが真剣な顔付きで言う。

「それが可能だとして、新たに立てる─信頼できそうな者は居るの?現王の周りの貴族も駄目なんでしょう?」

「いや─1人…居るんだ。まとも過ぎて…有能過ぎて、前国王陛下が亡くなった後、辺境地に追いやられた前国王陛下の弟が─。そうだよね?──様。」









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