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第七章ー隣国ー

隣国へ

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『我も一緒に行く。』

ミヤさんと一緒になって、暫くの間ネージュを撫で回した後、私達が隣国に居るエディオル様の所に行くと言うと、ネージュが間髪入れずにそう言った。

『穢れによって、魔獣も出ているのだろう?ならば、我は役に立つぞ?我は魔獣の中でもトップクラスだからな?我が一気に潰してやろう─。』

と、ネージュがニヤリと嗤っている。

ー普段は見た目が犬だから忘れがちだけど、フェンリルって、レアな魔獣なんだよねー

『いつ向かうのだ?』

「特には決めてなかったんだけど…。こうやって無事にネージュとも名を交わせたし…できるだけ早い方が良い…かな?」

「それじゃあ、いっその事、明日行っちゃおうか?」

「明日!?」

「正直、今の私の浄化の力がどれだけ通用?するか気になるのよね─。それに…エディオルさんの精神的な部分が気になるしね。」

ミヤさんが少し困った様に笑う。
確かに─。まぁ…私ごときで自棄になってる事は無い─と思うけど…。

「─それじゃあ…パルヴァン様とティモスさんに相談してみますか?。」

と、ミヤさんとネージュと一緒にパルヴァンの森を後にした─。














「“ネージュ”?」

パルヴァン様とシルヴィア様とティモスさんとリディさんに、改めてレフコースと名を交わし直した事。そして、前回の繋がりは実は脆い繋がりであった事。今回は、正式に名を交わした事によって、“レフコース”の名前が“ネージュ”になった事を説明した。

「“ネージュ”とは…また女の子らしい名前だな?」

と、シルヴィア様に指摘され─

「「……」」

私もミヤさんも反応できないでいると

『我はもともとなのだ。』

と言いながら、ネージュがまた擬人化した。

「「「「えっ!?」」」」

ー何故だ!?ー

擬人美女化したネージュは、私を後ろからギュッと抱き締めている。抱き締める必要ありますか??

『我は、主がつけてくれた名を気に入っているが、お前達が慣れぬと言うなら、今迄通り“レフコース”と呼んでも構わぬ。』

ネージュが、私の頭に顔をスリスリしながら話しているが─

ー皆が気にしているのは、じゃないからね!ー

と、この場に居る全員が心の中で突っ込んだ。






ー開けてはいけない扉は、もっと頑丈なロックを掛けよう!!ー











「それじゃあ、ティモスさん、明日から宜しくお願いします。」

「あぁ、こちらこそ宜しくな!」

「それと、これ、ミヤさんとティモスさんに─。」

と、ティモスさんには、日本に還る前に作ってあったピアスを。ミヤさんには、ここに戻って来る時に借りていたブレスレットを渡した。勿論、ピアスには防御と目眩ましの魔法を掛けた。そして、ここに戻って来る為に、その魔石に込めた魔力を使い切ってしまっていたから、ブレスレットにも改めて掛け直した。

「私が魔法使いってバレてるので、隠さなくても良いかもだけど、“防御”と“目眩まし”の魔法を掛けてます。」

そう言うと、ミヤさんには

「やっぱりハルは─チートだよね…。」

と言われて、ティモスさんには

「─もう、知らなかった事には…ならないんだよな?」

と、遠い目をされました。

「ネージュ…は、コレね?」

私の声にピクリと反応するネージュの左前足を持ち上げて、そこにネージュの瞳と同じ色の魔石が填まっている腕輪を着けた。

『我にも─作ってくれたのか?』

ネージュはソレを見て、とても嬉しそうに尻尾をフリフリしている。

「この魔石の色が、ネージュの瞳と同じ色だな─って。勿論、これにも防御の魔法を掛けてあるからね。着けて、手は痛くない?」

『痛くない。主、ありがとう。』



ーよし、いよいよ明日、隣国に…エディオル様の所に行くー











*****


「どうやら、ゼンとは入れ違いになりそうだな。」

隣国へ行く当日の朝、準備が整い転移する直前に、パルヴァン様の元に、ゼンさんからの魔術での手紙が届いた。どうやら、今日のお昼頃にルナさんと宮下香と共にパルヴァンに到着するそうだ。予定よりも早い到着だ。

「行く前に会えないのは残念ですけど─予定通りに、今から隣国に行きます。」

「あぁ、それで良い。ゼンにはもう少し─内緒にしておこう。無事に帰って来て、あやつを驚かせてやれば良い。」

「はい─。」

「ハル殿、ミヤ様、無理はしないように。頑張る事は良い事だが、引き際を見誤らぬように。決して─“逃げる”事は恥ではない。自身の身を第一に考える事。」

「「はい。」」

「ティモス、2人を頼んだそぞ?」

「承知してます─。」



隣国がどんな所かなんて分からない─知らないから、多少の誤差は出るだろうけど、エディオル様とリュウを思い浮かべながら、転移の為の魔法陣を展開させる。

ーあの2人の元へー

魔力を魔法陣に流し込むと、私達を囲む様に淡い水色の光が一気に溢れて─




次の瞬間には、そこには誰も立っていなかった。




「ハル殿は…本当に規格外の魔法使いだな─。」

と、グレンは楽しそうに笑いながら呟いた。





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