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第六章ー帰還ー

ようやくの再会

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「ハルは、ベラトリス様とサエラさんには、早く会いたいんじゃない?」

と、ミヤさんが思い付いたように言い出した。


「勿論!本当はすぐにでも会いたいです!もともと、会う予定はしてたので…。」

一度パルヴァンに帰る前に、会う予定だった。それが延期になって…そのまま私が日本に還っちゃったから、会えないままになっている。

「だよね?私もサエラさんには会いたいなぁ…。グレン様に相談してみよっか?」






「会う約束を取る事はできるが…何日も掛かる上に、誰にも会わずに行くと言うのは…無理だろうな。」

「ですよね…。日にちが掛かるのは良いとしても、こっちからお城に行って、あの人達に会うのもねぇ…。」

と、パルヴァン様とミヤさんが難しい顔をしている─けど…。

「─すみません。私、転移できます。」

「「……」」

2人の視線をひしひしと感じるけど、私は2人の方へと視線を向けません。

「…転移って…そう簡単にできるものなの?」

「いや─予め、出発地点と到着地点に魔法陣を貼り付けておく必要がある。魔力もそれなり消費するから、何度も、何人もとは…限りがある…。」

ーえっ!?そうなんですか!?ー

あれ?行きたい所を思い浮かべたら…できたよね?しかも…何度もできたよね?

と、ギョッとした顔をしていたようで

「ハル…知らずに使えたのね?しかも、自由自在に使えたのね?」

と、ミヤさんには遠い目をしながら言われた。

「…それなら…2人の事は伏せて時間だけ取ろう。それで、ハル殿の転移で会いに行けば、誰にも会う事なく行けるだろう。」

「はい!パルヴァン様、ありがとうございます!」


2年前、ここに取り残されてから、ずっと2人には会いたかった。それが…やっと会える!サエラさんには会ったけど…名乗り出る事もできなかった。

ーあの時の組み紐と、あの時のかすみ草のお礼に新しい組み紐を作って渡そうかなー 

と思い、リディさんに組み紐を作りたいから、糸を用意して欲しいとお願いすると、次の日には色んな色の糸を買って来てくれた。





「いっぱい作ったのね。」

「リディさんが色んな色の糸を用意してくれて…作ってたら段々楽しくなっちゃって。気付いたらいっぱいできてました。」

夕食の時間になっても部屋から出て来ない私を心配して、ミヤさんが私の部屋に来てくれました。

「あ、ミヤさんももらってくれますか?」

私のミヤさんのイメージカラーは紺色と白。それに水色を足して三色で組んだ組み紐。

「あ、私、ブルー系が好きなのよ!ありがとう。他の色のも、見ても良い?」

「勿論です。何本でも持って行って下さい。」

と、2人とも夕食の事を忘れてワイワイしてしまい、リディさんに呼ばれて慌てて食堂に向かった。







「一週間後のお昼ですね?」

食後、パルヴァン様から、ベラトリス様から手紙の返事が来たと言われて執務室を訪れた。

「あぁ。それでだ。会う内容としては、“ハル殿の事で話があるから、サエラ殿以外は人払いを頼む”とお願いしておいた。」

「ふふっ。サプライズって事ね。驚くでしょうね。」

「パルヴァン様、ありがとうございます。」

ー1週間後…いよいよ、2人に会えるんだ!ー







*****


「2人とも、準備は大丈夫か?」

「「大丈夫です。」」

「向こうにルナも呼んでもらっているから、ルナも安心させてやってくれ。」

「分かりました。パルヴァン様、ありがとうございます。では─行って来ます。」

パルヴァン様にお礼を言ってから、ベラトリス様を思い浮かべながら足下に魔法陣を展開させる。淡い水色の光がフワリと浮かび上がると共に浮遊感が襲い─それは一瞬で、光が落ち着いた時には─

「─えっ!??」

ベラトリス様の部屋の中に立っていた。

ーはい。チート万歳ですー

「ハル様っっ!!!」

「ぐふぅっ─」

油断してました。パルヴァンの女騎士─ルナさん─に力一杯抱き付かれています。

「ル…ナさん…」

と、また、なんとかルナさんの背中をバシバシと叩かせてもらいます!

「えーっと、ルナ?さん?ハルが潰れちゃうから、離してあげてくれる?」

と、ミヤさんが笑いながらルナさんに声を掛けてくれた。

「はっ!すみません!ハルさ─えっ!?聖女さ…ま!?はっ!?え!?」

流石、パルヴァンの領民。聖女であるミヤさんの事を覚えていたようで、色々とパニクっている。

「ふふっ─ルナさん慌て過ぎですよ?少し落ち着い─」

「ハル様──っ!!」

「ふぁー!?」

またまた油断していたところに…今度は…

「ベラ…トリス様…」

お姉さん達やパルヴァンの人達とは違って、柔らかくてか弱い力で抱き付いて来たベラトリス様。

「…ハル様…ごめんなさい…ごめんなさい…」

「?“ごめんなさい”?」

ーん?何でベラトリス様が謝ってるの?ー 

と、頭の中が?だらけで困っていると

「はいはい。ベラトリス様もルナさんも、少し落ち着きなさいませ?」

と、いつもの様に優しい声と優しい笑顔のサエラさんがそこに居た。




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