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第六章ー帰還ー
処遇
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*すみません!時系列が分かりにくかったようなので、少し捕捉します。
ハルは、2週間日本に居ました。
ハルが日本に還ってから3日目に、リュウがゼン達の前に現れ、4日目に国王との謁見。その場で香のラストチャンスのお願いをしました。
なので、今日投稿した話しは、ハルがまだ日本に居た間の出来事です。説明不足ですみませんでした💦*
「全然─レベルが上がってないね?寧ろ、下がってる。もう、“聖女”とは─呼べないんじゃない?」
「─リュウ!」
もう無理だ─と言ってから2日後。
俺はまた、こっそりと訪れた体を装って、聖女─宮下香の部屋にやって来た。俺を見た彼女は、何を思っての事か分からないが、嬉しそうな顔をしながら俺に駆け寄って来た。
「待っていたのよ!ねぇ、また…魔力を分けてくれない?最近…何だか調子が悪くて、聖女の訓練がうまくいかないの。」
と言いながら、俺の腕にしがみつき、上目遣いでねだって来る。
ーここまで馬鹿だとはなー
「本当に、ありがたいね。ここまで酷いと、俺も何の躊躇いもなく。あんたを切れるよ。」
「─きれる?」
「なぁ…ここが…自分がヒロインのゲームの世界だと知っていて、何故努力をしなかった?」
「─え?」
「ゲームの中の宮下香は…魅了なんて使わなかった。ただひたすら、この国の為に努力して、聖女の務めを果たしていただろう?それなのに、あんたはここで何をした?」
そう言うと、宮下香は俺から離れ、先程迄の媚びる様な顔から一転、俺を見下す様にニヤリと嗤う。
「リュウ─あなたもモブよね?このゲームに“リュウ”なんて魔法使いはいなかったもの。私を召喚してくれたから、感謝はしているけど…ここで私が何しようと、あなたには関係無いでしょう?モブはモブらしく─あのハルって言うモブの子みたいに、あなたも邪魔をするなら…許さない。」
「“許さない”ねぇ…。本当に、馬鹿だよね。努力もせず、俺の魔力を使って魅了を発動させて、色んな男と関係もってさぁ…それで、エディオル=カルザインやフェンリルとハッピーエンドになれると─本気で思ってる?絶対に有り得ない。」
「なれるに決まってるじゃない!私はヒロインなんだから!」
と、俺を睨みながら、俺に魅了を掛けてくる。
ー本当に…歪んでるなぁー
「なれる訳ないだろう。ヒロインは、どんな境遇に置かれても、嘆く事なく恨む事もなく、努力して聖女の務めを果たしたからこそ、自分が想う相手と結ばれたんだ。あんたみたいに、何の努力もせず、他人の魔力を使って魅了を発動させ人を狂わせるような奴が、想い人と結ばれる筈がないだろう。それに、あんたは召喚されてから何もしなかった。あんたには…聖女としての力は─もう残ってないよ。」
「何を…言っているの?聖女の力が無いって…」
今迄の余裕顔から一転して、顔色がサァッと悪くなる。
「そのままの意味だけど?ヒロインだから、何もしなくても聖女の力を保てると思った?ゲームをしていた人間なら分かるんじゃないの?訓練や努力をしなければ、聖女のレベルが下がるって事。あんた、もともと聖女のレベルが底辺だったんだよ。よっぽど…日本でも色々とやって来たんだろうね?」
「何を─」
「俺は、確かにモブの魔法使いだけど…俺は、このゲームの製作者だったんだよ。ヒロインの設定として、日本で不幸だった分、聖女としてのレベルが上がるようにしてあったんだ。それなのに、あんたの召喚時のレベルは底辺だった。と言う事は、あんたは日本でも結構黒い事を…して来たって事だよ。」
「そんな…事─」
「可哀想に…。もう、ここにはあんたの居場所は無いよ。」
「─っ!?そ…それじゃあ、今から頑張るから!ほら、あなたの国には、聖女が必要なんでしょう?だから、もう一度、あなたの魔力を─っ」
「もう遅いよ。既にあんたは、最後のチャンスを逃したんだ。あんたを─拘束する─。」
俺は軽く手を振り、宮下香の両手足と首に枷を嵌める。
“魔力封じ”の枷だが、ハルに嵌めた物とは違い、魔力が使えなくなるだけで奪う事は無い。
有難い事に、この国の王は、俺の国の穢れが落ち着く迄、俺に時間をくれた。その間、宮下香は─パルヴァン領預かりとなった。
「何で!?何で私が─っ!」
「それさえも分からないと言うなら…あんたは本当に救いようの無い馬鹿だよ。パルヴァンで、じっくりと考えれば良い。時間は─たっぷりあるから─。」
*****
「それじゃあ、その聖女だった?子が、パルヴァンに来るのね?」
「はい。あの魔法使いが、隣国の穢れを落ち着かせる迄の間、パルヴァンで預かる事になりました。そして、穢れが落ち着いた後、あの魔導師が元の世界へ送り返す事になっています。」
と、リディさんが説明してくれた。
「リュウが送り返す?でも…2回目は自分がどうなるか分からないって…」
2回目は魔力が足りなくて危ないかもと言っていた筈。
「自分はどうなるか分からないけど、彼女を元の世界へ戻すと提案したのは、その魔法使い本人だそうです。」
「リュウが…」
最後に会った時には、あれ程ゲームに固執していたのに…。
「兎に角…その子はいつ、ここに来る予定なの?」
ミヤさんが訊くと、リディさんが答える。
「予定では10日後に、こちらに帰って来るゼンさんと一緒に来る事になっています。」
「…パルヴァン様、私と同じ聖女だった者として、一度だけでも良いので…会わせてもらえますか?」
「相手の状態や様子次第だが、問題が無さそうならば─。」
「─ありがとうございます。」
と、ボスと裏ボスが…ニヤリと笑い合っている。
ーゼンさんが帰って来たら…ボス、ラスボス、裏ボス勢揃いですねー
と思ったのは…内緒にしておきます。
“ボス”って、いっぱい居るものなんですね。
ハルは、2週間日本に居ました。
ハルが日本に還ってから3日目に、リュウがゼン達の前に現れ、4日目に国王との謁見。その場で香のラストチャンスのお願いをしました。
なので、今日投稿した話しは、ハルがまだ日本に居た間の出来事です。説明不足ですみませんでした💦*
「全然─レベルが上がってないね?寧ろ、下がってる。もう、“聖女”とは─呼べないんじゃない?」
「─リュウ!」
もう無理だ─と言ってから2日後。
俺はまた、こっそりと訪れた体を装って、聖女─宮下香の部屋にやって来た。俺を見た彼女は、何を思っての事か分からないが、嬉しそうな顔をしながら俺に駆け寄って来た。
「待っていたのよ!ねぇ、また…魔力を分けてくれない?最近…何だか調子が悪くて、聖女の訓練がうまくいかないの。」
と言いながら、俺の腕にしがみつき、上目遣いでねだって来る。
ーここまで馬鹿だとはなー
「本当に、ありがたいね。ここまで酷いと、俺も何の躊躇いもなく。あんたを切れるよ。」
「─きれる?」
「なぁ…ここが…自分がヒロインのゲームの世界だと知っていて、何故努力をしなかった?」
「─え?」
「ゲームの中の宮下香は…魅了なんて使わなかった。ただひたすら、この国の為に努力して、聖女の務めを果たしていただろう?それなのに、あんたはここで何をした?」
そう言うと、宮下香は俺から離れ、先程迄の媚びる様な顔から一転、俺を見下す様にニヤリと嗤う。
「リュウ─あなたもモブよね?このゲームに“リュウ”なんて魔法使いはいなかったもの。私を召喚してくれたから、感謝はしているけど…ここで私が何しようと、あなたには関係無いでしょう?モブはモブらしく─あのハルって言うモブの子みたいに、あなたも邪魔をするなら…許さない。」
「“許さない”ねぇ…。本当に、馬鹿だよね。努力もせず、俺の魔力を使って魅了を発動させて、色んな男と関係もってさぁ…それで、エディオル=カルザインやフェンリルとハッピーエンドになれると─本気で思ってる?絶対に有り得ない。」
「なれるに決まってるじゃない!私はヒロインなんだから!」
と、俺を睨みながら、俺に魅了を掛けてくる。
ー本当に…歪んでるなぁー
「なれる訳ないだろう。ヒロインは、どんな境遇に置かれても、嘆く事なく恨む事もなく、努力して聖女の務めを果たしたからこそ、自分が想う相手と結ばれたんだ。あんたみたいに、何の努力もせず、他人の魔力を使って魅了を発動させ人を狂わせるような奴が、想い人と結ばれる筈がないだろう。それに、あんたは召喚されてから何もしなかった。あんたには…聖女としての力は─もう残ってないよ。」
「何を…言っているの?聖女の力が無いって…」
今迄の余裕顔から一転して、顔色がサァッと悪くなる。
「そのままの意味だけど?ヒロインだから、何もしなくても聖女の力を保てると思った?ゲームをしていた人間なら分かるんじゃないの?訓練や努力をしなければ、聖女のレベルが下がるって事。あんた、もともと聖女のレベルが底辺だったんだよ。よっぽど…日本でも色々とやって来たんだろうね?」
「何を─」
「俺は、確かにモブの魔法使いだけど…俺は、このゲームの製作者だったんだよ。ヒロインの設定として、日本で不幸だった分、聖女としてのレベルが上がるようにしてあったんだ。それなのに、あんたの召喚時のレベルは底辺だった。と言う事は、あんたは日本でも結構黒い事を…して来たって事だよ。」
「そんな…事─」
「可哀想に…。もう、ここにはあんたの居場所は無いよ。」
「─っ!?そ…それじゃあ、今から頑張るから!ほら、あなたの国には、聖女が必要なんでしょう?だから、もう一度、あなたの魔力を─っ」
「もう遅いよ。既にあんたは、最後のチャンスを逃したんだ。あんたを─拘束する─。」
俺は軽く手を振り、宮下香の両手足と首に枷を嵌める。
“魔力封じ”の枷だが、ハルに嵌めた物とは違い、魔力が使えなくなるだけで奪う事は無い。
有難い事に、この国の王は、俺の国の穢れが落ち着く迄、俺に時間をくれた。その間、宮下香は─パルヴァン領預かりとなった。
「何で!?何で私が─っ!」
「それさえも分からないと言うなら…あんたは本当に救いようの無い馬鹿だよ。パルヴァンで、じっくりと考えれば良い。時間は─たっぷりあるから─。」
*****
「それじゃあ、その聖女だった?子が、パルヴァンに来るのね?」
「はい。あの魔法使いが、隣国の穢れを落ち着かせる迄の間、パルヴァンで預かる事になりました。そして、穢れが落ち着いた後、あの魔導師が元の世界へ送り返す事になっています。」
と、リディさんが説明してくれた。
「リュウが送り返す?でも…2回目は自分がどうなるか分からないって…」
2回目は魔力が足りなくて危ないかもと言っていた筈。
「自分はどうなるか分からないけど、彼女を元の世界へ戻すと提案したのは、その魔法使い本人だそうです。」
「リュウが…」
最後に会った時には、あれ程ゲームに固執していたのに…。
「兎に角…その子はいつ、ここに来る予定なの?」
ミヤさんが訊くと、リディさんが答える。
「予定では10日後に、こちらに帰って来るゼンさんと一緒に来る事になっています。」
「…パルヴァン様、私と同じ聖女だった者として、一度だけでも良いので…会わせてもらえますか?」
「相手の状態や様子次第だが、問題が無さそうならば─。」
「─ありがとうございます。」
と、ボスと裏ボスが…ニヤリと笑い合っている。
ーゼンさんが帰って来たら…ボス、ラスボス、裏ボス勢揃いですねー
と思ったのは…内緒にしておきます。
“ボス”って、いっぱい居るものなんですね。
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