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第四章ー王都ー

早過ぎる再会

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「あれ?フェンリルが出て来た…。」

ルディが寝ている部屋から、フェンリルが出て来た事に気付いたクレイルが声を出したが、フェンリルはソレを無視してエディオルをジッと見詰めた後、チラリと今出て来た部屋に軽く視線を向けた。

「…彼女…薬師殿が…目を覚ました?」

と、エディオルが尋ねると、フェンリルがコクリと頷く。

「私は無視なのか…取り敢えず、医師を呼んで来るよ。」

苦笑しながらそう言って、クレイルは部屋を出て行った。


「よ…良かった…」

と言いながら、ティモスは両手で顔を覆った。

「ティモス殿…だいじょ…」

「本当に良かった!グレン様が来る前に、目覚めてくれて…本当に良かった!これで、、ルディがくれる…筈!」

「───ちっ…」

「えっ!?カルザイン様、今、舌打ちしました?」

「いや、気のせいでは?」

いや、絶対したよな?実の父親がヤバいと言うのに…あぁ、ハルが酷い目に遭ったから…キレてたんだったな…。
取り敢えず、グレン様が王城ここに来たら、先ずはハルに会わせて落ち着かせてから、第一騎士団の所へ行ってもらおう。






それから、すぐに医師が来てハルを診察してくれた。
枯渇しかけていた魔力も殆ど元に戻っていたそうで、他は特に問題は無いとの事だった。

ーいつでも、パルヴァン辺境地に戻れるー

と言う事だ。














お昼過ぎ、予定通りにレオン様がやって来た。うん。レオン様は構わない──だが…。

「……グレン様…早過ぎ…ませんか?」

まさかの…グレン様付きだった。

チラリとレオン様を見ると、レオン様は…心なしかゲッソリとしていた。

「ティモス、すまないね。私では止められなかった…。」

あぁ…レオン様は、取り敢えず頑張ってくれたんですね。

「いえ…。あー、先にルディに会いますか?俺もまだ会ってないんですけど、医師からは、会っても良いと許可はもらっています。」

「そうだな。先ずはルディに会う。」

グレン様がそう言った為、先ずはハルの所に行く事になった。








*ハル視点*


「ルディ、大丈夫か!?」

「は─って…えっ!?パルヴァン様!?えっ?何で!?」

まさかのパルヴァン様登場に、ビックリだ。扉を開けた勢いのまま、パルヴァン様に優しくギュウッと抱き締められた。

昨日の今日で、どうしてここにパルヴァン様が居るのか分からないけど、心配してくれたのかな?と思うと、胸がポカポカと温かくなる。

ーふふっ、お父さん…みたいだー

パルヴァン様は、私から体を離し顔を覗き込んで来る。

「ギデルの事を聞いてな…すまなかった。王都に居ると情報は把握していたのだが、まさか城で手を出して来るとは…思わなかったのだ。後で、第一騎士団をキッチリ締め上げておく。」

「え゛!?締めっ!?」

ーあれ?気のせい…じゃないよね?締め上げるって言わなかった?ー

チラリと、ティモスさんとレオン様を見ると、2人ともが…顔面蒼白で遠い目をしていた。

ーあ…コレ、止められないやつ?ー

「あの…えっと…私はこの通り元気になりましたし、そのー…締め上げるまではしなくても…」

「ルディは優しいな…。大丈夫だ。緩んだ空気をだからな。」

ニヤリ…ニッコリと笑うパルヴァン様。黒いオーラ全開です。すみません。私でも止められそうにありません。

そこに、スルリとレフコースがパルヴァン様の前にやって来た。

「あぁ、ひょっとして、あの時のフェンリルか?」

「はい。あの時のフェンリルで…名前は“レフコース”。レフコース、この方がグレン=パルヴァン辺境伯様。あの時、レフコースが飛び掛かった騎士様。」

チョコンとお座りしているレフコースは、そのまま頭をスッと下げる。

『あの時はすまなかった。間違いで済む話ではないのだが…。そなたが助かって良かった。それと、また詳しくは主…ハルから聞いてもらいたいのだが、我とハルは名を交わした。故に、我はこれからはハルを主とし、側に居る。』

「レフコース……名を…そうか…。あなたが、パルヴァンの巫女のフェンリルだったのか…。」

どうやら、パルヴァン様はレフコースとパルヴァンの巫女の事を知っていたようだ。それもそうか…。

パルヴァン辺境地にとって、穢れの浄化は最重要案件だ。穢れの具合で魔物の出現率が変わる。それが、このレフコースのお陰でより一層浄化が完璧に近い状態にまでできていたのだ。その巫女が死に、それと共に姿を消したフェンリル。その代のパルヴァン辺境伯は、2人の業績を文献に残していたそうだ。なので、代々パルヴァン辺境伯を受け継ぐ者は、皆この事を知っているらしい。

「レフコース殿、また、主と出会えて良かった。」

パルヴァン様がそう言うと、レフコースは嬉しそうに尻尾をフリフリと振った。







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