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第三章ーパルヴァン辺境地ー
水色は誰の色?
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「自由って素敵!」
視察一行様達が出立して2日。今日も元気に森に来ています。ティモスさんを添えて…。
はい、こっそり来るのは止めました。こっそり来ても、必ずティモスさんに見付かってしまうから。
「自由って…そこまで言うと、王太子殿下に失礼だぞ?」
と言いながら、ティモスさんだって笑ってるから同罪だよね?
「とにかく、今日は薬師として来ているので、薬草を採って来ますね。ティモスさんは、どうしますか?」
私が森に居る時は、ティモスさんはいつもの岩場で座っていたり、剣をふるったりしている。
「あー…今日は、ハルに付いて行って良いか?」
「別に良いですけど…付いて来るなんて珍しいですね。どうしたんですか?」
「んー…取り敢えず、歩きながら話そうか?」
と、ティモスさんに促され、薬草を探しに歩き出した。
「黒色と水色の…ピアス…」
「そう。王太子殿下とダルシニアン様とカルザイン様が、左耳に着けていた。」
「……」
「聖女様達が消えた後に、黒色と水色の魔石が三つずつ残ってたって。それで黒色と水色の魔石を一つずつペアにしてピアスを作ったって。」
ー私のバラバラになったブレスレットの魔石だー
「それ、ハルが着けてるピアスと同じ…物じゃないのか?」
「…です…ね…。」
そっと、左耳に着けているそのピアスに触れる。
「別に、隠してる訳じゃないんですけど…」
と、言って、ルナさん達に話した時のように、ティモスさんにも、このピアスの説明をした。その話をしても、流石にティモスさんは泣きはしなかったけど「そっか…」と言って、また、私の頭をワシャワシャと撫で回した。
ー1人で森に来る事を止めたのに何故だ!?ー
と思うも、きっと、これはティモスさんなりの優しさなんだろうと思うと、反抗するのも何だかなぁ…と思ってしまったのは、ここだけの話しにしておく。
「黒色は聖女様達の色で、水色は…ハルか?」
「そうです。でも…水色が私の色だって分かるのは、お姉…聖女様達だけですけどね。王太子様達は知らない筈です。眼鏡で瞳の色を変えてましたから…。」
「…だよな?なら大丈夫だと思うけど…。ダルシニアン様からその話を聞いた時にな、ダルシニアン様が言ってたんだ…」
『黒色は聖女様達とハル殿の色。じゃあ、水色は誰の色だったのか…未だに謎なんだよね。』
「それに、王太子殿下がその魔石を身に着けておきたいと言う気持ちは、分からなくはない。殿下のミヤ様への気持ちは、社交界でも有名だったからな。じゃあ…ダルシニアン様とカルザイン様は?何故…その2人が?と思って。まー、ダルシニアン様本人には訊けなかったけどな。」
ティモスさんは、少し困った様に笑った。
確かに、ティモスさんの言う通りで…。王太子様はミヤ様に気持ちが残ってしまっているんだろう。後の2人は…
「全く聞いた事はないですけど、ダルシニアン様もカルザイン様も、フジさんとショウさんが好きだった…か、ただ単に、側近として同じ物を身に着けさせてる…とか?」
「…そこに、“ハルが”って可能性はないのか?」
「はいー!?」
ーえ?この人何言っちゃってるの!?え?頭おかしくない!?ー
「え?そんなに驚く事か?ハルだって一応女の子だろう?」
「…一応…一応!?」
ーティモスさん…それ、ものすごく失礼ですからね!ー
「色々と突っ込みどころはありますけど…それはないと思いますよ?ダルシニアン様とは、浄化の旅で話をするようになった位ですし、カルザイン様に至っては…寧ろ嫌われている可能性の方が高いですからね。それに、私は聖女様達と違って、その3人とは殆ど接点ありませんでしたからね。」
逆に、お姉さん達とはエスコートは勿論、最後の夜会ではダンスを踊ったとも言っていた。最後の思い出作り…だったのでは?
「んー…それなら大丈夫か?ハルは元の世界に還ったと思ってるし、水色がハルの色と気付いても…ルディとは一致しない…か?」
「一致?」
「あー…っと…2日前、一行が出立する前にダルシニアン様がな…『ルディ殿は、いつからパルヴァン邸付きの薬師になったのか?』って、訊いて来たんだ。多分、1年前に居なかったからだと思うけど。それがちょっと気になってな。」
ハルが気にすると思ったから言わずにおこうと思ったけど、どうしても気になってなーと、ティモスさんは困った顔をしながら私の頭をポンポンと優しく叩いた。
ダルシニアン様か…。この森で会って話した時はハルに気付いてる感じはなかった。ただ単に、いつから居るのか気になっただけかもしれないし…
ーそれよりもー
あの時のカルザイン様の反応は…
一瞬、大きく見開かれたような目。
何十人と居た侍女や従者達の後ろに居た私。目が合ったように見えただけかもしれないし、私を見ていたとも限らない…けど…あの時のカルザイン様の表情が、暫くの間は頭から離れなかった。
視察一行様達が出立して2日。今日も元気に森に来ています。ティモスさんを添えて…。
はい、こっそり来るのは止めました。こっそり来ても、必ずティモスさんに見付かってしまうから。
「自由って…そこまで言うと、王太子殿下に失礼だぞ?」
と言いながら、ティモスさんだって笑ってるから同罪だよね?
「とにかく、今日は薬師として来ているので、薬草を採って来ますね。ティモスさんは、どうしますか?」
私が森に居る時は、ティモスさんはいつもの岩場で座っていたり、剣をふるったりしている。
「あー…今日は、ハルに付いて行って良いか?」
「別に良いですけど…付いて来るなんて珍しいですね。どうしたんですか?」
「んー…取り敢えず、歩きながら話そうか?」
と、ティモスさんに促され、薬草を探しに歩き出した。
「黒色と水色の…ピアス…」
「そう。王太子殿下とダルシニアン様とカルザイン様が、左耳に着けていた。」
「……」
「聖女様達が消えた後に、黒色と水色の魔石が三つずつ残ってたって。それで黒色と水色の魔石を一つずつペアにしてピアスを作ったって。」
ー私のバラバラになったブレスレットの魔石だー
「それ、ハルが着けてるピアスと同じ…物じゃないのか?」
「…です…ね…。」
そっと、左耳に着けているそのピアスに触れる。
「別に、隠してる訳じゃないんですけど…」
と、言って、ルナさん達に話した時のように、ティモスさんにも、このピアスの説明をした。その話をしても、流石にティモスさんは泣きはしなかったけど「そっか…」と言って、また、私の頭をワシャワシャと撫で回した。
ー1人で森に来る事を止めたのに何故だ!?ー
と思うも、きっと、これはティモスさんなりの優しさなんだろうと思うと、反抗するのも何だかなぁ…と思ってしまったのは、ここだけの話しにしておく。
「黒色は聖女様達の色で、水色は…ハルか?」
「そうです。でも…水色が私の色だって分かるのは、お姉…聖女様達だけですけどね。王太子様達は知らない筈です。眼鏡で瞳の色を変えてましたから…。」
「…だよな?なら大丈夫だと思うけど…。ダルシニアン様からその話を聞いた時にな、ダルシニアン様が言ってたんだ…」
『黒色は聖女様達とハル殿の色。じゃあ、水色は誰の色だったのか…未だに謎なんだよね。』
「それに、王太子殿下がその魔石を身に着けておきたいと言う気持ちは、分からなくはない。殿下のミヤ様への気持ちは、社交界でも有名だったからな。じゃあ…ダルシニアン様とカルザイン様は?何故…その2人が?と思って。まー、ダルシニアン様本人には訊けなかったけどな。」
ティモスさんは、少し困った様に笑った。
確かに、ティモスさんの言う通りで…。王太子様はミヤ様に気持ちが残ってしまっているんだろう。後の2人は…
「全く聞いた事はないですけど、ダルシニアン様もカルザイン様も、フジさんとショウさんが好きだった…か、ただ単に、側近として同じ物を身に着けさせてる…とか?」
「…そこに、“ハルが”って可能性はないのか?」
「はいー!?」
ーえ?この人何言っちゃってるの!?え?頭おかしくない!?ー
「え?そんなに驚く事か?ハルだって一応女の子だろう?」
「…一応…一応!?」
ーティモスさん…それ、ものすごく失礼ですからね!ー
「色々と突っ込みどころはありますけど…それはないと思いますよ?ダルシニアン様とは、浄化の旅で話をするようになった位ですし、カルザイン様に至っては…寧ろ嫌われている可能性の方が高いですからね。それに、私は聖女様達と違って、その3人とは殆ど接点ありませんでしたからね。」
逆に、お姉さん達とはエスコートは勿論、最後の夜会ではダンスを踊ったとも言っていた。最後の思い出作り…だったのでは?
「んー…それなら大丈夫か?ハルは元の世界に還ったと思ってるし、水色がハルの色と気付いても…ルディとは一致しない…か?」
「一致?」
「あー…っと…2日前、一行が出立する前にダルシニアン様がな…『ルディ殿は、いつからパルヴァン邸付きの薬師になったのか?』って、訊いて来たんだ。多分、1年前に居なかったからだと思うけど。それがちょっと気になってな。」
ハルが気にすると思ったから言わずにおこうと思ったけど、どうしても気になってなーと、ティモスさんは困った顔をしながら私の頭をポンポンと優しく叩いた。
ダルシニアン様か…。この森で会って話した時はハルに気付いてる感じはなかった。ただ単に、いつから居るのか気になっただけかもしれないし…
ーそれよりもー
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