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第三章ーパルヴァン辺境地ー
黒色と水色
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*本日も、2話投稿予定です*
『……じよ。…を……べ。……しい。』
誰?何を言っている?よく聞こえないのに、聞かなきゃいけないような気持ちになる。必死になって聞こうとするけど、その声がどんどん小さくなる。
『………いる…から……』
「ハル様?」
ハッとして、目が覚める。
「あれ?寝てた?夢?」
「お疲れなんですよ。本邸から迎えが来ているのですけど…もう少しお休みになってから行きますか?」
どうやら、ソファーに座ったまま寝てしまっていたようだ。ルナさんが、心配そうな顔をして訊いて来る。
「大丈夫です。ちょっと変な夢をみただけだから…。予定通り本邸に行きます。」
「分かりました。でも、無理はしないで、疲れた時は言って下さいね。」
そして、2日目の夜もルナさんと一緒に本邸に居るゼンさんの元に向かった。
ゼンさんは、今日のお昼前に目を覚まし、その時に軽食をとったと言う。少し微熱があるが、夕食も軽く食べて今はまた寝ている。
「これなら、明後日にはベッドから出られそうですね。」
と、ルナさんもリディさんもホッとしたようだ。そのまま、リディさんには下がって休んでもらい、私とルナさんでゼンさんをみることにした。
「ハル様、ルナ、おはようございます。」
「ふふっ…はい、おはようございます。ゼンさん。体調はどんな感じですか?」
翌朝、ゼンさんは早い時間に目覚めた。ベッドの上の人のままだが、上体を起こし背筋をピンと伸ばしている。ゼンさんらしくて、つい笑ってしまう。
「特に問題ありません。なんなら、倒れる前よりも体が軽い感じです。アンナ様からも聞きました。ハル様も、私の為に色々とありがとうございました。」
背筋をピンと伸ばしたまま、スッと頭を下げながら礼を言うゼンさん。
「アンナさんの初動の処置が早かった事が、一番良かったんだと思いますけど…元気になって良かったです。ただ、念の為、明日まではこの毒抜きのポーションは飲み続けて下さいね。」
「分かりました。ハル様、ありがとうございます。」
「それじゃあ、私は早めに…今からパルヴァン様に報告して別邸に戻りますね。」
「そうでしたね…。私のせいで、本邸に来ていただいて…すみませんでした。」
「気にしないで下さいね。会っても、多分気付かれないと思うので。」
そう言って、私はゼンさんの居る部屋を後にした。パルヴァン様への報告もサッと済ませ、ルナさんと別邸へ向かった。
今日の王太子様達は、街の方へ視察に行くらしい。なので、今からお昼頃まで休んだ後、私は森に行って薬草を摘みに行く事にした。勿論、ルナさんと行きます。
「ハル様、まだ必要な薬草はありますか?」
「んー…今日は、これ位で大丈夫だと思います。ルナさん、ありがとうございます。」
そろそろ帰ろうか?と思ったところで
「ハル様ー、ルナー、今日はここでお茶しませんかー?」
と、リディさんがバスケットを抱えてやって来た。
「ハル様、いつも魔除けのピアスと一緒に黒色と水色の魔石のピアスを着けてますけど、どなたからかのプレゼントなんですか?」
ー黒色と水色の魔石のピアスー
あの時散らばってしまって、手元に残ったのが八つあったうちの二つだけ。私はそれを小さく削ってピアスに加工し直したのだ。別に隠している事でもないので、このピアスの説明をした。
「ハル様─っ」
リディさんに泣かれてしまった。
「リディ…何でアンタが泣くの…。」
「うぅー…だって…うー…すみません…」
リディさんが泣いて、それを呆れた顔をして見遣るルナさんを見ていると、なんだか胸がホッコリしてきた。
「リディさん、私の為?に泣いてくれてありがとうございます。確かに…1人だけ弾かれてこの世界に残された時は辛かったし、還れないって判った時も辛かったんですけど…。でも、飛ばされた先がパルヴァンで良かったって思ってるんです。こんな不審者な私でも受け入れてくれて…私の我が儘も優しく受け入れてくれて…本当に…感謝してるんです。」
「ハル様…」
「でもやっぱり、日本…元の世界は恋しいし…お姉さん…聖女様達が恋しくて…繋がりだけは切りたくなくて…毎日身に着けちゃうんですよね。」
「じゃあ、それは…聖女様達の黒色と、ハル様の水色と言う事でしょうか?」
「そうです。お互いの瞳の色です。」
「確か…ハル様も最初は黒色でしたね?この1年で変わってしまいましたが…ハル様の可愛さには変わりありませんけど。」
と、ルナさんとリディさんは、いつも私を可愛いと言ってくれるけど…
「誉める仕事も大変ですよねー」
「「は?」」
何故か分からないけど、私の一言で泣き止んだリディさんとルナさんに、それから暫くの間お茶とお菓子を取り上げられ、私がいかに可愛いか…こんこんと説明された。
ーいや、ある意味拷問だよね?ー
“恥ずか死ねる”とはこの事か…と思いながら、2人の言葉に耳を傾け続けた。
ー誰か、助けてください!ー
『……じよ。…を……べ。……しい。』
誰?何を言っている?よく聞こえないのに、聞かなきゃいけないような気持ちになる。必死になって聞こうとするけど、その声がどんどん小さくなる。
『………いる…から……』
「ハル様?」
ハッとして、目が覚める。
「あれ?寝てた?夢?」
「お疲れなんですよ。本邸から迎えが来ているのですけど…もう少しお休みになってから行きますか?」
どうやら、ソファーに座ったまま寝てしまっていたようだ。ルナさんが、心配そうな顔をして訊いて来る。
「大丈夫です。ちょっと変な夢をみただけだから…。予定通り本邸に行きます。」
「分かりました。でも、無理はしないで、疲れた時は言って下さいね。」
そして、2日目の夜もルナさんと一緒に本邸に居るゼンさんの元に向かった。
ゼンさんは、今日のお昼前に目を覚まし、その時に軽食をとったと言う。少し微熱があるが、夕食も軽く食べて今はまた寝ている。
「これなら、明後日にはベッドから出られそうですね。」
と、ルナさんもリディさんもホッとしたようだ。そのまま、リディさんには下がって休んでもらい、私とルナさんでゼンさんをみることにした。
「ハル様、ルナ、おはようございます。」
「ふふっ…はい、おはようございます。ゼンさん。体調はどんな感じですか?」
翌朝、ゼンさんは早い時間に目覚めた。ベッドの上の人のままだが、上体を起こし背筋をピンと伸ばしている。ゼンさんらしくて、つい笑ってしまう。
「特に問題ありません。なんなら、倒れる前よりも体が軽い感じです。アンナ様からも聞きました。ハル様も、私の為に色々とありがとうございました。」
背筋をピンと伸ばしたまま、スッと頭を下げながら礼を言うゼンさん。
「アンナさんの初動の処置が早かった事が、一番良かったんだと思いますけど…元気になって良かったです。ただ、念の為、明日まではこの毒抜きのポーションは飲み続けて下さいね。」
「分かりました。ハル様、ありがとうございます。」
「それじゃあ、私は早めに…今からパルヴァン様に報告して別邸に戻りますね。」
「そうでしたね…。私のせいで、本邸に来ていただいて…すみませんでした。」
「気にしないで下さいね。会っても、多分気付かれないと思うので。」
そう言って、私はゼンさんの居る部屋を後にした。パルヴァン様への報告もサッと済ませ、ルナさんと別邸へ向かった。
今日の王太子様達は、街の方へ視察に行くらしい。なので、今からお昼頃まで休んだ後、私は森に行って薬草を摘みに行く事にした。勿論、ルナさんと行きます。
「ハル様、まだ必要な薬草はありますか?」
「んー…今日は、これ位で大丈夫だと思います。ルナさん、ありがとうございます。」
そろそろ帰ろうか?と思ったところで
「ハル様ー、ルナー、今日はここでお茶しませんかー?」
と、リディさんがバスケットを抱えてやって来た。
「ハル様、いつも魔除けのピアスと一緒に黒色と水色の魔石のピアスを着けてますけど、どなたからかのプレゼントなんですか?」
ー黒色と水色の魔石のピアスー
あの時散らばってしまって、手元に残ったのが八つあったうちの二つだけ。私はそれを小さく削ってピアスに加工し直したのだ。別に隠している事でもないので、このピアスの説明をした。
「ハル様─っ」
リディさんに泣かれてしまった。
「リディ…何でアンタが泣くの…。」
「うぅー…だって…うー…すみません…」
リディさんが泣いて、それを呆れた顔をして見遣るルナさんを見ていると、なんだか胸がホッコリしてきた。
「リディさん、私の為?に泣いてくれてありがとうございます。確かに…1人だけ弾かれてこの世界に残された時は辛かったし、還れないって判った時も辛かったんですけど…。でも、飛ばされた先がパルヴァンで良かったって思ってるんです。こんな不審者な私でも受け入れてくれて…私の我が儘も優しく受け入れてくれて…本当に…感謝してるんです。」
「ハル様…」
「でもやっぱり、日本…元の世界は恋しいし…お姉さん…聖女様達が恋しくて…繋がりだけは切りたくなくて…毎日身に着けちゃうんですよね。」
「じゃあ、それは…聖女様達の黒色と、ハル様の水色と言う事でしょうか?」
「そうです。お互いの瞳の色です。」
「確か…ハル様も最初は黒色でしたね?この1年で変わってしまいましたが…ハル様の可愛さには変わりありませんけど。」
と、ルナさんとリディさんは、いつも私を可愛いと言ってくれるけど…
「誉める仕事も大変ですよねー」
「「は?」」
何故か分からないけど、私の一言で泣き止んだリディさんとルナさんに、それから暫くの間お茶とお菓子を取り上げられ、私がいかに可愛いか…こんこんと説明された。
ーいや、ある意味拷問だよね?ー
“恥ずか死ねる”とはこの事か…と思いながら、2人の言葉に耳を傾け続けた。
ー誰か、助けてください!ー
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