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独占欲
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*卒業式当日*
卒業式には、卒業をする2年生だけが参列する為、1年生である妹は休みになる。
式には保護者も参列できるが、予想通り、エルダインからは父も義母も参列しない。唯一の予想外と言えば──
“卒業おめでとう。式には行けないが、代理としてカーソンに参列を頼んでいる。夜のパーティーには間に合うと思う”
と言う、父直筆の手紙が寮に居る私宛に届いた事だ。
ー流石に、パーティーに不参加とはいかないよねー
公式ではないが王太子が宣言される事。
第一王子の婚約者が決まる事。
候補の1人として、実の娘があがっているのだ。親としては…欠席すると言う事は、外聞も悪くなってしまう可能性があるからね。
兎に角、カーソンが卒業式に来てくれるのは、正直に嬉しい。パーティーの父に関しては…一緒に居る事は殆ど無いだろうから……大丈夫だろう。
それに──
ーリオが居るからねー
何て、絶対本人には……言えないけど!熱くなった顔を手でパタパタと扇ぐ。
「はぁ─私って…チョロいのかしら?」
「チョロく無いと思いますよ?お嬢様がエスタリオン様に恋をしただけですよ。」
「─なっ…こ……いって…………」
あまりのココのストレートパンチに、暫くの間は動く事ができなかった。
******
「お嬢様、本日は、ご卒業おめでとうございます。」
「カーソン、ありがとう。カーソンに見届けてもらえて、私も嬉しいわ。」
卒業式は、学園長の話から始まり、卒業生代表として第一王子が謝辞を贈った後、担任から卒業生の名を読み上げられ、1人1人に卒業証書が手渡された。
待ちに待った卒業式は、本当に、あっと言う間にアッサリ終わった。
父からの手紙の通り、カーソンが卒業式に参列してくれていた。
その式が終わると、卒業生達は各々夜のパーティーの支度の為に、邸へと帰って行く。
私は、このまま王城へと向かわなければならない。その為、カーソンと少し会話を交した後、私は迎えに来ていた王城からの馬車に乗り込んだ。
王城内に充てがわれた部屋迄は、他の候補者達と会う事もなくやって来た為、誰が何処の部屋に居るのかも分からない。
城付きの女官に案内されて入った部屋には、既にココが軽食を用意して待っていてくれた。
「お嬢様、卒業おめでとうございます。とは言え、これからが本番ですね。」
「ふふっ。ココ、ありがとう。そうね。確かに…これからが本番ね。」
「では、これからの本日の流れを説明させていただきますので、お嬢様は軽食を食べながらお聞き下さい。」
と、ココが予め城付きの女官から聞いていた、これからの流れを説明してくれた。
それは、以前から聞いていた通り、5時から入場が始まり、6時に開演。婚約者候補達の入場は、開演後、国王陛下の挨拶の後になる。
婚約者決定アイテムとなるティアラは、4時頃に王妃付きの侍女長が直接持って来ると言う事だった。
「それと、こちら、エスタリオン様からです。」
「リオから?」
赤いリボンの付いた、ラッピングされた筒状の箱を手渡される。
「私がこの部屋で待機している間に届きました。」
ー何だろう?と言うか、いつの間に?そんな時間あった?ー
色々と謎だなぁ─と思いながら受け取ると、リボンの所にはメッセージカードが挟まっていた。
取り敢えず、そのメッセージカードをテーブルの上に置き、リボンを解き、ラッピングされた紙を開き、筒状の蓋を開けると─
「バイオレット…ローズ…」
赤いリボンが括り付けられた、1輪のバイオレットローズが出て来た。
「綺麗ね───」
「───独占欲丸出しですね。」
「独占欲??」
「え?お嬢様、気付いてないんですか?バイオレットローズの色はお嬢様で、赤いリボンはエスタリオン様の色ですよ!しかも、薔薇1輪って事は“あなたしかいない”ですよ!!」
「───────なっ…………」
「しっかり者のお嬢様でも、そう言うところは……疎いんですね。それが、余計に良いのかもしれませんね。」
うんうん─と、何やら納得したように頷くココ。
私は、身体中が熱いやら寒いやらで、気を紛らわせる?為にメッセージカードを手に取る。
“今日のダンスは、俺以外とは踊らないで欲しい”
「ゔ──────っ」
そのメッセージカードには、更なる爆弾が仕込まれていた。
体に力が入らなくて、そのままテーブルに突っ伏した。
「お嬢様!?大丈夫ですか!?」
「ココ、大丈夫じゃないかも…。心臓が爆発しそうよ。」
突っ伏したまま答えた私の頭の上で、ココが一瞬焦ったような後、ふふっ─と、優しく笑ったのが分かった。
ー私、この後、リオと普通に対面……できるかしら?ー
それから、何とか意識?を持ち直し、王妃様が用意してくれたドレスを身に着け、パーティーの為の準備を進めた。
「髪型も、アップでと指定されていますので、アップにしますね。」
5人全員同じ装い。アイボリーカラーで、袖があるエンパイアドレス。首周りはレースになっている。アクセサリー類は一切無し。
「さぁ、後は、呼ばれる迄はこの部屋でゆっくりして下さい。」
と、ココが口にした時
コンコン
「──失礼致します。入室、宜しいでしょうか?」
と、ドアの外側から声が掛かった。
4時よりも少し早い時間だった。
卒業式には、卒業をする2年生だけが参列する為、1年生である妹は休みになる。
式には保護者も参列できるが、予想通り、エルダインからは父も義母も参列しない。唯一の予想外と言えば──
“卒業おめでとう。式には行けないが、代理としてカーソンに参列を頼んでいる。夜のパーティーには間に合うと思う”
と言う、父直筆の手紙が寮に居る私宛に届いた事だ。
ー流石に、パーティーに不参加とはいかないよねー
公式ではないが王太子が宣言される事。
第一王子の婚約者が決まる事。
候補の1人として、実の娘があがっているのだ。親としては…欠席すると言う事は、外聞も悪くなってしまう可能性があるからね。
兎に角、カーソンが卒業式に来てくれるのは、正直に嬉しい。パーティーの父に関しては…一緒に居る事は殆ど無いだろうから……大丈夫だろう。
それに──
ーリオが居るからねー
何て、絶対本人には……言えないけど!熱くなった顔を手でパタパタと扇ぐ。
「はぁ─私って…チョロいのかしら?」
「チョロく無いと思いますよ?お嬢様がエスタリオン様に恋をしただけですよ。」
「─なっ…こ……いって…………」
あまりのココのストレートパンチに、暫くの間は動く事ができなかった。
******
「お嬢様、本日は、ご卒業おめでとうございます。」
「カーソン、ありがとう。カーソンに見届けてもらえて、私も嬉しいわ。」
卒業式は、学園長の話から始まり、卒業生代表として第一王子が謝辞を贈った後、担任から卒業生の名を読み上げられ、1人1人に卒業証書が手渡された。
待ちに待った卒業式は、本当に、あっと言う間にアッサリ終わった。
父からの手紙の通り、カーソンが卒業式に参列してくれていた。
その式が終わると、卒業生達は各々夜のパーティーの支度の為に、邸へと帰って行く。
私は、このまま王城へと向かわなければならない。その為、カーソンと少し会話を交した後、私は迎えに来ていた王城からの馬車に乗り込んだ。
王城内に充てがわれた部屋迄は、他の候補者達と会う事もなくやって来た為、誰が何処の部屋に居るのかも分からない。
城付きの女官に案内されて入った部屋には、既にココが軽食を用意して待っていてくれた。
「お嬢様、卒業おめでとうございます。とは言え、これからが本番ですね。」
「ふふっ。ココ、ありがとう。そうね。確かに…これからが本番ね。」
「では、これからの本日の流れを説明させていただきますので、お嬢様は軽食を食べながらお聞き下さい。」
と、ココが予め城付きの女官から聞いていた、これからの流れを説明してくれた。
それは、以前から聞いていた通り、5時から入場が始まり、6時に開演。婚約者候補達の入場は、開演後、国王陛下の挨拶の後になる。
婚約者決定アイテムとなるティアラは、4時頃に王妃付きの侍女長が直接持って来ると言う事だった。
「それと、こちら、エスタリオン様からです。」
「リオから?」
赤いリボンの付いた、ラッピングされた筒状の箱を手渡される。
「私がこの部屋で待機している間に届きました。」
ー何だろう?と言うか、いつの間に?そんな時間あった?ー
色々と謎だなぁ─と思いながら受け取ると、リボンの所にはメッセージカードが挟まっていた。
取り敢えず、そのメッセージカードをテーブルの上に置き、リボンを解き、ラッピングされた紙を開き、筒状の蓋を開けると─
「バイオレット…ローズ…」
赤いリボンが括り付けられた、1輪のバイオレットローズが出て来た。
「綺麗ね───」
「───独占欲丸出しですね。」
「独占欲??」
「え?お嬢様、気付いてないんですか?バイオレットローズの色はお嬢様で、赤いリボンはエスタリオン様の色ですよ!しかも、薔薇1輪って事は“あなたしかいない”ですよ!!」
「───────なっ…………」
「しっかり者のお嬢様でも、そう言うところは……疎いんですね。それが、余計に良いのかもしれませんね。」
うんうん─と、何やら納得したように頷くココ。
私は、身体中が熱いやら寒いやらで、気を紛らわせる?為にメッセージカードを手に取る。
“今日のダンスは、俺以外とは踊らないで欲しい”
「ゔ──────っ」
そのメッセージカードには、更なる爆弾が仕込まれていた。
体に力が入らなくて、そのままテーブルに突っ伏した。
「お嬢様!?大丈夫ですか!?」
「ココ、大丈夫じゃないかも…。心臓が爆発しそうよ。」
突っ伏したまま答えた私の頭の上で、ココが一瞬焦ったような後、ふふっ─と、優しく笑ったのが分かった。
ー私、この後、リオと普通に対面……できるかしら?ー
それから、何とか意識?を持ち直し、王妃様が用意してくれたドレスを身に着け、パーティーの為の準備を進めた。
「髪型も、アップでと指定されていますので、アップにしますね。」
5人全員同じ装い。アイボリーカラーで、袖があるエンパイアドレス。首周りはレースになっている。アクセサリー類は一切無し。
「さぁ、後は、呼ばれる迄はこの部屋でゆっくりして下さい。」
と、ココが口にした時
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「──失礼致します。入室、宜しいでしょうか?」
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4時よりも少し早い時間だった。
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