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突撃者
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夕食会の一週間前─
「仕立てた服のサイズ調整をしたいから」と言う事で、外交のお手伝いの無い日に、学校が終わってから登城する事になった──ら………こうなるよね…。
学校が終わり、いざ王城へ─と、校門へと向かうと
「エヴィ、行こうか─」
と、(腹黒)爽やか笑顔の殿下が私を待っていた。
「えっと…殿下、私は歩いて───」
「はいはい。いつも通り“アシェルハイド”呼びで良いから。それで、エヴィは、私が、目的地が同じ王城である令嬢を歩かせて、私だけが馬車で行くような薄情者だと思っているのか?」
と、今度は少し悲しそうな顔をする殿下。そんな顔をされると…しかも、ここは校門。今はまだチラチラと人が居る程度だけど、そろそろ下校する生徒でいっぱいになるだろう。と言う事は、ここで、これ以上殿下と押し問答を繰り返していると、人目に付いてしまう上、何を噂されるかも分からない。
「薄情者などとは思ってません。有り難く……乗せていただきます。」
「では、どうぞ」
と、差し出された殿下の手を取って、私は馬車に乗り込んだ。
「何……あれは!何で……役立たずのくせに!」
そんな私達を、一番見られたくなかった人に見られていたとは、私はその時は全く気付いてはいなかった。
用意されていた服は、ドレスではなくワンピースだった。
まだデビューもしていない成人前の学生と言う事と、今回の相手がレイラーン国と言うおおらかな国でもあり、その国からのお願いで参加する事となった、私への配慮らしい。
ー居た堪れないー
と思ったのは内緒だ。
兎に角、そのワンピースはチューブトップタイプだけど、襟元まではレースがあり、肩からフワッとしたレースの袖がある。
しかも、私の好きな色で………サイズがピッタリだった。過去、私は身体のサイズを測ってもらったと言う記憶が…無い。“リンディと同じだから”と言う理由で。勿論、双子だから同じような体型だったから問題はなかったけど、それでも、少し私の方が痩せていたようで、全体的には服がボテッとした感じにはなっていた。まぁ、そんな事も気付いてはいなかっただろうけど。
今、試着している服は、怖い位に私の身体にピッタリと合っている。“何故ピッタリなの!?”と突っ込みたい気持ち半分、“私の為の服なんだ”と嬉しい気持ち半分だ。
「特に、直さなければいけないところはなさそうですね。」
と、仕立て屋さん?デザイナーさん?にもオッケーをもらい、「それでは、また夕食会当日、お着替えのお手伝いに来させていただきます。」と挨拶をしてから帰って行った。
「いえ、お手伝いは要りませんよ?」とは言えなかった。
そして、その人達と入れ替わるように殿下が部屋へと入って来た。
「服は大丈夫だったか?」
「殿下。あの、ワンピース、ありがとうございます。とっても綺麗で…サイズも問題ありませんでした。」
「なら良かった。それじゃあ、時間もあまりないから、今からすぐにいつもの庭園に行くぞ。」
ーあぁ、やっぱりお茶もするんですねー
一応予想もしていたし、あの庭園は好きなので断る理由は無いけど…何だろう…最近では、何かしらの圧を掛けられている様な…???と思いながら、いつものように殿下とお茶をしていると
『ようやく会えたわね!』
と、私が話せる三つ目の外国語である、ミュズエル王国の言葉が耳に飛び込んで来た。驚き振り返ると、編み上げられた金色の髪に、青色の瞳。可愛らしい顔をしているけど、他とは違うオーラを纏っている。
『母上……』
“ははうえ”
ーえ?“母上”って…王太子の母上って、“王妃”ではなかっただろうか??ー
『今はお茶をしているんです。用があるなら後で─』
『何を言っているの?アシェルに用なんてないわよ。アシェルが、なかなか会わせてくれないから来たのよ。それに、ここは私の庭なのだから、文句は言わせないわよ?』
「私の……庭??????」
王妃様の専用の庭!!!!
勢いよく立ち上がり、音が出る勢いで頭を下げた。
『王妃陛下、無礼を承知で……私は、ブルーム伯爵が娘の、エヴィと申します。挨拶もせず申し訳ありませんでした。その上、王妃陛下の庭とは知らずに──』
『あら、貴方が悪い訳ではないから謝らなくて良いのよ。悪いと言うか…狭量な心の持ち主のアシェルが悪いだけだから。“時間が勿体無いから”って、なかなか会わせてくれないから……』
『母上、もう会えたから良いでしょう?どうぞ、お戻りを。』
『だから、私はエヴィさんに会いに来たのよ!アシェルはおとなしくしてなさい!さあ、エヴィさん、私ともお茶をしましょうか!』
王妃様付きの侍女がササッと新しいお茶を用意した後、殿下と王妃様は、とっても爽やかな微笑みをたたえながら椅子に座り、それから3人で話をしてから寮に帰った。
正直、その時のお茶やお菓子の味は、よく分からなかった。
❋王妃は、元ミュズエル王国の王女で、現ミュズエル国王の妹になります❋
「仕立てた服のサイズ調整をしたいから」と言う事で、外交のお手伝いの無い日に、学校が終わってから登城する事になった──ら………こうなるよね…。
学校が終わり、いざ王城へ─と、校門へと向かうと
「エヴィ、行こうか─」
と、(腹黒)爽やか笑顔の殿下が私を待っていた。
「えっと…殿下、私は歩いて───」
「はいはい。いつも通り“アシェルハイド”呼びで良いから。それで、エヴィは、私が、目的地が同じ王城である令嬢を歩かせて、私だけが馬車で行くような薄情者だと思っているのか?」
と、今度は少し悲しそうな顔をする殿下。そんな顔をされると…しかも、ここは校門。今はまだチラチラと人が居る程度だけど、そろそろ下校する生徒でいっぱいになるだろう。と言う事は、ここで、これ以上殿下と押し問答を繰り返していると、人目に付いてしまう上、何を噂されるかも分からない。
「薄情者などとは思ってません。有り難く……乗せていただきます。」
「では、どうぞ」
と、差し出された殿下の手を取って、私は馬車に乗り込んだ。
「何……あれは!何で……役立たずのくせに!」
そんな私達を、一番見られたくなかった人に見られていたとは、私はその時は全く気付いてはいなかった。
用意されていた服は、ドレスではなくワンピースだった。
まだデビューもしていない成人前の学生と言う事と、今回の相手がレイラーン国と言うおおらかな国でもあり、その国からのお願いで参加する事となった、私への配慮らしい。
ー居た堪れないー
と思ったのは内緒だ。
兎に角、そのワンピースはチューブトップタイプだけど、襟元まではレースがあり、肩からフワッとしたレースの袖がある。
しかも、私の好きな色で………サイズがピッタリだった。過去、私は身体のサイズを測ってもらったと言う記憶が…無い。“リンディと同じだから”と言う理由で。勿論、双子だから同じような体型だったから問題はなかったけど、それでも、少し私の方が痩せていたようで、全体的には服がボテッとした感じにはなっていた。まぁ、そんな事も気付いてはいなかっただろうけど。
今、試着している服は、怖い位に私の身体にピッタリと合っている。“何故ピッタリなの!?”と突っ込みたい気持ち半分、“私の為の服なんだ”と嬉しい気持ち半分だ。
「特に、直さなければいけないところはなさそうですね。」
と、仕立て屋さん?デザイナーさん?にもオッケーをもらい、「それでは、また夕食会当日、お着替えのお手伝いに来させていただきます。」と挨拶をしてから帰って行った。
「いえ、お手伝いは要りませんよ?」とは言えなかった。
そして、その人達と入れ替わるように殿下が部屋へと入って来た。
「服は大丈夫だったか?」
「殿下。あの、ワンピース、ありがとうございます。とっても綺麗で…サイズも問題ありませんでした。」
「なら良かった。それじゃあ、時間もあまりないから、今からすぐにいつもの庭園に行くぞ。」
ーあぁ、やっぱりお茶もするんですねー
一応予想もしていたし、あの庭園は好きなので断る理由は無いけど…何だろう…最近では、何かしらの圧を掛けられている様な…???と思いながら、いつものように殿下とお茶をしていると
『ようやく会えたわね!』
と、私が話せる三つ目の外国語である、ミュズエル王国の言葉が耳に飛び込んで来た。驚き振り返ると、編み上げられた金色の髪に、青色の瞳。可愛らしい顔をしているけど、他とは違うオーラを纏っている。
『母上……』
“ははうえ”
ーえ?“母上”って…王太子の母上って、“王妃”ではなかっただろうか??ー
『今はお茶をしているんです。用があるなら後で─』
『何を言っているの?アシェルに用なんてないわよ。アシェルが、なかなか会わせてくれないから来たのよ。それに、ここは私の庭なのだから、文句は言わせないわよ?』
「私の……庭??????」
王妃様の専用の庭!!!!
勢いよく立ち上がり、音が出る勢いで頭を下げた。
『王妃陛下、無礼を承知で……私は、ブルーム伯爵が娘の、エヴィと申します。挨拶もせず申し訳ありませんでした。その上、王妃陛下の庭とは知らずに──』
『あら、貴方が悪い訳ではないから謝らなくて良いのよ。悪いと言うか…狭量な心の持ち主のアシェルが悪いだけだから。“時間が勿体無いから”って、なかなか会わせてくれないから……』
『母上、もう会えたから良いでしょう?どうぞ、お戻りを。』
『だから、私はエヴィさんに会いに来たのよ!アシェルはおとなしくしてなさい!さあ、エヴィさん、私ともお茶をしましょうか!』
王妃様付きの侍女がササッと新しいお茶を用意した後、殿下と王妃様は、とっても爽やかな微笑みをたたえながら椅子に座り、それから3人で話をしてから寮に帰った。
正直、その時のお茶やお菓子の味は、よく分からなかった。
❋王妃は、元ミュズエル王国の王女で、現ミュズエル国王の妹になります❋
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