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夢
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「ジゼル様!?」
それは、突然訪れた。
体が激痛に襲われ右肩から血が吹き出し、更に体内が痺れ出し、私はそのままその場所に倒れた。
これはきっと、ヴィンス様が受けたであろうモノだ。
「ジゼル様!しっかり……気を……しっかり…お持ち下さい!」
トリーが涙を流しながら、私に声を掛けながら必死に止血してくれている。チラリと、左手首に目をやる。ブレスレットをしていて見えないけど、きっと、模様はどんどん短くなっていっているだろう。
「ジゼル様!」
「…………」
ヴィンス様には、本当の事は言わないで─と、お願いしてあるから…大丈夫だろう。伝えないのは…自己満足な我儘だと…分かっている。
ーヴィンス様……が…気に病みませんように…ー
『───ジゼル!!』
最後に私の耳に届いたのは……プリュイの声だった。
******
そこは、闇ではなく────真っ青な空の様な空間だった。ひんやりと冷たいのに、何故かとても優しい感じのする空間だ。闇の中では、何かが私を追い掛けて来ていたが、今はそれもない。
「死んで…しまった?」
ーそうか─。魔女の呪いから…開放されたのかー
ストン─と腑に落ちた。
左手首には、もう模様が無い。魔女の呪いから開放された。もう、何かに怯える必要もない。ただ──
「最期に…一目だけでも……ヴィンス様に会いたかったなぁ………」
まともにお別れの挨拶もできなかった。
「───疲れたなぁ………」
その場にコロン─と寝転んで空の様な空間を見上げてから、目を瞑る。
ーこのままここで、寝ても…良いかなぁ?ー
『───寝ては駄目よ』
「ん?」
『──戻りなさい』
「戻る?何処に?」
『──貴方が、戻りたい処に』
「戻りたい…処……ヴィンス…さま…」
『──そう…“ヴィンス”と言うのね?なら…直ぐに戻りなさい。ごめんなさい────』
目を開けても、そこには誰も居なかった。ただただ、真っ青な空の様な空間が広がっているだけ。ただ、何処に行けば良いのか─だけは分かった。
ー誰か分からないけど、ありがとうございますー
心の中で呟いてから、私は行くべき処へと歩き出した。
******
「───」
次に目を開けるとそこは、最近見慣れていた竜国の私が過ごしていた部屋だった。窓に掛けられているカーテンの隙間からは、薄っすらと光が入り込んでいると言う事は、まだ起きるには早い早朝なのかもしれない。
起き上がろうと、両手を動かそうとして、左手が動かない事に気付き「まさか──」と恐る恐る左手首に視線を向けると
「────?」
私の手に誰かの手が重ねられていて、その手の上にプリュイが眠っていた。取り敢えず……プリュイを右手でツンツンと突付いた後、私の手に添えられた手の主に視線を向ける。そこには、私の寝ているベッドの横で、椅子に座ったままベッドに突っ伏している人が居た。サラサラとした黒髪を、一つに括っている。
ベッドに突っ伏している為、顔は見えない。でも、懐かしい─と思ってしまう程……ずっと会いたいと思っていた人だ。
ー夢……なのかしら?ー
何て、都合の良い…幸せな夢なんだろう。夢なら良いか─と思いながら、そのサラサラとした黒髪にそっと触れる。
ー私より…サラサラじゃない?ー
「────ふふっ」
思わず声が漏れる。
『ジゼル?』
「あ…プリュイ……おはよう?」
『ジゼル!!』
パチッと目を開けたプリュイが、そのまま勢い良く私の頬に飛び付いてきた。
ー可愛いけど……ちょっと…少しだけ…その体の鱗?ボコボコしてて、痛いからね?ー
なんて、口に出しては言わない。可愛いから。嬉しいから。
「ふふっ。本当に、最期に良い夢を見れたわ」
『ん?夢?じゃないよ?ジゼル。君は……助かったんだよ。勿論、そこで寝てるヴィンスもね。』
「────え?」
パタパタと小さな翼を動かして、私の左手首に移動するプリュイを視線で追い掛ける。すると、その左手首には──
「模様が………消えてる……」
最後に目にした時は、確かにまだ模様が残っていた。新しく創られた竜王様の鱗のブレスレットを着けていても、魔女の呪いを止める事はできなかったのだ。
「たす……かった?呪いは……」
『呪いも解けたよ。竜王が確認した。ジゼル……君は、もう自由だよ』
「────っ!」
“自由”
『ジゼル、君は、どこにだって行けるよ?他人と触れ合っても大丈夫だよ。』
「─っ!私にっ…─触るでない───っ!」
母を助けようとして拒まれた手。
ー解っている。私の為を思っての事だとー
「──あなたがここでできる事はないわ。戻って。」
妹に告げられた言葉。
ー解っている。私を護る為だった事だとー
それでも、寂しかった。辛かった。私と距離を取るよりも……皆が笑わなくなった事が……一番…辛かった。
「私……皆と一緒に居ても…良い?触れても、触れられても……良いの?」
『うん。ジゼルがしたいようにすれば良いよ。』
「プリュ────」
“プリュイ”と名を呼んで、私から初めて、プリュイに触れようとした時、左手を引かれて、そのまま温かい何かに──包まれた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
♪o(゚∀゚o)(o゚∀゚)o♪
それは、突然訪れた。
体が激痛に襲われ右肩から血が吹き出し、更に体内が痺れ出し、私はそのままその場所に倒れた。
これはきっと、ヴィンス様が受けたであろうモノだ。
「ジゼル様!しっかり……気を……しっかり…お持ち下さい!」
トリーが涙を流しながら、私に声を掛けながら必死に止血してくれている。チラリと、左手首に目をやる。ブレスレットをしていて見えないけど、きっと、模様はどんどん短くなっていっているだろう。
「ジゼル様!」
「…………」
ヴィンス様には、本当の事は言わないで─と、お願いしてあるから…大丈夫だろう。伝えないのは…自己満足な我儘だと…分かっている。
ーヴィンス様……が…気に病みませんように…ー
『───ジゼル!!』
最後に私の耳に届いたのは……プリュイの声だった。
******
そこは、闇ではなく────真っ青な空の様な空間だった。ひんやりと冷たいのに、何故かとても優しい感じのする空間だ。闇の中では、何かが私を追い掛けて来ていたが、今はそれもない。
「死んで…しまった?」
ーそうか─。魔女の呪いから…開放されたのかー
ストン─と腑に落ちた。
左手首には、もう模様が無い。魔女の呪いから開放された。もう、何かに怯える必要もない。ただ──
「最期に…一目だけでも……ヴィンス様に会いたかったなぁ………」
まともにお別れの挨拶もできなかった。
「───疲れたなぁ………」
その場にコロン─と寝転んで空の様な空間を見上げてから、目を瞑る。
ーこのままここで、寝ても…良いかなぁ?ー
『───寝ては駄目よ』
「ん?」
『──戻りなさい』
「戻る?何処に?」
『──貴方が、戻りたい処に』
「戻りたい…処……ヴィンス…さま…」
『──そう…“ヴィンス”と言うのね?なら…直ぐに戻りなさい。ごめんなさい────』
目を開けても、そこには誰も居なかった。ただただ、真っ青な空の様な空間が広がっているだけ。ただ、何処に行けば良いのか─だけは分かった。
ー誰か分からないけど、ありがとうございますー
心の中で呟いてから、私は行くべき処へと歩き出した。
******
「───」
次に目を開けるとそこは、最近見慣れていた竜国の私が過ごしていた部屋だった。窓に掛けられているカーテンの隙間からは、薄っすらと光が入り込んでいると言う事は、まだ起きるには早い早朝なのかもしれない。
起き上がろうと、両手を動かそうとして、左手が動かない事に気付き「まさか──」と恐る恐る左手首に視線を向けると
「────?」
私の手に誰かの手が重ねられていて、その手の上にプリュイが眠っていた。取り敢えず……プリュイを右手でツンツンと突付いた後、私の手に添えられた手の主に視線を向ける。そこには、私の寝ているベッドの横で、椅子に座ったままベッドに突っ伏している人が居た。サラサラとした黒髪を、一つに括っている。
ベッドに突っ伏している為、顔は見えない。でも、懐かしい─と思ってしまう程……ずっと会いたいと思っていた人だ。
ー夢……なのかしら?ー
何て、都合の良い…幸せな夢なんだろう。夢なら良いか─と思いながら、そのサラサラとした黒髪にそっと触れる。
ー私より…サラサラじゃない?ー
「────ふふっ」
思わず声が漏れる。
『ジゼル?』
「あ…プリュイ……おはよう?」
『ジゼル!!』
パチッと目を開けたプリュイが、そのまま勢い良く私の頬に飛び付いてきた。
ー可愛いけど……ちょっと…少しだけ…その体の鱗?ボコボコしてて、痛いからね?ー
なんて、口に出しては言わない。可愛いから。嬉しいから。
「ふふっ。本当に、最期に良い夢を見れたわ」
『ん?夢?じゃないよ?ジゼル。君は……助かったんだよ。勿論、そこで寝てるヴィンスもね。』
「────え?」
パタパタと小さな翼を動かして、私の左手首に移動するプリュイを視線で追い掛ける。すると、その左手首には──
「模様が………消えてる……」
最後に目にした時は、確かにまだ模様が残っていた。新しく創られた竜王様の鱗のブレスレットを着けていても、魔女の呪いを止める事はできなかったのだ。
「たす……かった?呪いは……」
『呪いも解けたよ。竜王が確認した。ジゼル……君は、もう自由だよ』
「────っ!」
“自由”
『ジゼル、君は、どこにだって行けるよ?他人と触れ合っても大丈夫だよ。』
「─っ!私にっ…─触るでない───っ!」
母を助けようとして拒まれた手。
ー解っている。私の為を思っての事だとー
「──あなたがここでできる事はないわ。戻って。」
妹に告げられた言葉。
ー解っている。私を護る為だった事だとー
それでも、寂しかった。辛かった。私と距離を取るよりも……皆が笑わなくなった事が……一番…辛かった。
「私……皆と一緒に居ても…良い?触れても、触れられても……良いの?」
『うん。ジゼルがしたいようにすれば良いよ。』
「プリュ────」
“プリュイ”と名を呼んで、私から初めて、プリュイに触れようとした時、左手を引かれて、そのまま温かい何かに──包まれた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
♪o(゚∀゚o)(o゚∀゚)o♪
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