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ズレ
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「キョウコは……弾き飛ばされた?」
「おそらく──。サヤカに押し退けられて、魔法陣から外れてしまったんだと思うわ。」
転移の魔法陣から外れてしまうと、本来転移する筈の場所には転移できず、違う場所に転移してしまう。
違う空間に飛ばされる。
そもそも、転移できない。
色々な仮説があった。自分自身がどうなるか分からない実験など、誰がするだろうか。しないだろう。
だから、魔法陣から外れたら─とは、今迄は仮説しかなかった。
「キョウコは魔法陣から外れて、あの4人とは飛ばされる時間軸がズレてしまったのね。」
あの4人と、2年も時間軸がズレてしまったのだ。
「ただ、ハルマが見たと言う“青い光”は、多分ウンディーネ様の光ね。」
召喚の為の魔法陣で溢れだした光は金色だった。
と言う事は、ウンディーネ様は、キョウコがこの世界に落ちて来る前に、キョウコに加護を与えたと言う事になる。
「ひょっとしたら、ウンディーネ様の加護があったから、時間軸がズレただけで済んだのかもしれないわね。」
どれもこれも、結局は仮説止まり。
取り敢えずは、キョウコが言っていた謎は解決?したと言っていいかもしれない。
「叔母上。キョウコがウンディーネ様に訊いたんです。“他の4人がどうなったか知りませんか?”って。そうしたら、ウンディーネ様は“知らない。たまたま落ちて来たルーナが気に入ったから加護を与えただけだ”と。」
「「……………」」
ー謎が…増えただけじゃない?ー
と、2人でため息を吐く。
きっと、私やレインがウンディーネ様に訊いたところで、真実を話してくれる事はないだろう。
一つ言える事は、ウンディーネ様は、自分が気に入ったキョウコを護ろうとした─と言う事ね。
ー何から護ろうとした?ー
キョウコに訊けば分かるかしら?
取り敢えず、ウンディーネ様に関しては今は置いといて─
「ハルマは、きっと、キョウコが見付かるまで、キョウコを探そうとすると思うわ。“探したけど見付からなかった”と言う事は簡単だけど…。この事は、キョウコにはちゃんと話した方が良いと思うし、国王陛下に報告するのは、それからでも良いと思っているの。」
キョウコに4人の事を話して、キョウコがどうしたいか─それから動けば良い…動いた方が良い。キョウコを何かから護ろうとしたウンディーネ様が、どう動くか分からない。分からないのであれば、愛し子であるキョウコの嫌がる事はしない。キョウコの意思を尊重すると言う事が再優先事項だろうと思う。
「兎に角、今日はもう無理だけど、明日にでもキョウコに話をしに行くわ。レインは……どうする?行きたいのなら、東の魔女から何かと理由をつけて第二騎士団長と王女殿下にお願いするけど。」
「お願いします。」
「ふふっ。レインは、本当にルーナ─キョウコの事が好きなのね?可愛いわね。」
「外堀を埋めに掛かっているのは……叔母上でしょう?」
「あら、あのハンカチ、嬉しくなかったの?」
「──嬉しくない事は全く無いですけど、俺はキョウコの心も欲しいので、ある程度逃げ道は……残しておいてあげて下さい。」
ーどうやら、レインは本気なようねー
2人にはどんな形になっても幸せになって欲しいけど…できれば、2人で幸せになって欲しい。
「それじゃあ、明日は朝の早い時間のうちにキョウコに会いに行きましょう。レイン、食事、ありがとう。私は今から国王陛下の所に行って来るわね。」
「はい。叔母上、宜しくお願いします。」
*翌日の早朝、アリスタ邸にて*
『アシーナさん!!!』
王城からこっそりと転移して来たアシーナさんとリュークレインさん。眠気も吹き飛んで一気に駆け出してアシーナさんに飛び付いた。
「──ここで、俺を選んでくれるようにならないと…だよなぁ……」
「──ふふっ。レイン、頑張ってね?」
『?』
アシーナさんとリュークレインさんの言っている意味は、いまいちよく分からなくて、私は小首を傾げた。
「キョウコ、朝の早い時間に急にでごめんなさいね。キョウコとの話が終われば、また急いで王城に戻らないといけないの。だから……直ぐに本題に入るわね。」
ここは、私が寝ていた部屋─アシーナさんに充てがわれている部屋。そこで、私は杏子として椅子に座り、テーブルを挟んだ向かい側にアシーナさんとリュークレインさんが座っている。アシーナさんがこの部屋全体に結界を張り直ぐ様話を切り出した。
「キョウコ……あなたが言っていた“他の4人”が…見付かったの。」
「─────え?」
ー他の4人ー
「見付かった─では正しく無いわね。キョウコ、これから話す事は極秘事項だから、一切の他言は認められない。その上で話を聞いてちょうだい。」
いつもの優しいアシーナさんではなく……東の魔女らしくピリッとした雰囲気を醸し出している。そんなアシーナさんを見て、私も姿勢を正した。
「おそらく──。サヤカに押し退けられて、魔法陣から外れてしまったんだと思うわ。」
転移の魔法陣から外れてしまうと、本来転移する筈の場所には転移できず、違う場所に転移してしまう。
違う空間に飛ばされる。
そもそも、転移できない。
色々な仮説があった。自分自身がどうなるか分からない実験など、誰がするだろうか。しないだろう。
だから、魔法陣から外れたら─とは、今迄は仮説しかなかった。
「キョウコは魔法陣から外れて、あの4人とは飛ばされる時間軸がズレてしまったのね。」
あの4人と、2年も時間軸がズレてしまったのだ。
「ただ、ハルマが見たと言う“青い光”は、多分ウンディーネ様の光ね。」
召喚の為の魔法陣で溢れだした光は金色だった。
と言う事は、ウンディーネ様は、キョウコがこの世界に落ちて来る前に、キョウコに加護を与えたと言う事になる。
「ひょっとしたら、ウンディーネ様の加護があったから、時間軸がズレただけで済んだのかもしれないわね。」
どれもこれも、結局は仮説止まり。
取り敢えずは、キョウコが言っていた謎は解決?したと言っていいかもしれない。
「叔母上。キョウコがウンディーネ様に訊いたんです。“他の4人がどうなったか知りませんか?”って。そうしたら、ウンディーネ様は“知らない。たまたま落ちて来たルーナが気に入ったから加護を与えただけだ”と。」
「「……………」」
ー謎が…増えただけじゃない?ー
と、2人でため息を吐く。
きっと、私やレインがウンディーネ様に訊いたところで、真実を話してくれる事はないだろう。
一つ言える事は、ウンディーネ様は、自分が気に入ったキョウコを護ろうとした─と言う事ね。
ー何から護ろうとした?ー
キョウコに訊けば分かるかしら?
取り敢えず、ウンディーネ様に関しては今は置いといて─
「ハルマは、きっと、キョウコが見付かるまで、キョウコを探そうとすると思うわ。“探したけど見付からなかった”と言う事は簡単だけど…。この事は、キョウコにはちゃんと話した方が良いと思うし、国王陛下に報告するのは、それからでも良いと思っているの。」
キョウコに4人の事を話して、キョウコがどうしたいか─それから動けば良い…動いた方が良い。キョウコを何かから護ろうとしたウンディーネ様が、どう動くか分からない。分からないのであれば、愛し子であるキョウコの嫌がる事はしない。キョウコの意思を尊重すると言う事が再優先事項だろうと思う。
「兎に角、今日はもう無理だけど、明日にでもキョウコに話をしに行くわ。レインは……どうする?行きたいのなら、東の魔女から何かと理由をつけて第二騎士団長と王女殿下にお願いするけど。」
「お願いします。」
「ふふっ。レインは、本当にルーナ─キョウコの事が好きなのね?可愛いわね。」
「外堀を埋めに掛かっているのは……叔母上でしょう?」
「あら、あのハンカチ、嬉しくなかったの?」
「──嬉しくない事は全く無いですけど、俺はキョウコの心も欲しいので、ある程度逃げ道は……残しておいてあげて下さい。」
ーどうやら、レインは本気なようねー
2人にはどんな形になっても幸せになって欲しいけど…できれば、2人で幸せになって欲しい。
「それじゃあ、明日は朝の早い時間のうちにキョウコに会いに行きましょう。レイン、食事、ありがとう。私は今から国王陛下の所に行って来るわね。」
「はい。叔母上、宜しくお願いします。」
*翌日の早朝、アリスタ邸にて*
『アシーナさん!!!』
王城からこっそりと転移して来たアシーナさんとリュークレインさん。眠気も吹き飛んで一気に駆け出してアシーナさんに飛び付いた。
「──ここで、俺を選んでくれるようにならないと…だよなぁ……」
「──ふふっ。レイン、頑張ってね?」
『?』
アシーナさんとリュークレインさんの言っている意味は、いまいちよく分からなくて、私は小首を傾げた。
「キョウコ、朝の早い時間に急にでごめんなさいね。キョウコとの話が終われば、また急いで王城に戻らないといけないの。だから……直ぐに本題に入るわね。」
ここは、私が寝ていた部屋─アシーナさんに充てがわれている部屋。そこで、私は杏子として椅子に座り、テーブルを挟んだ向かい側にアシーナさんとリュークレインさんが座っている。アシーナさんがこの部屋全体に結界を張り直ぐ様話を切り出した。
「キョウコ……あなたが言っていた“他の4人”が…見付かったの。」
「─────え?」
ー他の4人ー
「見付かった─では正しく無いわね。キョウコ、これから話す事は極秘事項だから、一切の他言は認められない。その上で話を聞いてちょうだい。」
いつもの優しいアシーナさんではなく……東の魔女らしくピリッとした雰囲気を醸し出している。そんなアシーナさんを見て、私も姿勢を正した。
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