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甥と姪
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アシーナさんが作ってくれた、認識阻害の魔法が組み込まれたピアスは、ポンコツな私でも問題なく発動させる事ができた。
アシーナさんの甥と姪が滞在している間は、私の魔法の訓練はできない為、2人が来る迄の間にも、私は必死に魔法の練習をした───けど、やっぱりイマイチうまくいかない。
ー異世界人って、チートになるんじゃなかったの?ー
まぁ、この世界の人間であっても、魔力を持ってない人も普通に居るらしいから……月属性で魔力持ち。水の精霊の加護があるだけで、一応チートの部類に入るのかなぁ?その時、耳がピクリッと反応する。
ーまだ遠く離れているけど、馬車の走る音が近付いてくるー
この東の森に馬車が来る事は殆ど無い─と、言う事は
『アシーナさんの甥と姪が来たんだ。』
私はアシーナさんの居る家へと駆け出した。
「叔母様、お久し振りです!」
「叔母上、今年もお世話になります。」
「2人とも、いらっしゃい。疲れたでしょう?いつもの部屋を用意しているから、今年もそこを使ってちょうだい。」
「「ありがとうございます。」」
アシーナさんの家は、ログハウスの3階建て。3階には屋根裏部屋のような部屋が二つだけ。2階には客室が二つとアシーナさんの自室と寝室とお風呂とリビングルームがあり、1階には執務室、応接室、サロン、食堂がある。
この甥と姪は、2階にある客室にそれぞれ泊まる事になっている。
普段は、月に何度か家に掃除をしてくれる人が来てはいるが、基本はアシーナさん1人で生活をしている。
その為、この甥と姪が来る時は、この2人と一緒にそれぞれの侍女や侍従と、料理人を2人連れて来ていた。
ーおかしい…姪と、甥って言わなかった?ー
私は、挨拶を交わしている様子を玄関扉の外からソッと覗いたまま首を傾げる。
アシーナさんと挨拶を交わしている姪と甥(特に甥の方)が、私が想像していたよりよも──大きいのだ。アシーナさんは40歳だから、その姪と甥は、私と同じ位か年下だと思っていた。
『きゅう──っ!?』
色々考えていると、急に後ろから首を鷲掴みにされて持ち上げられて、変な声が出た。
すると、その声にアシーナさん達が私の方へと振り返った。
「アシーナ様、こんな所に犬が入り込んでいましたよ。コレ、どうしますか?」
私は持ち上げられたままで、またまた無防備にお腹を曝け出している状態になっているから、後ろ足をバタバタとさせる。
「ハンス、離してあげてちょうだい。その子、私が拾って飼っている子なのよ。」
「そうでしたか。それは失礼致しました。」
そう言うと、ハンスと呼ばれた人は私をゆっくりと下におろしてくれたから、そのままアシーナさんの元へと歩いて行くと、今度は甥らしき人に持ち上げられ、ジーッと見られた。
「オス?メス?」
と、目の前にいる甥らしき人が首を傾げる。
ーセクハラ!じゃなくて、恥ずかしい!!ー
と、また足をバタつかせる。
「レイン、嫌がっているから離してあげてちょうだい。」
「え?あ、すまない。」
と、レインと呼ばれた人は、私に謝って頭を一撫でしてから下ろしてくれた。そのままアシーナさんの足元迄行って、アシーナさんの後ろに隠れた。
「叔母様、その子がルーナなの?」
「ええ、そうよ。一緒に過ごす事になるから、宜しく頼むわね。」
兎に角、到着したばかりだから─と言う事で、2人ともが勝手知ったると言う感じで、一度今日から寝泊まりする部屋へと下がって行った。
「今のうちに言っておくわね。」
と、誰も居なくなってから、今日来た人達の事を教えてくれた。
思っていたより大人だったと言えば、アシーナさんとお兄さんは10歳年が離れているらしく、お兄さんは現在50歳。20歳で結婚したと言う事だった。
甥レイン─リュークレイン=アリスタ、25歳。
第二騎士団の副団長を務めている近衛騎士。
姪リナ─リナティア=アリスタ、16歳。
現在学校に通っていて、今は長期休暇中。
なんと、この国の王太子の婚約者なんだそうだ。
『16歳で婚約者がいるとか……すごい世界ですね。』
16歳って日本で言ったら高校1年生だよ?18歳の私だって、婚約者どころか恋人が居た事もないよ?しかも、相手が王太子─次期国王って事だよね?
『ん?と言う事は……ひょっとして、かなりの身分って事ですか?』
「そうね、かなりの身分ね。2人とも公爵家の子供だからね。ちなみにレインは次期公爵よ。」
ー公爵って、確か、貴族の頂点?じゃなかった!?ー
「2人とも、叔母の目から見ても良い子達だから、仲良くしてくれると嬉しいわ。一週間の間、宜しくね。」
こうして、今日から少し賑やかな生活が始まった。
アシーナさんの甥と姪が滞在している間は、私の魔法の訓練はできない為、2人が来る迄の間にも、私は必死に魔法の練習をした───けど、やっぱりイマイチうまくいかない。
ー異世界人って、チートになるんじゃなかったの?ー
まぁ、この世界の人間であっても、魔力を持ってない人も普通に居るらしいから……月属性で魔力持ち。水の精霊の加護があるだけで、一応チートの部類に入るのかなぁ?その時、耳がピクリッと反応する。
ーまだ遠く離れているけど、馬車の走る音が近付いてくるー
この東の森に馬車が来る事は殆ど無い─と、言う事は
『アシーナさんの甥と姪が来たんだ。』
私はアシーナさんの居る家へと駆け出した。
「叔母様、お久し振りです!」
「叔母上、今年もお世話になります。」
「2人とも、いらっしゃい。疲れたでしょう?いつもの部屋を用意しているから、今年もそこを使ってちょうだい。」
「「ありがとうございます。」」
アシーナさんの家は、ログハウスの3階建て。3階には屋根裏部屋のような部屋が二つだけ。2階には客室が二つとアシーナさんの自室と寝室とお風呂とリビングルームがあり、1階には執務室、応接室、サロン、食堂がある。
この甥と姪は、2階にある客室にそれぞれ泊まる事になっている。
普段は、月に何度か家に掃除をしてくれる人が来てはいるが、基本はアシーナさん1人で生活をしている。
その為、この甥と姪が来る時は、この2人と一緒にそれぞれの侍女や侍従と、料理人を2人連れて来ていた。
ーおかしい…姪と、甥って言わなかった?ー
私は、挨拶を交わしている様子を玄関扉の外からソッと覗いたまま首を傾げる。
アシーナさんと挨拶を交わしている姪と甥(特に甥の方)が、私が想像していたよりよも──大きいのだ。アシーナさんは40歳だから、その姪と甥は、私と同じ位か年下だと思っていた。
『きゅう──っ!?』
色々考えていると、急に後ろから首を鷲掴みにされて持ち上げられて、変な声が出た。
すると、その声にアシーナさん達が私の方へと振り返った。
「アシーナ様、こんな所に犬が入り込んでいましたよ。コレ、どうしますか?」
私は持ち上げられたままで、またまた無防備にお腹を曝け出している状態になっているから、後ろ足をバタバタとさせる。
「ハンス、離してあげてちょうだい。その子、私が拾って飼っている子なのよ。」
「そうでしたか。それは失礼致しました。」
そう言うと、ハンスと呼ばれた人は私をゆっくりと下におろしてくれたから、そのままアシーナさんの元へと歩いて行くと、今度は甥らしき人に持ち上げられ、ジーッと見られた。
「オス?メス?」
と、目の前にいる甥らしき人が首を傾げる。
ーセクハラ!じゃなくて、恥ずかしい!!ー
と、また足をバタつかせる。
「レイン、嫌がっているから離してあげてちょうだい。」
「え?あ、すまない。」
と、レインと呼ばれた人は、私に謝って頭を一撫でしてから下ろしてくれた。そのままアシーナさんの足元迄行って、アシーナさんの後ろに隠れた。
「叔母様、その子がルーナなの?」
「ええ、そうよ。一緒に過ごす事になるから、宜しく頼むわね。」
兎に角、到着したばかりだから─と言う事で、2人ともが勝手知ったると言う感じで、一度今日から寝泊まりする部屋へと下がって行った。
「今のうちに言っておくわね。」
と、誰も居なくなってから、今日来た人達の事を教えてくれた。
思っていたより大人だったと言えば、アシーナさんとお兄さんは10歳年が離れているらしく、お兄さんは現在50歳。20歳で結婚したと言う事だった。
甥レイン─リュークレイン=アリスタ、25歳。
第二騎士団の副団長を務めている近衛騎士。
姪リナ─リナティア=アリスタ、16歳。
現在学校に通っていて、今は長期休暇中。
なんと、この国の王太子の婚約者なんだそうだ。
『16歳で婚約者がいるとか……すごい世界ですね。』
16歳って日本で言ったら高校1年生だよ?18歳の私だって、婚約者どころか恋人が居た事もないよ?しかも、相手が王太子─次期国王って事だよね?
『ん?と言う事は……ひょっとして、かなりの身分って事ですか?』
「そうね、かなりの身分ね。2人とも公爵家の子供だからね。ちなみにレインは次期公爵よ。」
ー公爵って、確か、貴族の頂点?じゃなかった!?ー
「2人とも、叔母の目から見ても良い子達だから、仲良くしてくれると嬉しいわ。一週間の間、宜しくね。」
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