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ー余話ー
ランバルト=ウォーランド
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白色のウェディングドレスを纏ったハル殿は、本当に綺麗だった。その横には、嬉しそうに幸せそうな顔をしたエディオルが居る。
ー本当に…本当に良かった!!!!ー
アレは本当に“氷の騎士”と呼ばれている男なのだろうか?
いや。アイツは今でも“氷”のままだ。
今のように優しく微笑むのはハル殿が居る時だけなのだ。あの笑顔は、ハル殿限定なのだ。
ー私には、その1ミリ位の優しささえ向けてはくれないがー
いや、これは自業自得だから仕方が無いだろう。“王太子だから”と、簡単に赦してくれて甘やかすような者であれば、そもそも私はエディオルを側近には選ばなかっただろうし。
兎に角、本当に本当に結婚できて良かった!ハル殿が元の世界に還ったと聞かされた時は、色んな意味で「終わった」と思った。
今日の結婚式も、本当に素晴らしいものだった。
バージンロードと言う路を、父親になったゼン殿と歩いている姿を見た時は、何故だが切なくなって泣いてしまった。
「ふふっ。何故ランバルト様が…」
と、横に居たミヤ様にソッとハンカチを手渡された。そんなミヤ様の目も、少し潤んでいたが、敢えて気付かないフリをした。その、潤んだ目がとても綺麗で、見続けていると抱き締めたくなってしまうから。
本心…かもしれないが、私の参列を嫌がる様に振る舞うエディオルをよそに、この結婚式でミヤ様をエスコートする約束を取り付けた。断られる事も覚悟をしていたが─
「はい。宜しくお願いしますね。」
と、ミヤ様は私に笑顔を向けて了承してくれた。
週に2回の修道院でのお茶の時間。私の事を名前呼びしてくれるようになってからは、特にミヤ様がよく笑顔を向けてくれるようになった。それに、ついつい国について熱く語ってしまっても、嫌がるような顔をせず、寧ろミヤ様の世界の事と比較したりして一緒に考えてくれる。決して甘い空気にはならないが、それはそれで心地の良い時間となっている。
「ミヤ様も、結婚する──としたら、やはり父親とバージンロードを歩きたいのか?」
「え?」
思わず、口からポロッと出てしまった。
「あぁ!すまない!変な意味では無いんだ。その、こちらではしない事だから…その…」
そんな事を訊いてどうする!?ミヤ様だって、父親と歩きたくても不可能なのに─と、焦っている私をキョトンとした顔で見つめた後
「別に…父親とではなくても、愛する人と歩ければ…問題無いと思いますよ?」
と、私を見つめたままに微笑むミヤ様。
その微笑みに、一気に胸が高鳴った。きっと、顔だって真っ赤になっているに違いない。
「ミヤ様……それは…その相手に…私がなれる可能性は…あるのだろうか?」
ー駄目だろう!ー
言ってから、自分に盛大に突っ込みを入れる。
何だ!?そのヘタレな質問は!!違うだろう!?自分で自分の言った言葉に泣きそうになる。言ってすぐ後悔をしている間も、ミヤ様は何も言わない。その沈黙が怖くて、私はミヤ様の顔を見る事ができず、ずっと足元に視線を落としている。
「──ふふっ…」
「ん?」
何故か、ミヤ様が笑ったから、気になり顔を上げると
「相変わらず…ヘタレ…なのね…ふふっ」
そこには、呆れる訳でも馬鹿にする訳でもなく、フワリと優しく笑っているミヤ様が居た。その笑顔から視線を外す事ができず、そのまま見つめていると
「私は…国の未来を真剣に考えているランバルト様を尊敬しています。恋愛感情があるのか?と訊かれると、まだよくは分からないけど…。ただ、ランバルト様となら、信頼し合えると思っています。そして、その信頼関係から…他の絆も築いていけるかもしれないな─なんて、思ったりしてますよ?」
「────え?」
私は、ピシリッと固まり、目の前で更に微笑みを深めるミヤ様を見つめる。
「ですから、今のは聞き流しておきますから、次は、もっとしっかりと…私に響く言葉でお願いしますね?」
ふふっ─と笑って、ミヤ様はそのままハル殿の元へと足を向けた。
「──え??」
そこから私の頭が機能する迄時間が掛かり、ようやく理解したのは…エディオル達と挨拶をした後だった。
*****
「何?また、ランバルトが気持ち悪いんだけど?」
ここは、ランバルトの執務室。クレイルが執務室にやって来て、入室してすぐに視界に入ったランバルトの顔を見て、その部屋に居たイリスに吐いたのがその言葉だった。(因みに、エディオルは1ヶ月の休暇中の出来事である)
「エディオルの結婚式後から、ずっとあの調子なんだよ。」
ニヤニヤしたかと思えば、薄っすらと顔を赤らめたり、そうかと思えば眉間に皺を寄せて何かを考えている─と、一人百面相を繰り返しているランバルト。
「まぁ…仕方無いかもね。何でも…ミヤ様に受け入れられたみたいだよ?」
「えっ!?そうなの!?」
「うん。後は、プロポーズ次第らしいよ。」
「プロポーズ…次第??」
不思議そうな顔をするクレイルに、イリスがミヤ様とのやり取りを説明する。
「なるほど。ランバルトは…本当に恋愛面では…ヘッポコだね。でもまぁ…これで、ようやくイリスと王女殿下の婚姻も進められるね。良かったな。」
「そうだね。ありがとう、クレイル。」
エディオルとハルの結婚式から3ヶ月。
王太子と聖女の婚約が、国中に告知されたのでした。
ー本当に…本当に良かった!!!!ー
アレは本当に“氷の騎士”と呼ばれている男なのだろうか?
いや。アイツは今でも“氷”のままだ。
今のように優しく微笑むのはハル殿が居る時だけなのだ。あの笑顔は、ハル殿限定なのだ。
ー私には、その1ミリ位の優しささえ向けてはくれないがー
いや、これは自業自得だから仕方が無いだろう。“王太子だから”と、簡単に赦してくれて甘やかすような者であれば、そもそも私はエディオルを側近には選ばなかっただろうし。
兎に角、本当に本当に結婚できて良かった!ハル殿が元の世界に還ったと聞かされた時は、色んな意味で「終わった」と思った。
今日の結婚式も、本当に素晴らしいものだった。
バージンロードと言う路を、父親になったゼン殿と歩いている姿を見た時は、何故だが切なくなって泣いてしまった。
「ふふっ。何故ランバルト様が…」
と、横に居たミヤ様にソッとハンカチを手渡された。そんなミヤ様の目も、少し潤んでいたが、敢えて気付かないフリをした。その、潤んだ目がとても綺麗で、見続けていると抱き締めたくなってしまうから。
本心…かもしれないが、私の参列を嫌がる様に振る舞うエディオルをよそに、この結婚式でミヤ様をエスコートする約束を取り付けた。断られる事も覚悟をしていたが─
「はい。宜しくお願いしますね。」
と、ミヤ様は私に笑顔を向けて了承してくれた。
週に2回の修道院でのお茶の時間。私の事を名前呼びしてくれるようになってからは、特にミヤ様がよく笑顔を向けてくれるようになった。それに、ついつい国について熱く語ってしまっても、嫌がるような顔をせず、寧ろミヤ様の世界の事と比較したりして一緒に考えてくれる。決して甘い空気にはならないが、それはそれで心地の良い時間となっている。
「ミヤ様も、結婚する──としたら、やはり父親とバージンロードを歩きたいのか?」
「え?」
思わず、口からポロッと出てしまった。
「あぁ!すまない!変な意味では無いんだ。その、こちらではしない事だから…その…」
そんな事を訊いてどうする!?ミヤ様だって、父親と歩きたくても不可能なのに─と、焦っている私をキョトンとした顔で見つめた後
「別に…父親とではなくても、愛する人と歩ければ…問題無いと思いますよ?」
と、私を見つめたままに微笑むミヤ様。
その微笑みに、一気に胸が高鳴った。きっと、顔だって真っ赤になっているに違いない。
「ミヤ様……それは…その相手に…私がなれる可能性は…あるのだろうか?」
ー駄目だろう!ー
言ってから、自分に盛大に突っ込みを入れる。
何だ!?そのヘタレな質問は!!違うだろう!?自分で自分の言った言葉に泣きそうになる。言ってすぐ後悔をしている間も、ミヤ様は何も言わない。その沈黙が怖くて、私はミヤ様の顔を見る事ができず、ずっと足元に視線を落としている。
「──ふふっ…」
「ん?」
何故か、ミヤ様が笑ったから、気になり顔を上げると
「相変わらず…ヘタレ…なのね…ふふっ」
そこには、呆れる訳でも馬鹿にする訳でもなく、フワリと優しく笑っているミヤ様が居た。その笑顔から視線を外す事ができず、そのまま見つめていると
「私は…国の未来を真剣に考えているランバルト様を尊敬しています。恋愛感情があるのか?と訊かれると、まだよくは分からないけど…。ただ、ランバルト様となら、信頼し合えると思っています。そして、その信頼関係から…他の絆も築いていけるかもしれないな─なんて、思ったりしてますよ?」
「────え?」
私は、ピシリッと固まり、目の前で更に微笑みを深めるミヤ様を見つめる。
「ですから、今のは聞き流しておきますから、次は、もっとしっかりと…私に響く言葉でお願いしますね?」
ふふっ─と笑って、ミヤ様はそのままハル殿の元へと足を向けた。
「──え??」
そこから私の頭が機能する迄時間が掛かり、ようやく理解したのは…エディオル達と挨拶をした後だった。
*****
「何?また、ランバルトが気持ち悪いんだけど?」
ここは、ランバルトの執務室。クレイルが執務室にやって来て、入室してすぐに視界に入ったランバルトの顔を見て、その部屋に居たイリスに吐いたのがその言葉だった。(因みに、エディオルは1ヶ月の休暇中の出来事である)
「エディオルの結婚式後から、ずっとあの調子なんだよ。」
ニヤニヤしたかと思えば、薄っすらと顔を赤らめたり、そうかと思えば眉間に皺を寄せて何かを考えている─と、一人百面相を繰り返しているランバルト。
「まぁ…仕方無いかもね。何でも…ミヤ様に受け入れられたみたいだよ?」
「えっ!?そうなの!?」
「うん。後は、プロポーズ次第らしいよ。」
「プロポーズ…次第??」
不思議そうな顔をするクレイルに、イリスがミヤ様とのやり取りを説明する。
「なるほど。ランバルトは…本当に恋愛面では…ヘッポコだね。でもまぁ…これで、ようやくイリスと王女殿下の婚姻も進められるね。良かったな。」
「そうだね。ありがとう、クレイル。」
エディオルとハルの結婚式から3ヶ月。
王太子と聖女の婚約が、国中に告知されたのでした。
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