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第三章ーリスと氷の騎士ー
女子トーク
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「それでは、この日に─。」
カルザインとパルヴァンに手紙を送ってから3日後。タイミングが良かったようで、6人(ルイス、ルーチェ、グレン、シルヴィア、エディオル、ハル)で会う事ができた。
そして、婚儀を挙げる日もアッサリと決まった。
こちらの世界では、最低1年から2年の準備期間を経て式を挙げるのが普通のようで、私達の式も1年後に─と言う事になった。
これからの流れの話が終わった後─
「ハル殿に最終確認をするが、今、蒼の邸に居る使用人についてだが…。先ずは、先日の侵入者の件では本当に申し訳無かった。」
と、ルイス様とルーチェ様に頭を下げて謝られた。
「あの、頭を上げて下さい!謝罪はあの後直ぐに受け取りましたし、ルイス様のせいではありませんから。私が…やらかしてしまったからで…」
そう。あの時は、カルザイン側もパルヴァン側もできる事をしてくれていたのだ。誰が責める事ができる?
「それでも─だ。謝罪を受け取ってくれて、ありがとう。それで、その使用人達をこのまま仕えさせるかどうか…ハル殿とエディはどう思っている?」
「えっと…私はこのままでお願いしたいと思っています。」
「ハルが良いと言うなら、俺はそれで構わない。」
「では─」
と、ルイス様がグレン様に視線を向ける。
「あぁ、私も…ゼンも、今の使用人で問題無いと思っている。その者達が、魔法での契約を交わしても良い─と言うなら、そのまま本採用でお願いしよう。」
“魔法での契約”
は、普通の書面、口頭の契約よりも強い契約になる為、嫌がる人も出て来るらしい。今の使用人の人達は本当に良い人達ばかりだから、このまま同じ人に居てもらいたいけど…無理強いはできないよね…。
「分かりました。この件に関しては、また後日改めて私が蒼の邸に行って使用人達に確認します。エディ、カルザイン側の使用人達とお前の予定を合わせておいてくれ。」
「分かりました。」
「よし、これで話は終わったな?ハル殿、ルーチェ、今からミヤ様の部屋へ行こうか。」
と、シルヴィア様が勢い良く立ち上がった。
「ミヤさんの部屋に…ですか?」
ミヤさんに何かあったのかな?と思っていると
「結婚に向けての女子会だな。ハル殿の世界とこの世界での結婚式には違いがあるだろうから、色々話をした方が良いだろう─と、ミヤ様に言われたんだ。」
「確かにそうですね!色々な準備もありますしね!」
と、こちらもノリノリのルーチェ様と共に、3人でミヤさんの部屋へと向かった。
その3人がこの部屋から出て行った後
「あー…エディオル殿…何と言うか、すまないが…」
と、珍しく少し歯切れの悪いグレンに
「分かっています。ゼン殿に…付き合えば良いんですね?」
「すまないな。ここ最近は機嫌が良かったんだがな。その分、ハル殿の結婚が現実味を帯びて…余計にショックを受けたようだ。アレは、本当に娘を取られる親の心境になっているようだ。」
グレンは苦笑する。
「そうですね。でも、きっと、ハルも…ゼン殿を父親の様に思っていると思います。ハルがそう思っているなら、俺はゼン殿──ハルの父親にとことん付き合いますよ。」
「くくっ─そうか。それなら良いが…何か困ったらシルヴィアに言うと良い。最近、ゼンはシルヴィアの言う事には人一倍敏感になっているからな。くくっ─」
グレンは今度は“悪役宜しく”の様な顔で笑った。
そんなグレンを、ルイスとエディオルは不思議そうな顔をして見つめた。
*****
「初夜で…ピラピラ?スケスケ??」
「私達の世代では、確かに生地は薄かったが、スケスケではなかったな。」
ミヤさんの部屋に行くと、もうすでに4人分のお茶の用意がされていて、席に座ったのと同時に…
「初夜にピラピラスケスケが、私達の世界との一番違うところじゃないかしら?」
のミヤさんの一言から、初夜の話が始まったのだ。
「え?それって、絶対着なきゃいけないんですか?拒否権は無いんですか?」
「絶対では無いけど、どうやら、そのピラピラのスケスケは、男にとっては夢と浪漫が詰まっているらしいわよ。ウチの息子─エディの兄の嫁は勿論の事、周りのご夫人からも聞く限りでは、殆どのお嫁さんが初夜では着ているわね。」
「それに、最近では、夫が着て欲しいナイトドレスを買って来て、ソレを着てもらうと言う事もよくあるそうだ。」
ルーチェ様とシルヴィア様が楽しそうに言うのを見ると、この世界ではそれが当たり前なんだ─と言う事が分かる。分かるけど─
「無理です!ハードルが高過ぎます!」
「だよね。私達の世界では…“どんなプレイなの!?”レベルだものね…私だって無理だわ…。」
私は顔を真っ赤にして、ミヤさんは遠い目をしながら言う。
「別に良いんじゃないかしら?」
「え!?良いんですか!?」
「だって、エディはハルさんにベタ惚れだから、ナイトドレス一つ如きで嫌いになる事も残念がる事もないと思うから。もう、結婚できただけで有頂天になってそうだし…それに…」
と、ルーチェ様は言葉を一旦区切り、ニコリと笑ってシルヴィア様と視線を合わせる。そのシルヴィア様はニヤリと笑う。
「それにね、どうせ、ナイトドレスなんてすぐに脱がされるからね。」
「─────っ!!??」
私は声にならない声で悲鳴を上げた。
「ハルには少し、刺激が強かったわね?」
と、ミヤさんは苦笑した。
カルザインとパルヴァンに手紙を送ってから3日後。タイミングが良かったようで、6人(ルイス、ルーチェ、グレン、シルヴィア、エディオル、ハル)で会う事ができた。
そして、婚儀を挙げる日もアッサリと決まった。
こちらの世界では、最低1年から2年の準備期間を経て式を挙げるのが普通のようで、私達の式も1年後に─と言う事になった。
これからの流れの話が終わった後─
「ハル殿に最終確認をするが、今、蒼の邸に居る使用人についてだが…。先ずは、先日の侵入者の件では本当に申し訳無かった。」
と、ルイス様とルーチェ様に頭を下げて謝られた。
「あの、頭を上げて下さい!謝罪はあの後直ぐに受け取りましたし、ルイス様のせいではありませんから。私が…やらかしてしまったからで…」
そう。あの時は、カルザイン側もパルヴァン側もできる事をしてくれていたのだ。誰が責める事ができる?
「それでも─だ。謝罪を受け取ってくれて、ありがとう。それで、その使用人達をこのまま仕えさせるかどうか…ハル殿とエディはどう思っている?」
「えっと…私はこのままでお願いしたいと思っています。」
「ハルが良いと言うなら、俺はそれで構わない。」
「では─」
と、ルイス様がグレン様に視線を向ける。
「あぁ、私も…ゼンも、今の使用人で問題無いと思っている。その者達が、魔法での契約を交わしても良い─と言うなら、そのまま本採用でお願いしよう。」
“魔法での契約”
は、普通の書面、口頭の契約よりも強い契約になる為、嫌がる人も出て来るらしい。今の使用人の人達は本当に良い人達ばかりだから、このまま同じ人に居てもらいたいけど…無理強いはできないよね…。
「分かりました。この件に関しては、また後日改めて私が蒼の邸に行って使用人達に確認します。エディ、カルザイン側の使用人達とお前の予定を合わせておいてくれ。」
「分かりました。」
「よし、これで話は終わったな?ハル殿、ルーチェ、今からミヤ様の部屋へ行こうか。」
と、シルヴィア様が勢い良く立ち上がった。
「ミヤさんの部屋に…ですか?」
ミヤさんに何かあったのかな?と思っていると
「結婚に向けての女子会だな。ハル殿の世界とこの世界での結婚式には違いがあるだろうから、色々話をした方が良いだろう─と、ミヤ様に言われたんだ。」
「確かにそうですね!色々な準備もありますしね!」
と、こちらもノリノリのルーチェ様と共に、3人でミヤさんの部屋へと向かった。
その3人がこの部屋から出て行った後
「あー…エディオル殿…何と言うか、すまないが…」
と、珍しく少し歯切れの悪いグレンに
「分かっています。ゼン殿に…付き合えば良いんですね?」
「すまないな。ここ最近は機嫌が良かったんだがな。その分、ハル殿の結婚が現実味を帯びて…余計にショックを受けたようだ。アレは、本当に娘を取られる親の心境になっているようだ。」
グレンは苦笑する。
「そうですね。でも、きっと、ハルも…ゼン殿を父親の様に思っていると思います。ハルがそう思っているなら、俺はゼン殿──ハルの父親にとことん付き合いますよ。」
「くくっ─そうか。それなら良いが…何か困ったらシルヴィアに言うと良い。最近、ゼンはシルヴィアの言う事には人一倍敏感になっているからな。くくっ─」
グレンは今度は“悪役宜しく”の様な顔で笑った。
そんなグレンを、ルイスとエディオルは不思議そうな顔をして見つめた。
*****
「初夜で…ピラピラ?スケスケ??」
「私達の世代では、確かに生地は薄かったが、スケスケではなかったな。」
ミヤさんの部屋に行くと、もうすでに4人分のお茶の用意がされていて、席に座ったのと同時に…
「初夜にピラピラスケスケが、私達の世界との一番違うところじゃないかしら?」
のミヤさんの一言から、初夜の話が始まったのだ。
「え?それって、絶対着なきゃいけないんですか?拒否権は無いんですか?」
「絶対では無いけど、どうやら、そのピラピラのスケスケは、男にとっては夢と浪漫が詰まっているらしいわよ。ウチの息子─エディの兄の嫁は勿論の事、周りのご夫人からも聞く限りでは、殆どのお嫁さんが初夜では着ているわね。」
「それに、最近では、夫が着て欲しいナイトドレスを買って来て、ソレを着てもらうと言う事もよくあるそうだ。」
ルーチェ様とシルヴィア様が楽しそうに言うのを見ると、この世界ではそれが当たり前なんだ─と言う事が分かる。分かるけど─
「無理です!ハードルが高過ぎます!」
「だよね。私達の世界では…“どんなプレイなの!?”レベルだものね…私だって無理だわ…。」
私は顔を真っ赤にして、ミヤさんは遠い目をしながら言う。
「別に良いんじゃないかしら?」
「え!?良いんですか!?」
「だって、エディはハルさんにベタ惚れだから、ナイトドレス一つ如きで嫌いになる事も残念がる事もないと思うから。もう、結婚できただけで有頂天になってそうだし…それに…」
と、ルーチェ様は言葉を一旦区切り、ニコリと笑ってシルヴィア様と視線を合わせる。そのシルヴィア様はニヤリと笑う。
「それにね、どうせ、ナイトドレスなんてすぐに脱がされるからね。」
「─────っ!!??」
私は声にならない声で悲鳴を上げた。
「ハルには少し、刺激が強かったわね?」
と、ミヤさんは苦笑した。
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