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第二章ー同棲ー

黒のモフモフ

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『ネージュ、お疲れ様。それと…ありがとう。』

ノアが嬉しそうに目を細めて、ネージュの顔に鼻をスリスリと擦り寄せる。
そんな2匹の間─ネージュのお腹の上に、チョコンと寝転んでいるチワワサイズの黒色のモフモフが

『くわぁ─』

と、小さな欠伸を繰り返している。

「くっ─可愛いっっ!!─って、ミヤさん!!起きて下さい!!」

「─ん?あら?私…寝てた?ん?ハル、どうし─」

「ネージュの子供が生まれました!」

「……は?生まれた?って、何が?」

『くわぁ─』

「え?黒の…モフモフ?は?」

珍しく、ミヤさんが固まった。

ーはい。その気持ち、よく分かりますー

「ハル。私、一体何時間ここで寝てしまってたの!?」

「えっと…2、30分位ですね。その間と言うか…本当に一瞬で生まれました。多分…5分も掛かっていないと思います。」

「え?5分?そう…なのね。えっと…黒のモフモフなのね。」

「はい。黒のモフモフですね。」

魔獣の出産には本当に驚いたと言うか…うん。凄くビックリしたけど、生まれて来た子供は─

「「めちゃくちゃ可愛いわ(ですね)!!」」

その子供は、今はネージュとノアに鼻先でスリスリされたりペロペロと舐められたりと、なされるがままにコロコロとしている。見た感じでは、魔力が強過ぎたり大き過ぎると言う事はなさそうだ。
ミヤさんとエディオルさんと3人で、少し離れた位置から、ほのぼのとした3匹の様子を眺めていた。

『主?主は…この子を抱いてはくれぬのか?』

暫くすると、ネージュがコテンと首を傾げながら問い掛けて来た。

「くぅ…魅力的なお誘い!!ネージュ、私は我慢してるの!」

『我慢?』

「だって、生まれたばかり子に、親以外の匂い?がつくのは良くないって。だから我慢してるの!」

勿論、今すぐにでもモフモフしたいです!でも、我慢しているんです!!と、グッと握り拳を作って耐えている私を、ネージュとノアがキョトンとした顔で見ている。

『主?それは、“獣”の事であろう?そもそも、主と我は名を交わし魔力も交している。匂いなど…何の問題もないぞ?寧ろ、この子は我は勿論の事、主の魔力も取り込んでいる故に…主に抱かれても喜ぶしかないと思うぞ?』

「ネージュ!それ、もっと早く知りたかった!ノア、私が抱っこしても大丈夫!?」

『勿論です。きっと、喜びますよ。』

ネージュのお腹の上でコロコロしていた子を、ノアが口で咥えて私のところまで運んでくれて、私の腕の中に乗せてくれた。

『?』

私の腕の中からじーっと私を見上げて来る。

『くわっ』

と一鳴きした後、尻尾がユラユラと揺れて私の体にスリスリと顔を擦り寄せて来た。

「───っ!!可愛い!!」

『くわぁ─』

思わずムギュと抱き締めると、嬉しそうな声で鳴いてペロリと頬を舐められた。

ーえ?何?コレはご褒美ですか!?ー

「どうしよう。離せる気がしない…って、あれ?魔力…吸われてる?」

全く問題無い程だけど、私の魔力が黒のモフモフに流れていくのが分かる。

『魔獣の子は、生まれてから暫くの間は、親から魔力をもらって育つんです。基本は、父親か母親だけなのですが…。胎内に居るうちからハル様の魔力も取り込んでいたので、ハル様の魔力とも馴染んでいるんでしょうね。』

『ふむ。主の魔力は、優しくて温かい故、その子も主の魔力が好きなのかもしれぬな。』

そう言って、やっぱりネージュは嬉しそうに笑って尻尾をフリフリさせている。

「それ…もう、その子が擬人化する未来しか視えないのは…私だけかしら?」

「……ミヤ様だけでは…ないと思いますよ?ハルの魔力を取り込んでるのなら…十分に可能性はあるかと…。」

「…本当に、ハルと居ると…退屈しないわね?」

ミヤさんとエディオルさんが、遠い目で笑って話している。

ー聞こえてますよ!?ー

『くわぁ─』

さっきよりも少し大きい欠伸をした後、黒のモフモフが、私の腕の中で目を閉じてスースーと寝息を立てだした。

「はぅ──っ。可愛いしかないよね!?どうしよう!?」

「ハル、落ち着こうか。取り敢えず…ゆっくりネージュ殿のお腹の上に寝かせようか。」

「そうですね。」

エディオルさんに苦笑?しながら言われてしまいました。
そっと、起きないようにネージュのお腹の上に寝かせる。

「ふふっ─。本当に、想像してた以上に可愛いね。ネージュ、お疲れ様。ここはノアに任せて私達は邸に戻るから、ゆっくり休んでね。何かあったら、いつでも呼んでくれて良いからね?」

『主、ありがとう。』

ネージュの頭をワシャワシャと撫でてから、後の事はノアに任せて邸へと戻った。










邸へと戻って来て少しだけ3人で話をした後

「折角エディオルさんが早く帰って来たんだもの、私ももう帰るわ。お邪魔虫─にはなりたくないからね。」

と、ミヤさんは笑いながら帰って行きました。

なので─





はい。今、“時間があるから、お茶でもしようか”と、久し振りにエディオルさんの部屋へと誘導されて─

また、エディオルさんの足の間に座らされ、後ろから抱きつかれています。





久し振りで…心臓が痛いです。





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