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第二章ー同棲ー
安心する温もり
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『遅くなって…すみません───』
今迄聞いたことのないような、低くて冷たい、それでも耳にしっかりと届く声が響いた──
一拍置いて、その声の主がノアだと分かった。
『ネージュ。私が分かる?もう大丈夫だから。ネージュ。』
さっきとは違う、優しい声で、ノアがネージュの瞳を窺い見る。
『ネージュ』
『──ノア…』
ネージュの体から、フッと力が抜けたようで、その場にゆっくりと体を横たわらせて、魔力の流れを落ち着かせようとしだした。
ー良かった。これで取り敢えずは一安心だー
「─う゛っ───」
私を担いでいる男が、気が緩んだ私にグッと力を入れて走り出そうとした時
「あああああああああーっ」
と言う叫び声と共に、私の体がズルリと落下する。受けるであろう衝撃に目をギュッと瞑る。
ドサッ──
「っ──????痛く…ない?」
フワリと優しい香りがして、目を開けると
「ハル、大丈夫…じゃないな…」
優しい青い瞳だったのは一瞬で、私の頬をチラリと見て、その青い色が更に濃い青になる。
私の頬にソッと右手で優しく触れてから、私を左腕で抱き締める。
「もう少しだけ…我慢してくれ。」
そう言って、私を左腕だけで抱き上げる。その優しい力と香りに安心して、私もギュッと首にしがみついた。
「そう。そのまま…俺に掴まってて。直ぐに…終わるから。」
その声に、更に安心する。
「あああああっ…腕…が…っ」
「左腕は残念だったな。バランス良く…右腕も…いっとくか?」
「ひぃぃ──っ止めろ!止めてくれ!!」
「何故…お前の言う事を…聞かなければいけないんだ?あぁ、そうか。利き腕は…止めておこうか?代わりに…足は要らないな。これから先の人生、お前にはもう、自由はないから。」
酷く物騒な事を耳にしている筈なのに、その声に安心している自分が居る。この温もりに─もう大丈夫なんだ─と、目を閉じていて良いんだ─と。
「それに…俺が何もしなくても…次から次へと来るから、覚悟しておいた方が良いぞ?」
「なっ…何を…」
「おやおや…。私は…ハル様が病気だ─としか聞いていなかったのですが…。」
ディにしがみついたままで顔は見えないけど、この声とゾワゾワする感じは─ゼンさんだ。背中がゾワゾワするのに、それさえも安心する。
「エディオル殿。これ、頼まれていたポーションです。部屋に戻って…ハル様に飲ませていただけますか?後の事は────俺に任せてくれるよな?」
「あぁ、勿論、ゼン殿に任せますよ。今の俺は、ハルが第一優先なので…。ポーション、ありがとうございます。後は…宜しくお願いします。」
そう言うと、ディは邸の方へとゆっくりと歩きだした。
「ハル、遅くなって…すまない。もう大丈夫だからな。部屋に戻ろう。」
「────っ」
ギュッと、ディの首にしがみついたまま、私はコクコクと頷いた。
それから、ゼンさんが持って来てくれたポーションを飲んでから、私の部屋のベッドに寝かされた。
「ネージュ殿の事は、今はノアも居るし、リュウにも連絡をとるから。コトネは、今は取り敢えず、ゆっくり寝る事。分かったか?」
「分かり…ました。ディは…ここに…側に…居てくれる?」
ディの服をギュッと握る私の手を、優しく包み込んでくれて
「何処にも行かない。ずっとここに居るから。おやすみ、コトネ。」
「ありがとう。」
その声と温もりに安心して、私は目を閉じた。
あんなに重かった体が、少しずつ軽くなる。それと同時に、心も温かくなる。背中にフワフワと優しい温もりを感じる。その温もりが、体全体を包み込んでいく。
ーあったかいなぁー
フワフワとした感覚のまま、意識が少しずつ浮上していく。
目を開けると、私の手を握っていてくれた筈のエディオルさんが居なくなっていた。それが、とても心細く感じて
「ディ?」
と声を出すと
「コトネ?起きた?」
と、何故か寝ている後ろから声がした。
「え?」
ソロソロと寝たままの姿勢で後ろを振り返ると
「熱は下がったようだが、体調はどうだ?」
片肘をついて、私の背中越しに横になっているエディオルさんが居た。
「え??」
ーお…同じ…ベッドで…寝てる!?ー
いつもなら、変な声でも出てビックリして慌てて逃げて─となるんだけど…うん。ビックリはしている。逃げたくも…なっているんだけど…それよりも…
「…ディだ…」
考えるよりも先に体をモゾモゾと動かして、エディオルさんの方に体ごと向けて…エディオルさんにしがみついた。
「ディが…居た。」
エディオルさんは、体をビクッとさせた後
「…何処にも行かない─と言っただろう?」
と言って、私をギュッと抱き締めてくれた。
「すみませんでした…」
またまたやりました。
あれから、エディオルさんの温もりに安心して…二度寝しました。ストーンと寝落ちしました。はい。しがみついたまま寝てました。
ー恥ずかし過ぎる!!!ー
今は、私はまだベッドの住人ヨロシク!で、ベッドに上に座っているけど、エディオルさんはベッドの横に椅子を持って来て、そこに座っている。
「謝る必要はないから。寧ろ、役得だったから。」
「や…役得って…」
「まぁ、兎に角、コトネも落ち着いたようだから、ここで朝食を食べながら、今回の話をしておこうか?」
「そう…ですね。宜しくお願いします。」
と、そのタイミングで、私の部屋に2人分の朝食が運び込まれた。
今迄聞いたことのないような、低くて冷たい、それでも耳にしっかりと届く声が響いた──
一拍置いて、その声の主がノアだと分かった。
『ネージュ。私が分かる?もう大丈夫だから。ネージュ。』
さっきとは違う、優しい声で、ノアがネージュの瞳を窺い見る。
『ネージュ』
『──ノア…』
ネージュの体から、フッと力が抜けたようで、その場にゆっくりと体を横たわらせて、魔力の流れを落ち着かせようとしだした。
ー良かった。これで取り敢えずは一安心だー
「─う゛っ───」
私を担いでいる男が、気が緩んだ私にグッと力を入れて走り出そうとした時
「あああああああああーっ」
と言う叫び声と共に、私の体がズルリと落下する。受けるであろう衝撃に目をギュッと瞑る。
ドサッ──
「っ──????痛く…ない?」
フワリと優しい香りがして、目を開けると
「ハル、大丈夫…じゃないな…」
優しい青い瞳だったのは一瞬で、私の頬をチラリと見て、その青い色が更に濃い青になる。
私の頬にソッと右手で優しく触れてから、私を左腕で抱き締める。
「もう少しだけ…我慢してくれ。」
そう言って、私を左腕だけで抱き上げる。その優しい力と香りに安心して、私もギュッと首にしがみついた。
「そう。そのまま…俺に掴まってて。直ぐに…終わるから。」
その声に、更に安心する。
「あああああっ…腕…が…っ」
「左腕は残念だったな。バランス良く…右腕も…いっとくか?」
「ひぃぃ──っ止めろ!止めてくれ!!」
「何故…お前の言う事を…聞かなければいけないんだ?あぁ、そうか。利き腕は…止めておこうか?代わりに…足は要らないな。これから先の人生、お前にはもう、自由はないから。」
酷く物騒な事を耳にしている筈なのに、その声に安心している自分が居る。この温もりに─もう大丈夫なんだ─と、目を閉じていて良いんだ─と。
「それに…俺が何もしなくても…次から次へと来るから、覚悟しておいた方が良いぞ?」
「なっ…何を…」
「おやおや…。私は…ハル様が病気だ─としか聞いていなかったのですが…。」
ディにしがみついたままで顔は見えないけど、この声とゾワゾワする感じは─ゼンさんだ。背中がゾワゾワするのに、それさえも安心する。
「エディオル殿。これ、頼まれていたポーションです。部屋に戻って…ハル様に飲ませていただけますか?後の事は────俺に任せてくれるよな?」
「あぁ、勿論、ゼン殿に任せますよ。今の俺は、ハルが第一優先なので…。ポーション、ありがとうございます。後は…宜しくお願いします。」
そう言うと、ディは邸の方へとゆっくりと歩きだした。
「ハル、遅くなって…すまない。もう大丈夫だからな。部屋に戻ろう。」
「────っ」
ギュッと、ディの首にしがみついたまま、私はコクコクと頷いた。
それから、ゼンさんが持って来てくれたポーションを飲んでから、私の部屋のベッドに寝かされた。
「ネージュ殿の事は、今はノアも居るし、リュウにも連絡をとるから。コトネは、今は取り敢えず、ゆっくり寝る事。分かったか?」
「分かり…ました。ディは…ここに…側に…居てくれる?」
ディの服をギュッと握る私の手を、優しく包み込んでくれて
「何処にも行かない。ずっとここに居るから。おやすみ、コトネ。」
「ありがとう。」
その声と温もりに安心して、私は目を閉じた。
あんなに重かった体が、少しずつ軽くなる。それと同時に、心も温かくなる。背中にフワフワと優しい温もりを感じる。その温もりが、体全体を包み込んでいく。
ーあったかいなぁー
フワフワとした感覚のまま、意識が少しずつ浮上していく。
目を開けると、私の手を握っていてくれた筈のエディオルさんが居なくなっていた。それが、とても心細く感じて
「ディ?」
と声を出すと
「コトネ?起きた?」
と、何故か寝ている後ろから声がした。
「え?」
ソロソロと寝たままの姿勢で後ろを振り返ると
「熱は下がったようだが、体調はどうだ?」
片肘をついて、私の背中越しに横になっているエディオルさんが居た。
「え??」
ーお…同じ…ベッドで…寝てる!?ー
いつもなら、変な声でも出てビックリして慌てて逃げて─となるんだけど…うん。ビックリはしている。逃げたくも…なっているんだけど…それよりも…
「…ディだ…」
考えるよりも先に体をモゾモゾと動かして、エディオルさんの方に体ごと向けて…エディオルさんにしがみついた。
「ディが…居た。」
エディオルさんは、体をビクッとさせた後
「…何処にも行かない─と言っただろう?」
と言って、私をギュッと抱き締めてくれた。
「すみませんでした…」
またまたやりました。
あれから、エディオルさんの温もりに安心して…二度寝しました。ストーンと寝落ちしました。はい。しがみついたまま寝てました。
ー恥ずかし過ぎる!!!ー
今は、私はまだベッドの住人ヨロシク!で、ベッドに上に座っているけど、エディオルさんはベッドの横に椅子を持って来て、そこに座っている。
「謝る必要はないから。寧ろ、役得だったから。」
「や…役得って…」
「まぁ、兎に角、コトネも落ち着いたようだから、ここで朝食を食べながら、今回の話をしておこうか?」
「そう…ですね。宜しくお願いします。」
と、そのタイミングで、私の部屋に2人分の朝食が運び込まれた。
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