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第二章ー同棲ー

悠兄さん

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久し振りに、リュウから王都のパルヴァン邸に行くから─と呼び出され、今日もパルヴァン邸にやって来ました。

やっぱり、ゼンさんの顔を見ると落ち着きます。

今日も、私の目の前には、私の好きなお菓子がズラリと並んでいる。きっと、ゼンさん達の気遣いなんだろうなぁ─と思うと、心がほっこりします。

そんなお菓子を食べながら、リュウにネージュの事を報告した。



「ネージュが妊娠……あ母さん……。」

ブツブツと何やら呟いた後

「はぁ──。本当に…ハルの周りは驚きと驚きと驚きでいっぱいだな…。」

「でしょう?一緒に居て、全然飽きないのよ。癒されるし…一石二鳥なのよ。」

と、ミヤさんとリュウが、うんうんと頷き合っている。

ー魔法使いって、癒し効果でも…あるのかなぁ?ー

「えっと…癒しはよく分からないけど、リュウは何しに来たの?」

「あぁ。俺の国でも悪さをしていた奴等を、根こそぎ捕まえたって報せが、この国から来てな。そいつらは、この国で処罰を受けるんだが、その処罰について意見があれば言ってくれとあったから、俺が陛下からの親書を持って来たんだ。で、そのついでに、遊びに来たってとこだな。」

「そうなんだ。どの世界でも、国を跨いで悪い事をする人達が居るんですね。捕まって良かった。」

うんうんと頷いている私の横で、ミヤさんがニヤリ─と嗤っていた事には気付かなかった。





勿論、その根こそぎ捕まえたのが、ルナとリディとゼン達─パルヴァン─だった事も、ハルは知らない。











「話は戻るけど、ネージュが妊娠してるって事は…結構早く生まれて来るかもな。」

「え?何で?魔獣の妊娠期間は、3ヶ月位って聞いたんだけど…魔獣によって違うの?」

確かに、ゼンさんも確かな事は分からないけど─とは言ってたけど。

「いや、魔獣によってじゃなくて、胎内の子が引き継ぐ親の魔力の強さや大きさで変わってくるんだ。きっと、ネージュの子はネージュの魔力を引き継いでるから、その分成長が早くなる。早く成長すると言う事は、早く生まれて来るって事だな。」

「……えっと…ちょっと気になる事があるんだけど…。ネージュの魔力を整える為に、私の魔力をね…ネージュに流したり…してるんだけどね……。」

そこまで言うと、やっぱりと言うか─うん、やっぱり、リュウとミヤさんが悟ったような顔をした。

「あー…成る程な。断定はできないが……いや、それ、絶対に、更に早く生まれて来るパターンだ。その子は、絶対にハルの魔力も取り込んでる筈だからな。」

「それ、何なら、子供のうちから擬人化─するんじゃないの?」

と、ミヤさんも悟ったように言う。

「「………」」

勿論、それに関しても、私もリュウも否定できなかった。







そして、そろそろ帰ろうかと言う時に、外回りの仕事を終えた悠兄さんがやって来た。

「ハル、久し振りだな。元気にしてた?」

「悠兄さん、お疲れ様です。私は元気にしてますよ。悠兄さんは…ここでの生活は慣れて来た?」

二股?浮気?は置いといて、私にとっては、優しいお兄さんだ。眞島さん(父)とは違って、悠兄さんは所謂─イケメン─な方だと思う。おばさん(母)が綺麗な人だったもんね。

「ハルのお陰で言葉が分かるようになってから、ここでの生活にもすぐに慣れたし、ロンさんの手伝いも楽しくて、日本に居る時よりも充実してる位だよ。」

と、本当に楽しそうな顔をしている。

「ふふっ。なら…良かった。会って早々なんだけど、私はそろそろ帰るね。」

と言うと

「あー、じゃあ、俺もそろそろ帰るわ。」

と、リュウも立ち上がった。

「ハル、近いうちにネージュに会いに行ってもいいかしら?」

「勿論、ミヤさんならいつでも大歓迎ですよ!」

そうして、リュウはその場で魔法陣を展開させ隣国へと帰って行き、私は玄関でミヤさんに見送られ、馬車に乗り込もうとした時

「なぁ、ハル。その…ハルからも、俺の事を…ミヤに何か言ってくれないかなぁ?」

馬車に乗る時に手を貸してくれている悠兄さんが、ポツリと呟く。

「悠兄さんの事を…ミヤさんに?」

「その…何と言うか、ミヤに壁を作られてるみたいでさ。なかなか…うまくいかなくて…」

「……」

「だから、ハルから何か言ってくれたら、ミヤも…」

「悠兄さん。私は、悠兄さんとミヤさんの間には…入らない。これは、悠兄さんのとった行動の結果だと思うし、それでもヨリを戻したいと言ったのは悠兄さん本人でしょう?なら、自分で頑張らないと、意味は無いと思う。それに、頼まれて私が間に入った方が、ミヤさんから悠兄さんに対する思いは、マイナスにしか働かないと思う。本当にミヤさんが好きで、本当にミヤさんとやり直したいなら、自分の力で頑張るべきじゃないかな?」

「……そう…だな…。ごめん。ハル。今のこと…忘れてくれ。それじゃあ…気を付けてな。」

と、悠兄さんは少し寂しそうな顔をして、馬車の扉を閉めた。




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