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第二章ー同棲ー
お引っ越し
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「ハルさんは、“どうしてもコレだけは譲れない!”って言う物だけ持って来てくれたら良いからね?」
と、前もってルーチェ様に言われていたので、本当に必要最低限の物だけを持って…転移して来た。勿論、日本の服も持って来ました。後は、薬師の服といくつかの服─うん。服位しか…持って来る物がなかった…。
「「え?ハル様、これだけですか!?」」
と、ルナさんとリディさんにも驚かれた。
*****
「ハル様、お待ちしておりました。」
そう言って、私達を出迎えてくれたのは、この邸で執事を務める事になったバートさん。その横に居るのが、バートさんの奥さんであり、侍女長になるヘレナさん。ロンさんと同じ年位の人で、この2人は、カルザイン家側から選ばれたそうだ。使用人の長となるのは、やはりカルザイン家側の方が良いだろう─との事だった。他数名の使用人は、カルザイン家側とパルヴァン家側と半々です─と、ゼンさんが言っていたっけ。
「これからお世話になります。ハルです。宜しくお願いします。」
ペコリと挨拶をする。
「この邸の案内は後にして、先ずはお部屋の方へご案内させていただきます。」
「はい。お願いします。」
そして、案内された部屋は…
私好みの落ち着いたベージュ系で、シンプルな家具で揃えられていた。驚く事に、色んな服までもが…クローゼットの中に入っていた。
部屋の様式としてはパルヴァン邸と同じで、奥に繋がっている部屋に寝室がある─んだけど…
「?」
何故か、もう一つ扉がある。何の部屋だろう?と思い開けてみると─
「────え?」
何故か、キングサイズ位の大きなベッドがあった。
「え?何で?え?」
ー私のベッド、二個も要らないよ?しかも、こんな大きいベッド、私には必要ないよね?ー
何ならこの部屋ごと要らないよね─何て考えていたら
「ハル様は勘違いしてると思うので説明させてもらいますけど、この部屋は“夫婦の部屋”ですから。」
と、荷物整理をしていたルナさんとリディさんが、手を止めて私の横まで来て説明してくれた。
「ふうふ?」
ーん?……………っ!?ー
「夫婦っっ!?」
「そうです。夫婦です。分かりやすく言うと、エディオル様とハル様が一緒に寝る部屋ですね。」
「寝る!?一緒に!?」
「はい。あ、勿論、(エディオル様が我慢できたら)結婚してからになりますけど。ちなみにですけど、このハル様に用意された部屋も、この邸に住む“夫人用の部屋”です。この夫婦の寝室にある、あちらの扉の向こう側が、この邸の主─エディオル様の部屋になります。」
「──────────!?」
ーっ!?部屋が…扉一枚で繋がってるだと!?ー
そう理解した瞬間、ポンッと顔が熱くなって、言葉が出ず口だけがパクパクと動く。
「これは、特別な事ではなく、貴族の邸の造りに於いては一般的な物です。」
ー但し、結婚前から使用する─と言うのは稀ですがー
とは敢えて言わないルナとリディ。
ーカルザイン家が総出で、ハル様の外堀を完璧に埋めに来たー
とも、敢えて言わないルナとリディ。
「───そ…そう……なんです…ね…」
顔を赤くしながら何とか返事をするハル。そんなハルを見たルナとリディは
ーコレ、絶対エディオル様は我慢できないんじゃない?ー
と、心の中で囁いた。
その日の夕方─
「ディ、お帰りなさい?」
「え?何で疑問系?」
この邸にやって来た?エディオルさんのお出迎え…なんだけど──
ここはエディオルさんのお家だから、“いらっしゃい”はおかしい…でも、ここには住んでないから、“お帰り”もどうなの??と思っていたから、最終的に疑問系のお出迎え?になってしまった。
そんな私を、苦笑しながらもギュッと抱き締めて
「ただいま」
と微笑みながら、私のオデコに軽くキスをする。
「─なっ!?」
「「ごほっ──」」
私が反論仕掛けた時、私の背後で誰かが咳き込んだ。
ーひいっ!!そうだ!後ろにバートさんとヘレナさんも居たんだ!ー
ルナさんとリディさんには、この砂糖漬け状態をすでに何度も見られてるから、少しは慣れて来てたけど…恥ずかし過ぎる!!!と、思わずエディオルさんの胸にグリグリと頭を擦り付け───
「はっ!またやってしまいました!!」
と、エディオルさんの胸から慌てて頭を離した。
「くくっ─。恥ずかしがるハルは、本当に可愛いな。」
と、エディオルさんは本当に嬉しそうに笑う。
「「ごほっ────っ」」
また、背後で誰かが咳き込んだ。
「…バート、ヘレナ、どうした?喉の調子でも…悪くなったのか?」
エディオルさんが私を抱き締めたまま、私の背後にいるバートさんとヘレナさんに笑顔を向ける。
「何でしょうね…喉と言うか…目が…幻覚?が見えるなと思いましてね?」
バートさんもまた、エディオルさんに負けないような笑顔を向けて来る。流石はカルザイン侯爵家推薦の執事。エディオルさんの圧も、軽く流してます。と言うか、この2人は、きっと気心知れた?仲なんだろう。
「丁度、このハルは薬師だから、投薬してもらうか?」
「いえ、大丈夫です。ここで過ごすうちに、そのうちに慣れるでしょうから…」
ーな…慣れるって…私…これからどんな砂糖漬けの日々が待っているんだろうかー
私は1人、エディオルさんの腕の中でワチャワチャしていた。
「あー…ハル様、やっぱり癒しだわ。(ルナ)」
「安定の癒しだね。(リディ)」
「その辺、詳しくお願いします。(ヘレナ)」
「「了解です!」」
と、前もってルーチェ様に言われていたので、本当に必要最低限の物だけを持って…転移して来た。勿論、日本の服も持って来ました。後は、薬師の服といくつかの服─うん。服位しか…持って来る物がなかった…。
「「え?ハル様、これだけですか!?」」
と、ルナさんとリディさんにも驚かれた。
*****
「ハル様、お待ちしておりました。」
そう言って、私達を出迎えてくれたのは、この邸で執事を務める事になったバートさん。その横に居るのが、バートさんの奥さんであり、侍女長になるヘレナさん。ロンさんと同じ年位の人で、この2人は、カルザイン家側から選ばれたそうだ。使用人の長となるのは、やはりカルザイン家側の方が良いだろう─との事だった。他数名の使用人は、カルザイン家側とパルヴァン家側と半々です─と、ゼンさんが言っていたっけ。
「これからお世話になります。ハルです。宜しくお願いします。」
ペコリと挨拶をする。
「この邸の案内は後にして、先ずはお部屋の方へご案内させていただきます。」
「はい。お願いします。」
そして、案内された部屋は…
私好みの落ち着いたベージュ系で、シンプルな家具で揃えられていた。驚く事に、色んな服までもが…クローゼットの中に入っていた。
部屋の様式としてはパルヴァン邸と同じで、奥に繋がっている部屋に寝室がある─んだけど…
「?」
何故か、もう一つ扉がある。何の部屋だろう?と思い開けてみると─
「────え?」
何故か、キングサイズ位の大きなベッドがあった。
「え?何で?え?」
ー私のベッド、二個も要らないよ?しかも、こんな大きいベッド、私には必要ないよね?ー
何ならこの部屋ごと要らないよね─何て考えていたら
「ハル様は勘違いしてると思うので説明させてもらいますけど、この部屋は“夫婦の部屋”ですから。」
と、荷物整理をしていたルナさんとリディさんが、手を止めて私の横まで来て説明してくれた。
「ふうふ?」
ーん?……………っ!?ー
「夫婦っっ!?」
「そうです。夫婦です。分かりやすく言うと、エディオル様とハル様が一緒に寝る部屋ですね。」
「寝る!?一緒に!?」
「はい。あ、勿論、(エディオル様が我慢できたら)結婚してからになりますけど。ちなみにですけど、このハル様に用意された部屋も、この邸に住む“夫人用の部屋”です。この夫婦の寝室にある、あちらの扉の向こう側が、この邸の主─エディオル様の部屋になります。」
「──────────!?」
ーっ!?部屋が…扉一枚で繋がってるだと!?ー
そう理解した瞬間、ポンッと顔が熱くなって、言葉が出ず口だけがパクパクと動く。
「これは、特別な事ではなく、貴族の邸の造りに於いては一般的な物です。」
ー但し、結婚前から使用する─と言うのは稀ですがー
とは敢えて言わないルナとリディ。
ーカルザイン家が総出で、ハル様の外堀を完璧に埋めに来たー
とも、敢えて言わないルナとリディ。
「───そ…そう……なんです…ね…」
顔を赤くしながら何とか返事をするハル。そんなハルを見たルナとリディは
ーコレ、絶対エディオル様は我慢できないんじゃない?ー
と、心の中で囁いた。
その日の夕方─
「ディ、お帰りなさい?」
「え?何で疑問系?」
この邸にやって来た?エディオルさんのお出迎え…なんだけど──
ここはエディオルさんのお家だから、“いらっしゃい”はおかしい…でも、ここには住んでないから、“お帰り”もどうなの??と思っていたから、最終的に疑問系のお出迎え?になってしまった。
そんな私を、苦笑しながらもギュッと抱き締めて
「ただいま」
と微笑みながら、私のオデコに軽くキスをする。
「─なっ!?」
「「ごほっ──」」
私が反論仕掛けた時、私の背後で誰かが咳き込んだ。
ーひいっ!!そうだ!後ろにバートさんとヘレナさんも居たんだ!ー
ルナさんとリディさんには、この砂糖漬け状態をすでに何度も見られてるから、少しは慣れて来てたけど…恥ずかし過ぎる!!!と、思わずエディオルさんの胸にグリグリと頭を擦り付け───
「はっ!またやってしまいました!!」
と、エディオルさんの胸から慌てて頭を離した。
「くくっ─。恥ずかしがるハルは、本当に可愛いな。」
と、エディオルさんは本当に嬉しそうに笑う。
「「ごほっ────っ」」
また、背後で誰かが咳き込んだ。
「…バート、ヘレナ、どうした?喉の調子でも…悪くなったのか?」
エディオルさんが私を抱き締めたまま、私の背後にいるバートさんとヘレナさんに笑顔を向ける。
「何でしょうね…喉と言うか…目が…幻覚?が見えるなと思いましてね?」
バートさんもまた、エディオルさんに負けないような笑顔を向けて来る。流石はカルザイン侯爵家推薦の執事。エディオルさんの圧も、軽く流してます。と言うか、この2人は、きっと気心知れた?仲なんだろう。
「丁度、このハルは薬師だから、投薬してもらうか?」
「いえ、大丈夫です。ここで過ごすうちに、そのうちに慣れるでしょうから…」
ーな…慣れるって…私…これからどんな砂糖漬けの日々が待っているんだろうかー
私は1人、エディオルさんの腕の中でワチャワチャしていた。
「あー…ハル様、やっぱり癒しだわ。(ルナ)」
「安定の癒しだね。(リディ)」
「その辺、詳しくお願いします。(ヘレナ)」
「「了解です!」」
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