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第一章ー婚約ー

何度でも

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ー彼女は日本に還ったー

私とは会えないのに、彼女と一緒に居るエディオルさん。今でも覚えている。物語のワンシーンの様な2人を。ゲーム通りにならなくて良かった。エディオルさんは…私を選んでくれた──んだよね?もう、何処かに行ったりしないんだよね?

ーディは…何処に居るんだろう?ー

エディオルさんを探していると、何かが手に触れた感覚がした。

ー何だろう?温かい?ー

そこから少し気持ちが落ち着いて来て─







「─────ん…」

あれ?何だろう…身動きが取れない??

「──っ!!??」

ーひぃぃぃぃ────っ!!!!ー

さ…叫ばなかった私を褒めてあげたい!!じゃなくて!!いや、本当に褒めたいけど!!

え!?何がどうなってるの!?え?何で??え??

目が覚めると─何故か、エディオルさんにお姫様抱っこされた状態で抱き締められていた。いやいやいや、私自身も、ガッシリとエディオルさんに抱き付いている。

ー何で!!??ー

あれ?宴会で、ミヤさん達と食べながら話をしてた─筈だよね?それでそれで─ミヤさんが飲んでたお酒を、私が間違って飲んじゃって────

ーあれ?それからの記憶が…全く無いー

ジワジワと背中に嫌な汗が流れる。

「──え?まさか…私…ディを…襲った?」

「ぷっ──」

「ひぃ──って、ディ!?起きてる!??」

「“襲った”って…くくくっ……」

至近距離で、エディオルさんと目があって、軽くキスをされた。

「な─っ!?寝起きに!?うぅ─」

「ハルが言ったんだが……俺とのキスが好きだと。」

「ふぁいっ!!??キスが……好き!?」

「あぁ。それに、俺と離れたくないから、一緒に寝るとも言っていたな。それで、ハルが全然俺を離してくれないから─この状態になってる。」

「───────」

驚き過ぎて…声が出ません!!

「───なっ…え?…え?」

「ハル、ちょっと落ち着こうか?」

ーそれ、ルイス第一騎士団長様が、よくルーチェ様に言ってる言葉ですね!ー

「──うぅ…すみません。全く覚えてません。」

素直に謝って、そのままエディオルさんの肩に顔を埋める。

「ははっ…それは…残念だ。甘えて来るハルは可愛かったけど。」

「甘える!?」

ーうぇ!?私、一体何をー

「ハル。まだ夜中なんだが…眠い?」

「いえ…今ので一気に目が…覚めました。」

そう言うと、エディオルさんは腕の力を緩めて体を離して、私と視線を合わせて

「少し話をしても良いか?」

「はい!大丈夫です!どんな話しでも聞かせていただきます!なので、から下りま─」
「下りなくて良いし、このままで良い。」

「……はい……。」










それから聞かされたのは─私が酔っていた間の話と、の気持ちを引き摺っているのではないか?と言う事だった。

「……」

「ハル。俺は、何度だって言うけど、だけじゃなくて、俺は5年前からずっとハルしか見てない。5年前からずっと、俺の心はハルにしか反応しない。ハルしか要らない。俺は…どうしたって、ハルが良いんだ。」

エディオルさんは、私に気持ちを伝えてくれている。なら、私も…ちゃんと伝えないと…

「私……、ディに会いたくて…さっきみたいに、気配と姿を隠して…王城に行ったんです。そうしたら…ディが…庭園で彼女と寄り添うように座ってて……それで…」

ギュッとエディオルさんの服を握る。

「あの…もう分かってるんですよ?アレは…演技?だったって。ディが、私の事をちゃんと思ってくれてるって。多分…彼女を久し振りに見て、少し気持ちが、あの時の記憶に引き摺られた…んだと思います。」

「俺も明日か明後日には王都に帰るし…近衛にも復帰して、今みたいに一緒に居られる時間は減るけど、俺は、いつだってハルを想ってるから。ハルだけを─愛してる。」

フワリと優しく微笑んで、私に優しい─触れるだけのキスをする。

「もしまた、不安になったら言って欲しい。俺は、何度だって、その不安を無くすようにするから。」

「…ディ……ありがとう…ございます。私も…ディが…大好きです。これからは、ちゃんと…頑張って気持ちを伝えます。」

頑張って…私からも…触れるだけのキスをした。

「──え?」

キョトンと固まるエディオルさん。

ーえ?何?私からするのは…駄目だった?ー

「あの─すみません!もしかして、イヤ──っ!?」

グイッと顔を持ち上げられて、今迄とは全く違う─深いキスをされた。

「──っ!?ん──っ!?」

バシバシと遠慮無くエディオルさんの背中を叩く。

「──今のは…ハルが悪い…」

エディオルさんが、そう呟きながらようやく唇を離した。

「ぷはっ──!?苦しっ──」

うまく息ができなくて、グッタリとエディオルさんに凭れ掛かる。

「はぁ─。本当に、可愛いのも天然なのも限度があるからな?」




ーげ…限…度っ…て…何ですか??ー




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