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第一章ー婚約ー
虫と隣国
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「エディオル殿。今夜もお話があるので…後程お部屋に伺っても宜しいでしょうか?」
と、ゼンさんがゾクゾクする微笑みで、エディオルさ─んに尋ねていたけど…アレは断っちゃいけないやつだよね?エディオルさんは、一体何をしたんだろう?
苦笑しながら「分かりました」と返事をするエディオルさんと、それを首を傾げて見る私。
「ハル、また、明日。」
夕食後、エディオルさんはそう言うと、ゼンさんと一緒に部屋へと戻って行った。
「ちょっと…本当に気が利かない…と言うか、大人気ないわね。」と、苦笑するミヤさんと
「ですね。父がここまでとは…本当に面白いですね。」と、面白いものを見るような目をしたロンさんが居た。
『主、どうした?』
少し考え事をしていると、ネージュが心配そうに私を見上げて来た。私はその場にしゃがみこんで、ネージュと目線を合わせて、ネージュの顔を両手で挟み込んだ。
「あのね?私…エディオルさんと、今日はもう少し一緒に居れるかな?って思ってたから…。でも、“また明日”って言われたって事は…今日はもう…って事かと思ったらね、ちょっと寂しくなっちゃった…みたいな?」
口に出したら更に寂しくなって、口に出した事も恥ずかしくなって、それを誤魔化すようにネージュに抱き付いて、頭をグリグリと擦り付けた。
「「「「………」」」」
「付き合いたてのあるあるね?そりゃ、一緒に居たいわよね。これ、ゼンさんに聞かせてあげたいわ。」
「父が聞いたら…明日は全員揃っての訓練─になりそうですね。」
「「ハル様が可愛い過ぎる!!」」
↑はい。上から順に、ミヤ、ロン、ルナ&リディです。
「ハル?私達じゃあエディオルさんの代わりにはならないけど、今日の話しも聞きたいし、サロンでお茶でもしない?」
「ミヤさん!お茶します!大好きです!」
エディオルさんとは一緒に居る事はできなくて残念だけど、急遽、ミヤさんとルナさんとリディさんとネージュとで、女子会をする事になりました。これはこれで、とっても嬉しいです!
*エディオル視点*
「へぇ─そうか…想いが通じて…良かったなぁ…」
ーいや、それ、絶対“良かった”とは思ってないだろう。棒読みだしー
「それで?早速グレン様にでも………婚約を願い出るつもりなのか?」
「それはまだしませんよ。」
「……は?」
これには、流石のゼン殿も予想外だったのだろう。俺の答えに普通に驚いている。
「ハルからも好きだと言われて、想いは通じ合ったけど、ようやくスタート地点に立ったと言う所なんです。」
「……好きと言われた……“ハル”呼び……」
「俺の好きと、ハルの好きが…微妙に違うんですよ。ハルは…俺に安心するそうです。」
「…安心……。あ─…。」
俺の言葉に、何かを我慢するように、眉間に皺を寄せて耐えていたゼン殿だが、“安心する”と言われた事を素直に話すと、理解したのだろう。今度は可哀想な子を見る様な目を向けてきた。
「同情なら要りませんよ?」
「そうか─いや…お前も…大変だな?」
「……」
「それでも、明日は手合わせをするけどな。」
ーそこは無しでも良くないか?ー
兎に角、ゼン殿は思ったよりは怒っていないようで良かった─と、少しホッとしていると
「ところで…報告を受けているんだか…。小虫と毒蜂はどうなっているんだ?」
ゼン殿が一気に圧を掛けて来た。
ーもう報告が上がっているとは…恐ろしく早いなー
「それに関しては、俺も詳しくは知らない。改めて謝罪を受ける事にはなっているけど。ただ、オルソレン伯爵が夫人とエレノアを、追いやる為に動いているようです。母が、イーサン─オルソレン伯爵─に、あの2人をきっちり締め上げてもらうと言っていたから、このままで終わらせる事はないでしょう。ハルの事も見下して…俺もこのままで許す気はさらさら無いですよ。」
「そうか。カルザイン家とイーサン様が動くのであれば、パルヴァンは黙っておこう。次は無いが…。」
ーゼン殿が動くのなら、次を起こさせてもアリなんじゃないか?ー
と思ってしまったのは、ここだけの話だ。
「ところで、ゼン殿。隣国の動きはどうなっているんだろうか?」
「あぁ、それなら、王弟殿下にスムーズに譲位されるようだ。結局は、クズ国王を支持していたのは、甘い汁を吸っていた一握りの無能な貴族だけだったようだ。おまけに、王国の騎士団が漏れ無く王弟殿下の下に付いたらしいから、誰も否とは言えないだろう?もう既に、王弟殿下のもと、色々と手直しや粛清が始まっている。」
「そうか─。なら良かった。」
「だから、近いうちに…ミヤ様が聖女として隣国に向かう事になるだろう?ならば、おそらく─必ずハル様も一緒に行くと言うだろうな。」
「きっと言いますね。だから…ハルには必要無いかもしれないが、俺も同行させてもらうつもりです。誰かに何かを言われても…その辺はランバルトには大きな貸しがあるから、黙らせてもらいますよ。」
ニヤリと俺が嗤うと、ゼン殿も「確かに、大きな貸しがあったな─」と、嗤った。
と、ゼンさんがゾクゾクする微笑みで、エディオルさ─んに尋ねていたけど…アレは断っちゃいけないやつだよね?エディオルさんは、一体何をしたんだろう?
苦笑しながら「分かりました」と返事をするエディオルさんと、それを首を傾げて見る私。
「ハル、また、明日。」
夕食後、エディオルさんはそう言うと、ゼンさんと一緒に部屋へと戻って行った。
「ちょっと…本当に気が利かない…と言うか、大人気ないわね。」と、苦笑するミヤさんと
「ですね。父がここまでとは…本当に面白いですね。」と、面白いものを見るような目をしたロンさんが居た。
『主、どうした?』
少し考え事をしていると、ネージュが心配そうに私を見上げて来た。私はその場にしゃがみこんで、ネージュと目線を合わせて、ネージュの顔を両手で挟み込んだ。
「あのね?私…エディオルさんと、今日はもう少し一緒に居れるかな?って思ってたから…。でも、“また明日”って言われたって事は…今日はもう…って事かと思ったらね、ちょっと寂しくなっちゃった…みたいな?」
口に出したら更に寂しくなって、口に出した事も恥ずかしくなって、それを誤魔化すようにネージュに抱き付いて、頭をグリグリと擦り付けた。
「「「「………」」」」
「付き合いたてのあるあるね?そりゃ、一緒に居たいわよね。これ、ゼンさんに聞かせてあげたいわ。」
「父が聞いたら…明日は全員揃っての訓練─になりそうですね。」
「「ハル様が可愛い過ぎる!!」」
↑はい。上から順に、ミヤ、ロン、ルナ&リディです。
「ハル?私達じゃあエディオルさんの代わりにはならないけど、今日の話しも聞きたいし、サロンでお茶でもしない?」
「ミヤさん!お茶します!大好きです!」
エディオルさんとは一緒に居る事はできなくて残念だけど、急遽、ミヤさんとルナさんとリディさんとネージュとで、女子会をする事になりました。これはこれで、とっても嬉しいです!
*エディオル視点*
「へぇ─そうか…想いが通じて…良かったなぁ…」
ーいや、それ、絶対“良かった”とは思ってないだろう。棒読みだしー
「それで?早速グレン様にでも………婚約を願い出るつもりなのか?」
「それはまだしませんよ。」
「……は?」
これには、流石のゼン殿も予想外だったのだろう。俺の答えに普通に驚いている。
「ハルからも好きだと言われて、想いは通じ合ったけど、ようやくスタート地点に立ったと言う所なんです。」
「……好きと言われた……“ハル”呼び……」
「俺の好きと、ハルの好きが…微妙に違うんですよ。ハルは…俺に安心するそうです。」
「…安心……。あ─…。」
俺の言葉に、何かを我慢するように、眉間に皺を寄せて耐えていたゼン殿だが、“安心する”と言われた事を素直に話すと、理解したのだろう。今度は可哀想な子を見る様な目を向けてきた。
「同情なら要りませんよ?」
「そうか─いや…お前も…大変だな?」
「……」
「それでも、明日は手合わせをするけどな。」
ーそこは無しでも良くないか?ー
兎に角、ゼン殿は思ったよりは怒っていないようで良かった─と、少しホッとしていると
「ところで…報告を受けているんだか…。小虫と毒蜂はどうなっているんだ?」
ゼン殿が一気に圧を掛けて来た。
ーもう報告が上がっているとは…恐ろしく早いなー
「それに関しては、俺も詳しくは知らない。改めて謝罪を受ける事にはなっているけど。ただ、オルソレン伯爵が夫人とエレノアを、追いやる為に動いているようです。母が、イーサン─オルソレン伯爵─に、あの2人をきっちり締め上げてもらうと言っていたから、このままで終わらせる事はないでしょう。ハルの事も見下して…俺もこのままで許す気はさらさら無いですよ。」
「そうか。カルザイン家とイーサン様が動くのであれば、パルヴァンは黙っておこう。次は無いが…。」
ーゼン殿が動くのなら、次を起こさせてもアリなんじゃないか?ー
と思ってしまったのは、ここだけの話だ。
「ところで、ゼン殿。隣国の動きはどうなっているんだろうか?」
「あぁ、それなら、王弟殿下にスムーズに譲位されるようだ。結局は、クズ国王を支持していたのは、甘い汁を吸っていた一握りの無能な貴族だけだったようだ。おまけに、王国の騎士団が漏れ無く王弟殿下の下に付いたらしいから、誰も否とは言えないだろう?もう既に、王弟殿下のもと、色々と手直しや粛清が始まっている。」
「そうか─。なら良かった。」
「だから、近いうちに…ミヤ様が聖女として隣国に向かう事になるだろう?ならば、おそらく─必ずハル様も一緒に行くと言うだろうな。」
「きっと言いますね。だから…ハルには必要無いかもしれないが、俺も同行させてもらうつもりです。誰かに何かを言われても…その辺はランバルトには大きな貸しがあるから、黙らせてもらいますよ。」
ニヤリと俺が嗤うと、ゼン殿も「確かに、大きな貸しがあったな─」と、嗤った。
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