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出会い
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11歳の誕生日迄、後数日─と言ったところで、お祖父様から話しがあると言われ、今、お祖父様が座っているソファーとはテーブルを挟んだ対面にある3人掛けのソファーに、お祖母様と並んで座っている。そして、私から見て左側にある1人掛けのソファーには、叔母であるアヤメさんも座っている。
「シルフィーの誕生日の話しなんだが、その日に、私の昔からの付き合いのある奴の孫が…来る事になってな。」
「…孫?」
「あぁ。その、私と付き合いがある奴はもともと伯爵家の次男で、学生時代隣国に留学した際に恋に落ちたとかで、卒業と共に隣国へと婿入りで結婚したんだ。時々、こっちにも帰って来ていたから、その時には会っていたんだ。それで、そいつが丁度今こっちに帰って来ていて、私の孫であるシルフィーの誕生日だと聞いたら、一緒に祝いたいと言われてな。」
「…」
「そいつの息子夫婦は来ていないが、孫と一緒に来ているらしくて。まぁ…丁度シルフィーとも同じ年だからと思ったのだが…シルフィーは、どうしたい?」
お祖父様は優しい顔で、私に問い掛けて来る。11歳になる私。魔力が殆ど無い上、体には傷痕がある令嬢。そんな自分を知られるのが怖くて、私は未だに王都には帰れずに領地に引き篭もったまま。そんな私を、お祖父様やお祖母様、お父様も怒る事も呆れる事もなく見守ってくれている。それに、そんな私を心配してくれている。
ー私も、そろそろ前を向かなきゃ…だよね?ー
「…私は…大丈夫です。」
そう言うと
「そうか、なら、招待状を送っておこう。それに、その場にはエレーナもアーロンも居るから。」
と、お祖父様は叔母様の方へと視線を向ける。
「毎年の事ですが、その様なお祝いの席に…私達3人を入れていただき、ありがとうございます。」
「何を言う?例え貴族では無くともカルディアはシルフィーにとっての叔母であり、エレーナとアーロンは従弟妹なのだから、そんな事は気にしないでくれ。」
“貴族では無くとも”
私も、この事には驚いた。
叔母は、駆け落ち同然に平民と結婚した為、親から縁を切られ事実上平民になっていた。
ただ、夫の死後、実家である伯爵家に戻って来た時に、身分も回復させたかと思っていたのだけど─
『1年前かしら?親からは身分を回復させると言われたけど、断ったのよ。兄夫婦やその子供達の不安要素にはなりたくなかったし、一度は家を棄てた身だから…。それに、アヤメとしては、貴族って堅苦しくて嫌なのよね。これが、カルディアの時に言われてたら、直ぐに受け入れてたでしょうけどね。』
と、カラカラと笑って話してくれた。
貴族が堅苦しいと笑うアヤメさんは、何だか素敵?だなと思った。
「エレーナとアーロンが居るなら…心強いわ。」
と言えば、隣に座っているお祖母様が、私の頭を優しく撫でてくれた。
「と言う事で、誕生日の当日は宜しく頼むよ、カルディア。」
「承知致しました。」
******
「あの…アヤメさん。何か、気になる事でもあるんですか?」
誕生日の話しが終わり、お祖父様とお祖母様が部屋から出て行き、リビングには私とアヤメさんの2人だけになったのだけど、アヤメさんは座ったまま、何だかとても難しい顔をしている。
「え?あぁ、ごめんなさい。少し考え事をしていたのよ。エレーナもアーロンも、シルフィーちゃん以外の同年代の子と絡むのは初めてだから、大丈夫かな?って。それに…平民だからね。」
「…アヤメさん、お祖父様も言っていたけど、身分なんて気にしないで。私にとって2人は大切な従弟妹だから。一緒に居てくれるだけで心強いです。」
「シルフィーちゃん…ありがとう。」
今思えば、アヤメさんは私とは違う意味で心配していたのかと分かる。あの時の私は、そんな未来があるなんて思ってもいなかったし、有り得ないと思っていた。こんな自分は、ずっと独りのままなんだろう──と。
*誕生日当日*
「レオ、よく来てくれたね。」
「ジュード、久し振りだな。元気そうで良かった。今日は、私達を招いてくれてありがとう。」
2人が抱擁を交わした後、私はお祖父様に促されて前に出る。
「お初にお目に掛かります。シルフィー=キリクスと言います。本日は、私の誕生日のお祝いに来ていただき、ありがとうございます。」
「挨拶ありがとう。私はレオグル=タルトンだ。今日は、誕生日おめでとう。」
レオグル様が挨拶をすると、その後ろから男の子が出て来た。
「初めまして。私はマクウェル=タルトンです。今日は、お誕生日おめでとうございます。」
と、その男の子はフワリと優しく微笑んだ。
黒い髪は肩で切り揃えられていて、動く度にサラサラと揺れている。瞳の色も黒。身長は私と同じ位だけど、アーロンとは違い少しガッチリとした体つきをしている。
ー男の子だけど、キレイな人だなー
と言うのが、私のマクウェル様の第一印象だった。
「私はエレーナです。宜しくお願いします。」
「私は、アーロン。宜しくお願いします。」
こうして、私達4人は特に問題も無く挨拶を交わし、その日の誕生日を一緒に過ごした。
そんな私達4人を、アヤメさんが心配そうに見ている事には、この時の私は全く気付いていなかった。
「シルフィーの誕生日の話しなんだが、その日に、私の昔からの付き合いのある奴の孫が…来る事になってな。」
「…孫?」
「あぁ。その、私と付き合いがある奴はもともと伯爵家の次男で、学生時代隣国に留学した際に恋に落ちたとかで、卒業と共に隣国へと婿入りで結婚したんだ。時々、こっちにも帰って来ていたから、その時には会っていたんだ。それで、そいつが丁度今こっちに帰って来ていて、私の孫であるシルフィーの誕生日だと聞いたら、一緒に祝いたいと言われてな。」
「…」
「そいつの息子夫婦は来ていないが、孫と一緒に来ているらしくて。まぁ…丁度シルフィーとも同じ年だからと思ったのだが…シルフィーは、どうしたい?」
お祖父様は優しい顔で、私に問い掛けて来る。11歳になる私。魔力が殆ど無い上、体には傷痕がある令嬢。そんな自分を知られるのが怖くて、私は未だに王都には帰れずに領地に引き篭もったまま。そんな私を、お祖父様やお祖母様、お父様も怒る事も呆れる事もなく見守ってくれている。それに、そんな私を心配してくれている。
ー私も、そろそろ前を向かなきゃ…だよね?ー
「…私は…大丈夫です。」
そう言うと
「そうか、なら、招待状を送っておこう。それに、その場にはエレーナもアーロンも居るから。」
と、お祖父様は叔母様の方へと視線を向ける。
「毎年の事ですが、その様なお祝いの席に…私達3人を入れていただき、ありがとうございます。」
「何を言う?例え貴族では無くともカルディアはシルフィーにとっての叔母であり、エレーナとアーロンは従弟妹なのだから、そんな事は気にしないでくれ。」
“貴族では無くとも”
私も、この事には驚いた。
叔母は、駆け落ち同然に平民と結婚した為、親から縁を切られ事実上平民になっていた。
ただ、夫の死後、実家である伯爵家に戻って来た時に、身分も回復させたかと思っていたのだけど─
『1年前かしら?親からは身分を回復させると言われたけど、断ったのよ。兄夫婦やその子供達の不安要素にはなりたくなかったし、一度は家を棄てた身だから…。それに、アヤメとしては、貴族って堅苦しくて嫌なのよね。これが、カルディアの時に言われてたら、直ぐに受け入れてたでしょうけどね。』
と、カラカラと笑って話してくれた。
貴族が堅苦しいと笑うアヤメさんは、何だか素敵?だなと思った。
「エレーナとアーロンが居るなら…心強いわ。」
と言えば、隣に座っているお祖母様が、私の頭を優しく撫でてくれた。
「と言う事で、誕生日の当日は宜しく頼むよ、カルディア。」
「承知致しました。」
******
「あの…アヤメさん。何か、気になる事でもあるんですか?」
誕生日の話しが終わり、お祖父様とお祖母様が部屋から出て行き、リビングには私とアヤメさんの2人だけになったのだけど、アヤメさんは座ったまま、何だかとても難しい顔をしている。
「え?あぁ、ごめんなさい。少し考え事をしていたのよ。エレーナもアーロンも、シルフィーちゃん以外の同年代の子と絡むのは初めてだから、大丈夫かな?って。それに…平民だからね。」
「…アヤメさん、お祖父様も言っていたけど、身分なんて気にしないで。私にとって2人は大切な従弟妹だから。一緒に居てくれるだけで心強いです。」
「シルフィーちゃん…ありがとう。」
今思えば、アヤメさんは私とは違う意味で心配していたのかと分かる。あの時の私は、そんな未来があるなんて思ってもいなかったし、有り得ないと思っていた。こんな自分は、ずっと独りのままなんだろう──と。
*誕生日当日*
「レオ、よく来てくれたね。」
「ジュード、久し振りだな。元気そうで良かった。今日は、私達を招いてくれてありがとう。」
2人が抱擁を交わした後、私はお祖父様に促されて前に出る。
「お初にお目に掛かります。シルフィー=キリクスと言います。本日は、私の誕生日のお祝いに来ていただき、ありがとうございます。」
「挨拶ありがとう。私はレオグル=タルトンだ。今日は、誕生日おめでとう。」
レオグル様が挨拶をすると、その後ろから男の子が出て来た。
「初めまして。私はマクウェル=タルトンです。今日は、お誕生日おめでとうございます。」
と、その男の子はフワリと優しく微笑んだ。
黒い髪は肩で切り揃えられていて、動く度にサラサラと揺れている。瞳の色も黒。身長は私と同じ位だけど、アーロンとは違い少しガッチリとした体つきをしている。
ー男の子だけど、キレイな人だなー
と言うのが、私のマクウェル様の第一印象だった。
「私はエレーナです。宜しくお願いします。」
「私は、アーロン。宜しくお願いします。」
こうして、私達4人は特に問題も無く挨拶を交わし、その日の誕生日を一緒に過ごした。
そんな私達4人を、アヤメさんが心配そうに見ている事には、この時の私は全く気付いていなかった。
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