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叔母②

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何だかよく分からないやり取りがようやく落ち着き─







「本当にごめんなさい。三次元のシルフィーちゃんを見たら…興奮しちゃって…」

「……」

ーもう、何も反応しませんー

そのまま何も反応せず、じっと叔母の顔を見つめていると、叔母は少し困ったような顔をして

「すぐに信用してもらおうとは思ってないわ。私には、今迄カルディアがシルフィーちゃんにしてきた事は…ハッキリと覚えているから。ただ、コレだけは言っておくわね。お姉様─シルフィーちゃんのお母様の事だけど…。お姉様とお義兄オーティス様は、愛し合って結婚したの。そして、亡くなったのはシルフィーちゃんのせいではなくて、本当に流行り病に罹ったからだから。コレだけは信じて欲しい。カルディアの言っていた事が嘘だったわ。」

そう言って、目の前にいる叔母が微笑む。

ー良かったー

お母様が、私のせいで死んだのではなくて良かった。ソレを信じて良いのか…分からないけど。それでも、今の叔母の顔を見ると、嘘をついているようには見えないから、それは信じて良いのかもしれない─と思えた。




















「直ぐには信じてもらえないのは仕方無いと思っているけど、これからは、シルフィーちゃんに信じてもらえるように…仲良くなれるように頑張っていこうと思うの。それで…私…“アヤメ”や漫画の世界の話云々は、私とシルフィーちゃんだけの秘密にして欲しいの。こんな話、誰も信じてくれないだろうし、頭のイカレタ奴─と思われたくないし…。」

「それじゃあ…何故、私には話したんですか?」

私だって、信じられないし、それに…叔母は私の事が嫌いだった筈。

「だって……」

叔母はそう言って、ギュウッと布団を握りしめて

「私!その漫画の中でシルフィーちゃんが最推しだったの!!もー、シルフィーちゃんの事が大好きだったの!そんな最推しのシルフィーちゃんに三次元で会えたのに嫌われてるって…耐えられなかったのよ!!」

と、叔母が叫びながら泣き出した。

ーえ??さいおし??え?ー

叔母はウルウルと泣いているし、私は私で脳内パニック発動中。

「ごめんなさい…ついつい…。コホン。私ね、その漫画の中のシルフィーちゃんが好きだったの。いつも漫画を読みながら応援してたの。それで、私がカルディアの体に入り込んで、目覚めたらその漫画の世界に居て…大好きなシルフィーちゃんが居て…そこで気付いたのよ…あ、私、もうやらかして嫌われてるって…。ショック過ぎて…それで更に2日寝込んだのよ。」

ーえ?熱が下がった後の2日は…それが原因!?ー

「兎に角、嫌われてるままなのは耐えられないから、シルフィーちゃんにだけは本当の事を話そうと思ったの。だから…勝手な話しかも知れないけど…少しずつでも良いから…私─アヤメの事を知っていってもらいたいの。」

叔母は、更にギュウッと布団を握りしめて、私の顔を見つめて来る。その顔が、嘘をついている感じがなくて…寧ろ…

ー必死過ぎて…怖い…ような…ー

「駄目…かしら?」

そう言うと、叔母の目がウルウルとしだした。

「……分かり…ました。正直、直ぐには…信じる事はできないと思うけど…叔母様…アヤメ様を知っていこうと…する事はしてみます。」

「くう─っ!推しからの名前呼び!──コホン。あ、シルフィーちゃん、ありがとう!」

と、そこには、本当に嬉しそうに笑う伯母様─アヤメ様がいた。



















*シルフィーが退室した後のアヤメ*






「あぁーっ!本当に…本当に!シルフィーちゃんが可愛い!!」

と、布団の中で悶ている。

「──でも…」

少し遅過ぎた。もっと早くに転生?できてたら…。

漫画のストーリー通り、シルフィーちゃんは魔力が殆ど無くなっていて、傷も残ってしまっている。そして、カルディアからの精神的な追い詰めで、表情の変化が殆ど無くなってしまっている。

「笑うと…可愛いのに…。」

それでも、ストーリーとは違うところもある。
勿論、私の存在もその一つだ。

「ストーリー通りになんて…させないわ。私は…シルフィーちゃんには幸せになってもらいたい!うん。私が転生したのだって、きっと…その為なんだわ!」

あまりのんびりしてる時間はないけど、兎に角シルフィーちゃんに信じてもらえるように頑張らないとね。

でも、その前に─

「転生あるあるで、私にも何か…チートとかないのかしら?」

私には風の魔力がある。カルディアの時は、ソレが特に凄いと言う事はなかったけど。

「うーん…」

ー先ずは、体も元気になったら、アヤメに何が出来るのかを考えて探そうー

そう思いながら、病み上がりの体を休めようと、もう一度布団に潜り込んだ。















*その頃のシルフィー*


本当に何が何だかよく分からなかったけど…
彼女がカルディアでは無い事は…本当の事だろう。

「アヤメ様──か…」


一体、彼女はどんな人なのか…

久し振りに、ほんの少しだけ…

気持ちがフワフワと軽くなったような気がした。











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