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とうもろこしは美味しいぞ

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お酒造りを終えたあとは、いつもよりも適当な夕ご飯になった。

切っただけのりんごに茹でただけのとうもろこし···適当だけれど量は無限にある。

さすがに何種類もの酒造りは疲れてた。

何だか男性陣はずっと酒の話で盛り上がっていたけれど、私には無理!そこまでお酒に対する情熱がありません。


でも、夕ご飯は食べたいから手抜きご飯。一応切ったり、茹でたりはしたよ?

簡単だけれど、切っただけのりんごはもう素晴らしく美味しい。

蜜が芯の周りをキレイに五角形のような形に詰まっていた。
それに皮までおいしい。捨てるところがありません。

種もなし!最高!


とうもろこしも実が特大サイズで食べごたえがあり、甘くて美味しい。
塩で茹でたからより甘さが際立つ。これを家畜の餌だけにしていたなんて···信じられない。
もったいなさすぎ。

きっと今朝とうもろこしを収穫した場所には、もうすでにとうもろこしが実っているだろうな~。

無限とうもろこし···明日もとうもろこし料理を作ろう。

楽しみだな~とワクワクした気持ちで食べ終えると、まだエメやギルドマスターの弟達は食事に手を付けてなかった。



どうしたのかな?もう10分は経ってるはずだけど···


「シンジュ様!」


「どうしたの?」


「何回も呼んだけどへんじがなかったから食べれなかった。」


?どういうこと?食べる許可を出したはずだけど···
「食べていいよ。」

「でも、お兄さんたちがかちく?のエサって言うよ?」



あれ?説明したよね?聞いてなかったのかな?
聞いてなければ、家畜の餌にしか見えないもんね。
あ!そういやさっきとうもろこしを酒造りに使ったが、ドワーフ達は何も言ってこなかったよね?
もしかしたらドワーフはとうもろこしを食べるのかな?


トウモロコシはパンにもなるし、コーン茶も作れるし、コーンスターチも作れちゃう万能アイテムなのに!!!
このあとコーンスターチを作ろうかな。
それができればブラマンジェにカスタードクリームができる!

固めるものがなかったから焼く系のクッキーやケーキもどきしか作れなかったけれど、緩いブラマンジェならコーンスターチで作れる。

あとコーン茶も作ろう!!スキル内でなら前世飲んでいた美味しい飲み物が飲めるけれど、折角なら自分で何かを作りたい。
紅茶なんて高くて買えないし、コーヒーもこの世界で聞いたことないな。
まあ貴族がよく飲む紅茶もそんなに美味しくないんだよね。

私は学園のお茶を学ぶ授業ぐらいでしか飲むことができなかったけれど、お茶を入れるのが下手なのか、そもそもお茶自体が悪いのか分からなかった。
きっとどちらもだろうな。

前世の記憶を思い出す前は美味しいと感じていたが、あれのどこが美味しいのか…むしろ身体に悪そうな匂いと味だったはず。

あ~ダージリンとかアッサムが飲みたい。

そういや確か前世の紅茶の産地ってインドやスリランカだった気がするな~同じ様な気候の場所があればこの世界でも美味しい紅茶が作れるのかな?今度探してみよう。


…いつの間にか話の方向がずれてしまった。えーっとなんだっけ?あっ家畜の件だった···
「一般的には家畜の餌と言われるけれど、これは美味しいよ!むしろ何で皆食べないのか疑問!美味しいからこそ動物が食べているんじゃない?」


「しょうなんだ。」と言ってエメはシンジュの言葉を信じ、とうもろこしまるまる1本を両手で持つと、思いっきり齧り付いた。
するととうもろこしの中身が弾け、汁がアッチコッチと飛びだした。エメはそれらを気にすることなくモグモグと噛んでいると甘い汁が口に広がり、幸せな気持ちになった。

フルーツとは違った甘さがあり、秒で1本食べるとすぐに2本目を手にとってモグモグ、モグモグ、モグモグと口を動かした。


「エメ君美味しい?早食いしなくても大丈夫だよ?」
飲み込むように食べ始めたエメに対して、シンジュは呆気にとられていたが、慌てて喉に詰まらないか心配になり声をかけたが、エメは聞いていないようでテーブルいっぱいに乗っていたトウモロコシを1人で食べ尽くしてしまった。



「ふぅーーーー美味しかった」と満足するまで食べたエメは腹を叩いた。口や手、服にまでとうもろこしの汁がこびりついていた。

一瞬の間に全てエメのお腹に収まってしまって、シンジュも双子も驚いて声が出なかった。

「これがほんとうにエサなの?すごーーーくおいちぃよ!」

「美味しさを分かってもらえてよかったよ。」

「これぼくだいすき。明日も食べたいな?」

「分かったよ。それよりも芯まで食べてたみたいだけど大丈夫?」

「芯?ちょっと真ん中が硬かったけれどサクサクして甘かったよ。」


それなら食べても平気なのかな?人間の私には噛めない。
「分かったよ。噛めない時はペってするんだよ?あとはりんごを食べて今日はお風呂に入って寝ようね?」


うんと言うとりんごも全て食べ切ったエメはウトウトしながらもシャワーを浴びてすぐに眠るのだった。
エメが寝たことを確認すると、シンジュはリビングに戻ってきた。

すると未だに双子がぼーっと目の前にある皿を見ていた。

「もうご飯の時間は終わりだよ?自分の皿にあるものを食べないなら回収するけれどどうする?」というと何だかんだ慌てて食べ始めた。

途中途中「え?」「うまっ」「ガォー」など奇声をあげながら食べていたがなんとか食べれたようで良かった。
2人にも風呂を促し、やっと解散になった。


なんだか疲れていたが、目が覚めてしまった。
明日の朝の分のご飯でも作ろうかな···
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